『長ぐつをはいたネコ』について

――「ネコ」は食べられるはずだった!――
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■「長ぐつ」には何の意味があったのか

『長ぐつをはいたネコ』という話は、
題名だけは やたら有名だ。

3人の息子を持つ粉屋が死んだ際、
長兄は粉ひき小屋を、
次兄はロバを相続したが、
末の息子はネコしか相続できなかった。

がっかりした 末の息子だったけれども、
このネコの知恵を借り、
最後は侯爵となって王妃と結婚するという
お話だ。

だが一方、
ほとんど知られていない話もある。
この末の息子は当初、
ネコを食べてしまうつもりだったという点だ。

息子はこんなことをつぶやいている。

「にいさんたちはいいよ。
 いっしょにはたらけば、
 なんとかくらしていけるから。
 だけどぼくは、
 こんなネコ一ぴきもらっても、
 どうしようもない。
 肉を食って、
 皮で手ぶくろをこしらえれば、
 あとはおなかがぺこぺこになって、
 しぬだけだ


これに対して、
ネコはこう言って命拾いするのである。

「そんなにしんぱいしないで、
 まあ、
 おききなさい、ご主人。
 わたしに、
 ふくろをひとつと、
 どこにでもはいていける長ぐつを一足、
 よういしてください。
 そうすれば、
 このわたしが、
 あなたのおもっているほど
 悪いわけまえではないことが、
 わかりますよ」


結局ネコは、
もらった「ふくろ」を
ウサギやウズラを捕まえるのに使う。
それを王様に献上して、
王家とお近づきとなるきっかけとするのである。

その一方、
有名な「長ぐつ」は
物語の全編を通して
何の役にも立っていない。

それどころか、
「ひとくい鬼」の城で天井の「はり」に駆け上る際、
「長ぐつでかけのぼるのは、
 とてもたいへんでした」とあるほどなのだ。

この長ぐつには、
いったい何の意味があったのだろうか。


『長ぐつをはいたネコ』(評価:2)
シャルル=ペロー原作/末松氷海子文
徳間書店

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by imadegawatuusin | 2011-07-18 19:37 | 文芸