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『ことわざの知恵』を読む(その4)

昨日の記事に引き続き、
『ことわざの知恵』(岩波新書)を取り上げる。

この本の21ページに、
「壁に耳」ということわざが登場する。
これはもちろん、
「壁に耳あり」の省略した形であり、
「壁に耳あり障子に目あり」などともいう。

興味深いのは、このことわざの別バージョンとして
「壁に耳あり徳利〔注1〕に口あり」というのがあるというのだ。

なるほど。
うまい。
確かに、普段は口が固いのに、
酒を飲んだ途端にべらべらしゃべりだす人がいる。
酒は人から理性を奪う。
まさしく「徳利に口あり」である。

ちなみに「壁に耳あり」ということわざは、
日本では鎌倉時代から使用例があり、
中国にも古くから似たような表現があるという。
さらにはどういうわけか、英語にも

Walls have ears.


という、
「壁に耳あり」をまったく直訳したような表現が見られるという。

この本では、

いたるところに内緒話があり、
また、
いたるところでその秘密が漏れたものとみえる。


と、
このことわざの解説を締めくくっている。

〔注1〕徳利とは、
日本酒を入れるための容器で、
「とくり」あるいは「とっくり」などと読む。
「お銚子」などとも呼ばれている。


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by imadegawatuusin | 2005-02-01 18:04 | 日本語論
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