『社会民主党宣言』を読む(第3章-1)

――社会的な規制による公正な市場経済――

さまざまな社会主義思想の中での
社会民主主義の特徴の一つが、
社会における市場経済の役割を
正当に評価するという点である。

『社会民主党宣言』には次のようにある。

「生産・交換・分配の手段として市場の機能を認めつつ、
 それを万能として、
 すべてを競争の結果に委ねて、
 資産や所得の格差を放置する立場には立ちません。
 生活条件の向上と自然環境との共生を
 経済活動の主眼におき、
 公正な交換や取引き、分配が行なわれるよう
 市場の民主化や監視、規制に取り組みます」。

社会民主主義は
旧ソ連のような統制的・指令的な中央計画経済を
良しとせず、
各企業体独自の判断による
自由な経済活動を原則的に承認する。
大手と中小、元請けと下請けといった
力関係に格差のある取引に対しても
民主的な規制や監視
(独禁法・下請二法の徹底や、
 中小企業の協同組合への組織化の推進、
 中小企業協同組合による
 取引先企業への団体交渉権の確立など)を徹底し、
市場における真に自由な取引きを実現させる。

その一方で、
労働者や消費者などの人命や安全・健康、
環境などを護り、
搾取を防止するためには、
必要な規制を行なうことを躊躇しない。
市場において真に公平・公正な競争を守るために、
天下り規制の強化なども必要であろう。

やみくもな資本増殖自体に価値を見出す株式会社を、
働く人々が
自らの雇用と生活を維持・発展させる手段としての
労働者協同組合に転換し、
そうした企業体が
社会に悪影響を与える経済活動を行なう場合は
民主的な手段をもって公正な規制を適用する。

要するに、
あくまで
「生活条件の向上と自然環境との共生を
 経済活動の主眼にお」く社会を目指すのだ。

必要な規制が徹底されれば、
一般産業においては各企業体は
働く人々を主権者とし、
社長や役員を従業員の民主的な選挙によって選出する
労働者協同組合にすればよく、
あえて国有化などを強行する必要はない。
だが、
福祉や医療といった命にかかわる領域や、
教育のような未来をつむぐ分野においては、
労働者よりも
むしろ利用者の方を主権者とすることが望ましい。
こうした産業に限っては、
消費生活協同組合や公営企業・国営企業といった
経営形態が望ましいのではないだろうか。
『社会民主主義宣言』に、
「福祉や医療、教育など人々が
 共同で社会生活を営む分野で
 公共サービスの役割を重視し、
 その機能を充実させます」とあるのは
そういう意味である。

そうした、
営利至上の株式会社中心の資本主義社会から、
労働者主権の労働者協同組合を中心とする経済に
転換するためには、
各企業において労働者の力を強め、
経営者・株主の横暴を規制する
労働組合運動の発展が不可欠である。

社会民主党は
個人加盟制の地域労働組合や
産業別労働組合運動の先頭に立って
全ての職場に労働組合を建設しなければならない。
そして、
ゆくゆくはそれらの職場で
労働者主権を実現することを展望しつつ、
地道な労働者救済・労働条件の向上を
労働組合を通じて実現し、
労働組合への信頼感を
各職場において確立することが大切だ。


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【参考記事】
新しい社会主義像を求めて
小牧治『マルクス』について
レーニン「マルクス主義の三つの源泉と三つの構成部分」を読む

『唯物論哲学入門』(森信成)を読む

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by imadegawatuusin | 2011-06-04 19:43 | 政治