モロッコによる西サハラ占領問題

マリ共和国の首都バマコで開催された世界社会フォーラムに参加した
アフリカ日本協議会の茂住衛(もずみまもる)さんが
週刊『かけはし』(2006年4月3日号)のインタビューに答え、
モロッコによる西サハラ占領を批判した。
この中で茂住さんは、
モロッコによる西サハラ占領とイスラエルによるパレスチナ占領との類似性を指摘し、
西サハラ問題への国際的な注目を訴えた。

《週刊『かけはし』に掲載された茂住衛さんの西サハラ問題への言及要旨》
■アフリカ連合が承認する独立国・西サハラ
もともとスペインの植民地だった西サハラをスペインが放棄した時、
モロッコが西サハラを占領し、
またモーリタニアも西サハラの一部を自国の領土だとして占領しました。
その後モーリタニアが撤退したので、
現在西サハラは基本的にモロッコ軍の占領下にあります。
一方、AU(『今出川通信』注:=アフリカ連合)はOAU(『今出川通信』注:=アフリカ統一機構)の時代に
西サハラ(サハラ・アラブ民主共和国)を独立国として承認、
そのことに抗議してモロッコはOAUを脱退します。
つまり、現在のAU加盟53カ国の中にモロッコは含まれていません。

■モロッコ:西サハラ領内に長大な壁を建設
現在モロッコは、
西サハラ領内の砂漠の中に延々と長大な壁を作り、
監視所には軍が駐留。
西サハラの独立運動を主導しているポリサリオ解放戦線の支配地域もありますが、
多くの人びとはアルジェリアの難民キャンプに逃れています。
モロッコにとっては、
西サハラ領内に燐鉱石などの鉱物資源が豊富にあり、
さらに領海内の海洋資源(タコの漁場などがある)も収奪できるので、
西サハラの占領を止めようとはしません。

■西サハラの主権は国際的常識
(『今出川通信』注:世界社会フォーラムの)参加者にとっては、
西サハラが独立した国家主権を持つことは前提になっています。
AUも西サハラを主権国として認めているのですから。
日本で発行される世界地図には西サハラが表記されていないこともありますが、
欧州で発行されている地図であればちゃんと国名と国境線が描かれている。
そのことは、ある意味で国際的常識になっています。

■アフリカ最大の植民地問題、西サハラ
西サハラ問題は、
アフリカに残された植民地問題でも最大のものです。
しかも宗主国がアフリカの国だという非常に複雑な問題になっている。
さらにこの問題は、
宗教的な対立を背景にしたものであるとも言えません。
モロッコと同様に西サハラの住民の大部分はイスラム教徒で、
「サハラ・アラブ民主共和国」という国名からもわかるように、
自らがアラブ世界の一員であるという意識が強い。
1973年から独立運動を担っているポリサリオ解放戦線は、
西サハラ地域の旧来からのエスニックグループの連合が中心になっているようです。
さらにイスラム教徒であっても、
女性が先頭になってしゃべるというようなオープンスペースもあります。

■西サハラ問題に国際的な注目を
西サハラ問題は、
モロッコの占領地へのモロッコ人の入植やモロッコが長大な壁を建設、
さらにアルジェリアにおける難民キャンプの存在という現状からすると、
パレスチナ問題と類似した問題として捉えることができます。
また歴史的な経緯からすると、
独立を達成しましたが、
東チモール問題と重ね合わせてみることもできます。
ただしこの問題は、
パレスチナ問題と比べても、国際的に注目されているとは言えません。

(第2号)
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by imadegawatuusin | 2006-04-06 18:35 | 国際