名探偵コナン『瞳の中の暗殺者』について

――舞台は「原点の地」トロピカルランド――

■工藤新一失踪直前の行動に焦点をあてた秀作 
本作は冒頭、
工藤新一と毛利蘭とのデートシーンで始まる。
見ている側は、
『あれっ、
 これは蘭の夢なのか?』と思うのだが、
これは現実である。
ただし、
工藤新一が失踪する、
ほんの数時間前の「現実」なのだ。

のどかで、穏やかで、
ちょっぴりほほえましい光景。
しかしこのシーンの数時間後、
この地であの、「ジェットコースター殺人事件」が発生することになる。
そして、この事件の鮮やかな解決を最後に、
工藤新一は姿を消してしまうのだ。
画面の前にいる「こちら側」は、
誰もがそのことを知っている。
だが当の2人はまだ、
もちろんそんなことは何も知らない。
それを思うと、
何だかせつなくなってくる。

本作・『瞳の中の暗殺者』では、
蘭は記憶を失ってしまう。
父母のことも、新一のことも、
自分が空手の猛者であることも、
何もかもを忘れてしまう。

『名探偵コナン』の他の作品では、
毛利蘭は決して単なる「護られるだけのお姫様」ではない。
むしろ、
子供になったコナンたちを、
場合によっては命をかけて
護り抜く役割を与えられた武道家である。

だが、
本作においては、
記憶を失った蘭は徹底して「護られる者」となる。
か弱く、何も知らないお姫様は、
子供たちからも「護られる」役柄なのだ。

だが、本作の見どころは、
蘭が再び記憶を取り戻した刹那、
「お姫様」が再び、
「武道家」としての真の面目を
取り戻した瞬間であろう。
このシーン、
何度見ても爽快だ。

《劇場版『名探偵コナン』お薦めベスト3》
第1位『天国へのカウントダウン』
第2位『14番目の標的』
第3位『瞳の中の暗殺者』

《お勧め参考サイト》
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by imadegawatuusin | 2005-09-02 23:16 | 漫画・アニメ