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テレ朝「小学校近くに殺人犯」と放送

――根拠は「超能力者の透視」――

■「振り回されぬ姿勢」を示すことこそ真の教育 
テレビ朝日が5日、
情報番組の中で、
「超能力者の透視」をもとに、
「殺人犯が近くに潜伏している」などとして
神戸市立福地小学校の地図と校庭の映像とを放送した。

報道によるとテレビ朝日は、
5日に放送された情報番組「TVのチカラ」の中で、
「透視能力者」に1990年12月に札幌市で発生した
女性殺害事件の容疑者の潜伏先を「透視」させ、
「潜伏先はこの近く」などとして
福地小学校の名前が載った地図と
同校の校庭の映像を放送したという。

学校側は「児童や保護者の不安をあおる内容」と
テレビ朝日に抗議する一方、
保護者から不安の声が上がったため、
1週間、児童を集団下校させることを決めたという(「朝日新聞」12月7日)。

学校側の言うとおり、
テレビ朝日の放送は
「児童や保護者の不安をあおる」ものであり、
悪質であると僕も思う。
だが、学校側も情けない。
このような胡散臭い放送に「あお」られた「不安の声」に対して
どうして毅然とした対処ができないのか。

おそらく、
「何かあったとき、
 責任が取れない」という事なかれ主義が
学校関係者の心を支配してしまったに違いない。
「何かある」可能性は、
確かに「ゼロ」ではないだろう。
「女性殺害事件の容疑者」とやらが本当に近くに潜伏している可能性も、
まったく「ゼロ」とは言い切れない。
しかしそれは、
どの町・どの学校でも同じことであり、
テレビ朝日の放送がある前もあった後も
何ら変わりのないことである。

「超能力者の透視」などという怪しげなものに
踊らされるのは愚かなことだと
きっぱり態度で示すのも、
教育のうちだと僕は思う。
情報の質と真偽をきちんと見極め、
いいかげんな情報に振り回されず、流されず、
主体的な判断を行なえる子供を育てることは、
情報化社会における非常に重要な課題でもある。

テレビ朝日側は
「小学校を訪れて番組の製作意図を説明」したいとしているが、
「透視能力者」なるものを担ぎ出して
不用意に人々の不安を煽り立てるこの放送に
いかなる「製作意図」があったというのか。
きちんと説明できるものなら
してもらいたいものである。
by imadegawatuusin | 2005-12-07 04:19 | その他
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