――パートへのセクハラ・雇い止め問題等で団交――
岐阜県美濃市に本社を置く衣料品ディスカウントの 「オンセンド」(代表取締役:森弘治)は11月19日、 2004年以来拒絶してきた労働組合との団体交渉に ついに応じた。 ■労組側、社長の出席を要請 オンセンドは、 店長からセクハラを受けたことなどから 労働組合に加入したパート従業員に 組合を離脱するよう圧力をかけ、 その後 雇い止めした上 、 労組との団体交渉を拒絶していた。 しかし、 中央労働委員会でオンセンドに対し 団体交渉に応じるよう命じる決定が出され、 その後オンセンドは 東京地裁・東京高裁・最高裁に訴えたが、 中央労働委員会の命令が覆ることはなかった。 団体交渉に先立ち、 元パート従業員・Hさんの加盟する 三重県の個人加盟制労働組合・ユニオンみえ (「連合」構成単産・全国ユニオン加盟)は オンセンドに対し、 団体交渉への社長の出席と、 会社側弁護士の宮澤俊夫氏が 自らのホームページで 「顧問先企業が企業外ユニオンから 不当労働行為で県労働委員会に申立をされた事件では 会社側を勝訴に導きました」と 記載している件についての善処とを書面で要請した。 (三重県労働委員会で 会社側が勝ったことは事実であるので 「100パーセント嘘」とは言えないが、 その後中央労働委員会で 三重地労委の決定は覆され、 東京地裁・東京高裁・最高裁でも 会社側が連敗しているので、 最終的に「勝訴」したのはユニオンみえの側である)。 ■オンセンド、ついに誓約書を労組に手交 団体交渉の冒頭、 オンセンド側は「申し訳ありませんでした」と言いながら ユニオンみえに以下の文書を手渡した。
11月19日の団体交渉では主に、 団交事項の1つである Hさんの日曜休日の取り扱いの変更の経緯・理由及び Hさんの契約更新問題の解決方法について 話し合われた。 この中で会社側は、 宮澤俊夫弁護士のホームページの記述について 労組側が会社に善処を要請したことについて 「これは本件のことではない」などと主張したが、 「では、 『企業外ユニオンから不当労働行為で 県労働委員会に申立をされた事件では 会社側を勝訴に導きました』というようなケースが 他にあるのか。 何件あるのか」と問われると、 「守秘義務があるので言えない」と繰り返すばかりで 何ら具体的な回答を示そうとはしなかった。 「そもそも、 『企業外ユニオンから不当労働行為で 県労働委員会に申立をされた事件では 会社側を勝訴に導きました』ということは 宣伝文句として堂々とホームページに記載しながら、 その根拠を問われれば 『何件あるのか』というようなことさえ 守秘義務にあたるという見解は理解に苦しむ。 一体誰がこんな都合のいい回答で 納得できるのか」と ユニオンみえ側は憤っている。 ■社長の拇印入り文書を労組に送付! ところがである。 会社側は12月4日、 いきなり森社長の拇印入りの次のような文章を ユニオンみえに送り付けてきた。 三重一般労働組合 書記長 広岡法浄様 この社長は労働組合を 一体何だと思っているのだろう。 ユニオン側は「明確な要求事項を示さなかった」というのに、 「今後貴組合等に、 これ以上の金銭支払いを絶対するつもりはない!!」と 一人で勝手にびっくりマークを2つもつけて 喚き立てるこの態度はいかがなものか。 「自分たちのやってきたことを顧みて 少しは恥ずかしいとは思わないのか」と ユニオンみえ側はあきれている。 そもそも、 パート従業員・Hさんにオンセンドの四日市店長が セクハラ行為を行なったことが 本件の発端なのである。 オンセンドも受け入れた名古屋高裁判決および その前提となる名古屋地裁判決によると、 当時のオンセンド四日市店長・中根久雄氏は Hさんに対し、 「このエプロン、裸でしたら、いいやろうな」 などと話しかけたり、 Hさんの二の腕を下から上に なぞるように指で触ったり、 着衣の前ファスナーの胸元を引っ張ったり、 Hさんの目の前で、 服を着ていないマネキンの胸をニヤニヤしながら触ったり、 Hさんの脇腹を指差しながら、 「手やここ(労組注:=Hさんの脇腹)を 触りたくなってくる」と告げたり、 「お客さんがマジックパンツのここのところが・・・」 といいながらHさんの尻を触ってきたり、 「昨日やったんか」ないしは「ゆうべがんばったかな」などと 性交渉を連想させる言葉を言ったりするなど、 セクハラ行為を繰り返してきた。 