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『唯物論哲学入門』(森信成)を読む・その17

観念論の起源としての宗教

宗教というものを私たちは、
今では一つのたとえ話のようなものとして
受け取ることが多い。
たとえば『聖書』に書いてあることを一字一句、
事実としてその通りの出来事が起きたのだと信じる人は、
一部の原理主義者を除いて
今日ではほとんどいない。
しかしもともと、
「宗教は、
 身体と霊魂の関係とか、
 あるいは自然現象を説明する
 一つの『科学的な憶測』、仮説として
 アニミズムの観念が生まれるところから
 発生して」きたのである。

原始の人々は、
身体が活動していなくても見る「夢」というものから、
身体とは別個に身体の中で働く「霊魂」の存在を
想定した。
そしてそうした「霊魂」は
身体とちがって傷ついたり古びたりしないので、
身体の死後も生き続けると仮定した。
やがて身体から離脱したそうした霊魂は、
身体ではない現実の自然、現実の物体に
影響力を及ぼすと考えられ、
恐れられ、
祭られるようになり、
次第に「神」へと進化してゆく。
その大本は、
当時の人々の知識では説明の困難だった
精神と身体、個人と世界といった難問に、
何とか納得可能な説明を与えようという
苦闘の末に編み出された
「一つの『科学的な憶測』、仮説」だったのだ。

観念論はこうして発生した。


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【参考記事】

『社会民主党宣言』を読む
新しい社会主義像を求めて
小牧治『マルクス』について
レーニン「マルクス主義の三つの源泉と三つの構成部分」を読む

by imadegawatuusin | 2011-12-20 17:18 | 弁証法的唯物論
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