『社会民主党宣言』を読む(第2章)

――私たちの社会民主主義とは――

ここではまず、
社会民主党の自己規定がある。
「私たちは、
 社会民主主義の理念に基づく政策の実現を目指し、
 経済・社会の中心を担う働く人々や
 生活者の立場から
 社会の民主的な改革に取り組み、
 すべての人々に門戸を開いた政党です」。

まず、社会民主党である以上、
「社会民主主義の理念に基づく
 政策の実現を目指」すことが
第一に掲げられるのは当然のことだ。
問題はその手段である。
社会民主党はその政策の実現にあたって、
「経済・社会の中心を担う働く人々や生活者の立場」に
立脚すると言うのである。

今の資本主義社会では、
職場において汗を流して
実際に社会を動かしている労働者でなく、
そうした労働者を雇って働かせている経営者が
強い力を握っている。
従業員100人の企業では、
経営者より労働者の方が圧倒的に数は多い。
だが、
労働者が個々に分断された状況では、
一人一人の労働者と比べて
経営者の立場は圧倒的に強い。
社会的にも経済的にも、
圧倒的多数の労働者は
圧倒的少数の経営者に対し、
圧倒的に従属的な立場に置かれている。

政権を担い、
全生活者の命と暮らしを保障することを目指す立場からは、
「生活者の立場」に立つべきことは当然のことだ。
だが、
そうした生活者の中でも特に、
「経済・社会の中心を担う働く人々」の立場から
改革に取り組むと特筆されていることは
注目に値する。

個々に分断されていることで、
本来の力を出し切れていない労働者にこそ、
現状を変革する力が秘められている。
そうした労働者が団結すれば、
「社会の民主的な改革」を推進する
最も大きな原動力となる。
『社会民主党宣言』はそうした確信に貫かれている。

そして最後に、
「すべての人々に門戸を開いた政党」との
自己定義がある。

社会民主党は日本共産党などと違い、
入党にあたっての国籍条項がない。
日本に現実に生活の基盤を置き、
日本の統治下にある一定年齢以上のすべての市民に
その門戸は開かれている。
これが社会民主党の特徴である。

そして『社会民主党宣言』は、
「日本における社会民主主義の理念として
 『平和・自由・平等・共生』を揚げ」る。
ここで、
「『日本における』社会民主主義の理念」と
わざわざ断っていることに注目したい。

社会民主主義は国際的な政治的潮流である。
だが、
日本にある社会民主主義政党であるという意味での
特殊性を免れるわけではない。
ここでは、
「平和・自由・平等・共生」のうち、
特に「平和」の理念について、
日本の社会民主主義政党として
独自の位置づけを図ろうとしている。

他の理念については、
「人々が自らの目標を定め、実現していく自由」とか、
「一切の差別を否定し、
 すべての人々に社会参加の機会と権利を保障する
 平等」とか、
「人間が人間らしく生きることを社会全体で支え、
 アジアや世界の人々との共存、
 自然環境との調和を目指す共生」と、
地域性を越えた、
普遍的な位置づけがされている。
それに対して「平和」については、
「アジア諸国を侵略・植民地支配した
 加害者としての歴史、
 そして人類初の原子爆弾による
 被爆国としての歴史を踏まえた時、
 あらゆる権利の実現に際し、
 その前提に位置づけるべき平和」と、
この日本という国にある政党としての自覚が
みなぎっている。

世界的に言えば、
社会民主主義政党は
必ずしも平和主義に重点を置いた政党ばかりではない。
イギリス労働党のブレア政権が、
イラク戦争の際に対イラク先制攻撃に
アメリカとともに真っ先に参戦したことは
記憶に新しい。

だが、
そうした世界の社会民主主義の潮流の中に、
日本という国にある社会民主主義政党として、
「平和」の理念を高く掲げて登場しようというのが
日本の社会民主党である。
社会民主党はこの「平和」に加え、
「自由」・「平等」・「共生」の
「4つの理念を具体化する政策の実現に
 全力を挙げます」という。

そして『社会民主党宣言』は、
日本における社会民主主義の定義について、
次のように明記する。
「私たちは、
 社会のあらゆる領域で民主主義を拡大し、
 『平和・自由・平等・共生』という理念を具体化する
 不断の改革運動を
 社会民主主義と位置づけます」。

社会民主主義の根本理念は
「社会のあらゆる領域で」の
「民主主義の拡大」に他ならない。
政治はもちろん、
経済・経営などの領域にも
民衆の自由=自己決定を拡大しようとする運動が
社会民主主義なのだ。
そして社会民主主義は、
遠い未来のどこかにあるものではない。
「こうしたことが実現すれば社会民主主義の完成」
という完成図もない。
社会民主主義は、
社会のあらゆる領域で
民主主義を常に拡大し続けようという、
この現在の現実から出発する
「不断の改革運動」そのものなのである。


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【参考記事】
新しい社会主義像を求めて
小牧治『マルクス』について
レーニン「マルクス主義の三つの源泉と三つの構成部分」を読む

『唯物論哲学入門』(森信成)を読む

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by imadegawatuusin | 2011-06-03 19:21 | 政治