名大・和田肇教授、「雇用は破壊されてきた」

――名古屋ふれあいユニオン、公開学習会開催――
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■「新たな労働分野の規制緩和を問う」

愛知県の個人加盟制労働組合・名古屋ふれあいユニオン
(「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」加盟)は
8月3日に名古屋市中区の女性会館で
一般市民も対象とした公開学習会を開き、
名古屋大学の和田肇教授が
「新たな労働分野の規制緩和を問う」と題して話をした。

和田教授は、
「世間では雇用崩壊などと言われているが、
 雇用は崩壊したのではない。
 破壊されてきたのだ」と言い切った。
「労働法制の規制緩和といえば
 小泉内閣と思われているが、
 その根っこは80年代の中曽根内閣ごろから始まり、
 90年代の橋本内閣のころから本格的になってきた」と
言うのである。

「私は当初から、
 こういう改革が続いていると
 非常に大きな問題になると警告を発してきたが、
 今になってみれば考え方が甘かった。
 リーマンショックの派遣切りを目の当たりにして、
 これほどひどい状況になるとはと衝撃を受けた」と
和田教授は振り返る。

「その後、
 労働法は民主党政権になったときに
 少しは良い方向に改められたが、
 自民党政権になって
 せっかくの新しい流れが
 また元に戻されようとしている。
 これが進んでいくと、
 ちょっとはマシになったものが
 以前よりもさらに悪くなる」と和田教授は言う。
そして、
この流れが最も典型的に表れているのが
派遣法であるというのだ。

■派遣労働者はモノ扱い

「派遣労働者は人数だけで言うと、
 全労働者の2パーセントに満たない。
 なのになぜこれほど大きな問題が
 この2パーセントの人々に集中するのか。
 それは、
 国の雇用政策の矛盾が
 集中的にあらわれる働き方だからだ。
 派遣労働者の多くは有期雇用で、
 かつ間接雇用で女性も多い。
 人を働かせるものが雇うという
 直接雇用原則の例外的存在となっている。
 他の会社から人を借りてきて、
 いらなくなったら元に返す。
 物品と同じ扱いをされるのが派遣労働者という存在だ」
と和田教授は憤った。

「だから元々、
 派遣はどこにでもできるものではなかった。
 交渉力のある専門職、
 専門技術を持つ人だけを対象とした
 特殊な働き方だった。
 それが今や、
 製造業などの単純労働にも派遣ができる。
 元々弱い立場の労働者が
 こうした働き方をさせられている。
 これは労働政策の基本にかかわる大問題だ」と
和田教授は説明した。

■整合性欠く「雇用改革」

その上で和田教授は、
「アベノミクスにおける雇用政策は、
 『日本を企業が世界で一番活躍できる国にする』
 という総理の言葉に象徴されるように、
 労働者の雇用の保護をどんどん無くして
 企業の自由度を高めるというものだ。
 これを受けて
 厚生労働省にワーキンググループができたが、
 労働者保護法制の極めて弱い国と比較して、
 『日本は規制が厳しすぎる』というような議論が
 まかり通っている」という。

「たとえば解雇問題。
 アメリカやデンマークといった、
 世界の先進国でも非常に特殊な国と比べて、
 日本は労働者の保護が強すぎるという話になっている。
 しかし日本の社会保険制度などは
 イギリスやドイツをモデルにしている。
 それを、
 解雇や残業代の問題だけアメリカ型にしようというのは
 無理がある。
 その国のシステム全体を把握したうえでの議論には
 なっていない」と和田教授は指摘した。

「たとえばアメリカというのは、
 自分の身を拳銃を持って
 自分で守れというような
 非常に特殊な自己責任主義の国。
 あまり日本の参考にはできない。
 また、
 解雇自由が原則ではあるが、
 差別禁止規定は日本よりはるかに厳格で、
 実際には好き勝手に解雇できるというわけでもない」。 

「そしてデンマークは
 労働組合の組織率が80パーセントの国だ。
 労働者は法律ではなく、
 労組の力によって保護されている。
 ところが一部の経済学者は、
 そうした実態を見ずに法律の規制だけを比べている」と
 和田教授はこうした動きを厳しく批判した。

■労働組合にこそ社会的責任がある

「総選挙でも、
 憲法9条や96条は比較的注目が集まったが、
 労働法には関心が集まらない。
 結局、
 労働問題の一番の解決手段は労働組合だ」と
和田教授は言う。
「労働法と労働組合とは車の両輪だ。
 両方が機能してはじめて労働者の権利は守られる。
 片方がなくなると曲がった方向に行ってしまう。
 我々は企業の社会的責任などとよく言うが、
 労働組合にも社会的責任がある。
 特に、
 個別の労働者が抱える問題に取り組もうとしない
 一部の労組は
 労働組合としての適格性が問われる」と和田教授は、
最後に厳しい言葉を述べ、
労組の取り組みに奮起を促したのである。

すべての くにの はたらたみは、
むすがろう! 


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by imadegawatuusin | 2013-08-06 14:47 | 労働運動