そのことに対する会社の最高責任者としての回答が、 「損害賠償金60万円を既に支払い済みであり、 全て解決済み」の一言なのだろうか。 金さえ払えばセクハラをやってもすまされるというのが この社長の考えなのだろうか。 まずはセクハラについても 「申し訳ございませんでした」の一言があり、 セクハラを行なった中根久雄氏に対し 就業規則に照らしてしかるべき懲戒処分を下した上で 今後このような事件が二度と繰り返されることのないよう 会社として何が出来るのかを 労働組合と真剣に話し合うのが 団体交渉というものではないのか。 (ユニオンみえは、 従業員にセクハラ防止研修を 一定期間ごとに受講させることなどを 再発防止に向けた具体的な措置として提案している)。 さらにオンセンドは、 ユニオンみえに対し 支配介入・団体交渉拒絶という 違法行為をはたらいた加害者なのである。 11月19日の団体交渉ではじめて 「申し訳ありませんでした」と謝ったかと思ったら、 わずか半月後にはこの態度なのだ。 ユニオンみえは 「19日の謝罪は一体何であったのかと その誠意を疑わざるを得ない」と反発している。 確かに、 半月前にはしおらしい態度で謝罪しておきながら 半月後には被害者に対して ここまで居直った態度に出るというのは、 会社経営者として以前に 人間としてその品格を疑わざるを得ない。 大体、オンセンドが支払ったのは Hさんへのセクハラ行為などに対する 慰謝料である60万円だけである。 ユニオンみえが 違法な団体交渉拒絶・支配介入によって蒙った損害は 1円たりともいまだ金銭的には償われていない。 5年間にも及ぶ違法な団交拒絶について、 オンセンドはただ一言、 「申し訳ありませんでした」と言っただけである。 ユニオンみえは、 「この『申し訳ありませんでした』が本物であり、 労働組合との間で誠意ある交渉が 行なわれるのであれば、 ユニオンみえの側はこの損害について 不問に付すという選択肢もあり得る。 しかし、 『申し訳ありませんでした』が口先だけのものであり、 会社が本心では何ら反省していないのであれば、 ユニオンみえは粛々と蒙った損害に対する 当然の補償をオンセンドに求めるだけだ」としている。 いずれにしてもオンセンドの側が、 「60万円を既に支払い済みであり、 全て解決済み」などと言えた義理でないことだけは 確実である。 大体、 Hさんやユニオンみえに対して これだけ理不尽な仕打ちしておきながら、 恩着せがましく 「団交には何回、何十回でも応じる」と言い立てるのは 一体どういう神経なのか。 この5年間、 1度も団体交渉に応じようとしなかったのは 一体どこの誰なのだろうか。 オンセンドが団体交渉に応じることは 当たり前のことである。 それが中央労働委員会の命令であり、 最高裁の決定であり、 日本の法律・道理というものだからである。 団体交渉に応じるという、 企業として当たり前の義務を履行することで 何かの免罪符になると思うのは大間違いだ。 「オンセンドの森弘治氏は、 『団交には何回、何十回でも応じる』という 自らの言葉にしっかりと責任を持ってほしい。 オンセンドが Hさんやユニオンみえに加えた理不尽を反省し、 真に心を入れ替えて まっとうな企業として立ち直る日まで、 ユニオンみえは何度でも交渉を申し入れる」と ユニオンみえは宣言し、 再度の団体交渉の申し入れを行なった。 (インターネット新聞「JANJAN」 12月14日から加筆転載)
by imadegawatuusin
| 2009-12-15 21:41
| 労働運動
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生まれた日:昭和58(西暦1983)年8月22日 世わい:40歳 住みか:〒454-0013 日本国愛知県名古屋市中川区八熊一丁目12番6号 明治第4ビルディング205号 電話番号:070-4531-5528 電子郵件宛先:sakaitooru19830822@gmail.com ミニブログ(微網誌):https://twitter.com/SAKAI_Tooru カテゴリ
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