『社会民主党宣言』を読む(序文)

――社会民主党がつくろうとしている社会――

日本の社会民主党が党の綱領的文書としている
『社会民主党宣言』のパンフレットの冒頭で、
「社民党がつくろうとしている社会」について
福島みずほ党首は、
「排除ではなく、全員参加型社会です」と規定している。
「一握りの人ではなく、
 みんなで参加し、
 また決定していくことの方が、
 社会が安定し、
 活力が生まれ、
 公正な社会をつくっていくことができます」と
いうのである。

「だからこそ、
 人権や民主主義の考え方の延長に
 『共に生きられる社会』である
 社会民主主義の社会があるのです」。
福島党首はそのようにいう。

つまり、
社会民主主義というのは
何か特殊な主義主張を
どこかから持って来ようというものではない。
いまや政治においては国際的な常識となっている
「人権」や「民主主義」といったものを、
社会のあらゆる領域において
徹底させてゆこうというものにすぎない。

国会や地方議会はもちろん、
職場や町内会なども民主的に運営される
全員参加型の民主的な社会
(直接民主制か間接民主制かは
 単位の規模などにもよろうが)。
そうした中で
お互いの人権が徹底的に尊重され合う社会。
それが社会民主主義の社会である。
「社会民主主義の社会」は
「人権や民主主義の考え方の延長に」あるものなのだ。

だからこそ、
いま、
自分が暮らしているこの社会で、
経営者の横暴に対して従業員の団結で立ち向かい、
働く者の意思が反映される
民主的な職場をつくろうと
労働組合運動に取り組むことも、
不当な差別を許さず
人権擁護のために地域で地道に活動することも、
命や暮らしを守るために
環境運動や平和運動を進めることも、
すべて社会民主主義社会の実現のために
欠かすことのできない活動である。
むしろ、
こうした諸活動の成果が勝ち取られたその先にこそ、
社会民主主義の社会は実現すると
言い換えることもできるだろうか。

現行の社会体制において、
特に民主主義が欠如しているのは「職場」であろう。
国政や地方政治の領域は、
曲がりなりにも日本においては
民主主義が実現している。
議員や首長は住民自らが選出でき、
それがおかしいと思えば
次の選挙で落選させることも可能である。

ところが、
職場においては民主主義が全くない。
生産現場で汗を流し、
職場を実際に動かしている労働者には、
会社の運営や役員選出に
何の権限も与えられていない。
株式会社においては社長を決めるのは株主であり、
しかも「1人1票制」ではない。
100万円分の株を買った人間は100万円分、
1000万円分の株を買った人間には
1000万円分の発言権・投票権があり、
圧倒的に金持ち優位の制度である。
そして労働者には、
どれほど一生懸命働いて会社の経営に貢献しても、
1票分の発言権も与えられない
(上場会社なら「給料で株を買う」という方法はあるが、
 「1人1票」の民主制度でないことには
 変わりがない)。

社会主義とは主に、
政治に民主主義が実現してなお
非民主的な運営が続いている
こうした経済・経営の領域にも
民主主義を拡大・徹底させる運動である。
政治を勤労大衆の手に取り戻すことはもちろん、
職場の管理・運営権も
そこで働く労働者自身の手に
おさめなければならない。

社長は従業員の選挙で選ぼう! 
上司も社長が決めるのでなく、
各部署で民主的に選出しよう! 
こうして、
職場を動かす労働者自身が会社の主人公となり、
会社を本当の意味で「自分たちのもの」にしてゆこう!
これが、
私の考える社会民主主義である。

社会民主主義は
極めて理性的・合理的・実践的な性格を持つ
体系的な思想であり、
全世界的に一大潮流をなしている。
マルクス・エンゲルス・ベルンシュタインをはじめとする
進歩的思想家の伝統を引き継ぎ、
旧ソ連に代表される
強権的・非民主的な共産主義や、
統制的・指令的な「国家による経済一元化」には
批判的な立場を貫いてきた歴史を持つ。
国際的には
「社会主義インターナショナル」という組織に
代表されている。

ここではこの社会主義インターナショナルの
日本唯一の加盟政党である社会民主党の
綱領的文書・『社会民主党宣言』を通じて、
社会民主主義の基礎を学んでゆきたい。


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【参考記事】
新しい社会主義像を求めて
小牧治『マルクス』について
レーニン「マルクス主義の三つの源泉と三つの構成部分」を読む

『唯物論哲学入門』(森信成)を読む

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by imadegawatuusin | 2011-05-31 18:50 | 政治