「派遣社員」4人がジェイテクト系会社を提訴

――直接雇用の確認求める――

■会社側、「調停中に提訴」と事実無根のコメント
トヨタ自動車グループのベアリングメーカー・
ジェイテクトの子会社である
光洋熱処理(本社:大阪府八尾市、代表取締役:前山義孝)の
三重県・亀山工場が、
「労働者派遣」を装って
違法に労働者の供給を受けていたとして
三重労働局から文書指導が行なわれている件で、
派遣労働者として働いていた對馬純さん(38歳)ら4名が
直接雇用の確認などを求め11月16日、
津地裁に提訴した。

このニュースは朝日新聞毎日新聞
読売新聞・中日新聞の各三重県版や
地方紙・伊勢新聞で報道された。
ところが、
その中で光洋熱処理の管理部(部長・井原順一氏)が
事実無根のコメントをしているとして、
4人の加盟する三重県の個人加盟制労働組合
ユニオンみえ「連合」構成単産・全国ユニオン加盟)は
11月18日、
光洋熱処理に抗議文をFAXのうえ郵送した。

光洋熱処理管理部は読売新聞の取材に対し、
「原告は県労働委員会に調停を申し立てており、
 現段階での提訴に困惑している」と
コメントしている(読売新聞三重版11月17日)。
しかし、
「このようなコメントを見て
 『困惑している』のはこちらの方だ」と
ユニオンみえは反発している。

對馬さんら原告が
三重県労働委員会に「調停を申し立て」た事実は
一切ない。
また労働組合としても、
ユニオンみえが「県労働委員会に調停を申し立て」た事実は
全くない。

ユニオンみえは、
光洋熱処理を相手として三重県労働委員会に
不当労働行為救済申立を行なっているが、
それは「調停」とは全く異なるものである。

不当労働行為救済申立は、
使用者が団交拒絶という違法行為を行なっている現状を
行政権限で糾すよう申し立てるものだ。
争議を平和的に解決するため
労使双方の申請に基づき
労働委員会の仲介を受ける「調停」とは
全く性格が異なっている。
ユニオンみえが三重県労働委員会に求めているのは
争議の「調停」などでなく、
法に基づき団体交渉応諾を
光洋熱処理に命令してもらうことである。

これらを混同した光洋熱処理のコメントは
毎日新聞にも見受けられる。
光洋熱処理井原順一管理部長は、
「原告とは県労働委員会で調停中だったので、
 提訴には驚いている」などと
コメントしているのだ(毎日新聞三重版11月17日)。
先に述べたとおり、
原告4人が光洋熱処理と
労働委員会で「調停中」であった事実はない。
またユニオンみえも、
不当労働行為の救済を
三重県労働委員会に申し立てた事実はあっても、
光洋熱処理との争議の「調停」を
労働委員会に申し立てた事実もない。

また確かに、
不当労働行為救済申立においても
労働委員会が仲介に乗り出し
円満な解決のために間を取り持つ場面もあるが、
今回の事件に限ってはそうした事実も全くない。
ユニオンみえの不当労働行為救済申立に対し
光洋熱処理側は
「本件申し立てを棄却するとの命令を求める。
 /……不当労働行為を構成する
 具体的事実に対する詳細な認否及び
 被申立人の主張は、
 追って準備書面にて行う」という
極めて短い「答弁書」を提出しただけの段階で、
労働委員会による「調停」など
行なわれようもない状況だ。
ユニオンみえは、
「光洋熱処理が
 意図的に嘘をついたようにしか思えない」と
主張している。

ユニオンみえは、
光洋熱処理が団体交渉に応じないので、
三重県労働委員会に
不当労働行為救済の申し立てを行なったのだ。
それとは別に、
對馬さんら4人は解雇で生活も逼迫しており、
会社が直接雇用を認めないので、
津地方裁判所に地位確認の訴訟を
行なわざるをえなかった。
労働組合が労働委員会に
不当労働行為の救済を申し立てて
解決できる問題(団体交渉開催)と、
個々の労働者が
裁判所に提訴して解決できる問題
(直接雇用の確認・解雇撤回)とは
全く別個の問題である。
労組が不当労働行為救済申立を行なっているから
労働者は自己の権利を主張して
裁判を起こしてはならないなどという道理は
どこにもない。
對馬さんら4名の津地裁への提訴は、
違法に労働者供給された末にクビを切られ、
労組を通じての団体交渉をも拒絶されている労働者の
やむにやまれぬ行為として
極めて当然のものなのだ。

にもかかわらず光洋熱処理は、
對馬さんら4人が
県労働委員会という第三者の調停を受けている最中に
不誠実にも一方的に提訴に踏み切ったかのような
事実無根のコメントを報道各社に寄せ、
對馬さんら4人の名誉を広く傷つけたのである。
「一体何の恨みがあって
 このような卑劣な嘘をつくのか」と
ユニオンみえは強く抗議している。

労働組合との話し合いを通じた解決を拒絶したのは
光洋熱処理の側なのだ。
その光洋熱処理が、
労働者が司法を通じての事態の前進をめざして
提訴に踏み切ったことを
「困惑している」だの「驚いている」だのと
非難がましく言うのは筋違いも甚だしい。

そもそも光洋熱処理は、
労働者に対してこれだけの仕打ちをしておきながら、
労働者から訴えられるということは
全く考えもしなかったのか。
本来 光洋熱処理は、
職業安定法違反の労働者供給という、
訴えられて当然の悪いことをしでかしたのであるから、
いつ訴えられてもおかしくないと
ビクビクしているのが普通である。
ところが何と光洋熱処理は
對馬さんら4名に訴えられて
「困惑している」・「驚いている」というのである。
「どこまで労働者を見くびれば気が済むのだろうかと、
 当労組はその事実自体、
 『困惑して』、『驚いて』受け止めざるをえません。
 御社が、
 労組との話し合いを通じて解決に尽力しない限り、
 遅かれ早かれこうなることは
 最初から目に見えていたではありませんか」と
ユニオンみえは抗議文の中で厳しく指弾している。

ユニオンみえは、
「對馬さんら4名が
 調停申し立て中に一方的に提訴に及んだ」という
誤ったイメージをマスコミを通じて流布させたとして、
光洋熱処理管理部部長・井原順一氏の
謝罪と釈明とを要求し、
11月20日午後6時までに
文書またはFAXで回答するよう光洋熱処理に求めた。
しかし11月27日現在、
光洋熱処理からは一切の回答が来ていない。
(インターネット新聞「JANJAN」
 11月28日より加筆転載)


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by imadegawatuusin | 2009-11-29 19:23 | 労働運動