「軽度の躁」では説明できぬ「九州B型」発言

――解放運動の理念との整合性はどこに――

放言問題で辞任した松本龍前復興担当相が、
入院先の九州大学病院で、
「軽度の躁(そう)状態」と診断されたようである。

確かに、
マスコミの目もある中での
被災地知事に対する居丈高な物言いや態度は
尋常なものとは思えない。
震災対応への期待と重圧の中で
こうした症状を引き起こしてしまったのだと
考える方が自然であろう。

ただ、
今回の松本龍氏の発言の中には、
単に「躁状態」では説明の付かないものが
含まれていることに注意したい。

態度が大きかったり、
物言いが「上から目線」だったりしたのは
確かに病状の影響が大きいと言える。

だが、
こうした発言が問題視された際に彼の口から出たのは、
「私は九州の人間」とか、
「私はB型で短絡的なところがあ」るなどと、
自分の失敗を出生地や血のせいにする発言だった。
私が最もショックを受けたのは、
実はこれらの発言だった。

もちろん、
一般的にはこうした発言はさして珍しいものではない。
「○○生まれの人間は××」とか、
「B型は大ざっぱ」といった発言は
しばしば会話の中で聞かれるものである。
それらの多くは、
特段の悪意があってのものではない。

だが、
松本龍氏は門地・血統による差別・偏見と闘ってきた
部落解放同盟の副委員長なのである。
そんな立場にある人間が、
こうもいとも簡単に、
自分の失敗の原因を生まれや血液型に帰するのかと、
私は非常にショックであった。

「態度」や「物言い」は
「躁状態」のせいだったのだと信じたい。
だが、
「九州」発言・「B型」発言は
彼の世界観の根底にそうした発想が全くなければ
出るはずのない発言である。
「軽度の躁状態」になったからと言って
血液型占いのような迷信に
突如としてとらわれるということはありえない。

もともと、
部落解放運動を象徴する「解放の議席」が、
3代にわたって世襲されるということ自体が
語義矛盾であると私は思ってきた。
ただそうであっても、
松本龍氏が
それなりに優れた解放運動家だということであれば、
結果として「世襲」ということになっても
まぁ仕方ないかなぁと
私は自分を納得させてきたのである。

だから私は、
衆院選のたびに福岡1区の情報には注目して、
彼の当選にはいつも喜んできた。
前回の参院選で松岡徹氏(部落解放同盟書記長)が
比例区で落選したときは
とても残念に思ったものだ。
松本龍氏が環境大臣になった際も、
「左派・人権派」から閣僚が出たことを
喜んだ。
それは、
まさしく彼が「優れた解放運動家」であることが
前提であったのだ。
(そうでなければ、
 松本龍など一介の建設会社の社長に過ぎない)。

ところが「九州B型」発言である。
まっとうな解放運動家であるならば、
差別・偏見につながりかねないこの種の因習や迷信を
決して相手にはしないものである。
逆に言えば松本龍氏の発言は、
「まっとうな解放運動家」なら到底ありえないような
理解しがたい発言なのだ。

政治家全体を見渡せば、
「A型は○○、B型は××」といった発言を
いまだにする者はいるだろう。
だが、
よりにもよって解放の議席を占めている
部落解放同盟の副委員長がこんな発言をするものなのか。

私はショックだった。


【参考記事】
朝日新聞声欄に「3代世襲の『解放の議席』疑問」

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by imadegawatuusin | 2011-07-15 23:20 | 政治