種村有菜『時空異邦人KYOKO』を読んで

■だまし・だまされ種村ワールド
種村有菜さんの作品の登場人物たちは、
一人一人みんな、
一番大切な「何か」を隠している。

だから、
作品を読み進めてゆくうちに、
「ちょっと待て、
 これってそういう話だったの?」という瞬間に
何度も遭遇することになる。

一人一人が何らかの「嘘」をついているので、
それが全て積み重なると、
作品の構図そのものが反転してしまったりする。
『神風怪盗ジャンヌ』などはその典型例だ)。
気がつけば、
第1巻を読んでいたときとは、
「全く逆のお話」になっていたりすることが珍しくない。

本作・『時空異邦人KYOKO』も当初は、
「『実は王族だ』ということを隠して生きているお姫様のお話」
として始まった。
ところがこの物語は、気がつけば、
「『実は王族ではない』ということを隠して生きてきた女の子のお話」
になっている、といった具合だ。

本作・『時空異邦人KYOKO』はおそらく、
種村有菜さんの、ある意味では最大の「失敗作」であろう。
某超有名少年漫画誌の「連載打ち切り」のような形で幕を閉じてしまう。
(特に3巻前半の、「異邦人」の集め方はあまりにも強引だ)。

しかしそんな中でも、
「だまし・だまされ」、「構図反転」の種村ワールドは全開だ。
「ストーリーは破綻してるけれど面白い」という、
ある意味不思議な作品なのだ。
登場人物のちょっとした台詞一つ一つから、
種村有菜さん独特の、
「きらめくようなセンス」が感じられる。


【本日の読了】
種村有菜『時空異邦人KYOKO』(集英社りぼんマスコットコミックス)評価:4
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by imadegawatuusin | 2006-03-28 04:29 | 漫画・アニメ