海上自衛隊:内部告発者への処分許すな

――護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件――

■海上自衛隊の書類隠し暴いた3等海佐
海上自衛隊の護衛艦・「たちかぜ」における
乗組員のいじめ自殺問題で、
いじめの事実を示す文書を海上自衛隊が隠していると
内部告発した3等海佐に対し、
海上自衛隊が懲戒処分の手続きを始めた。
3等海佐が告発の際、
関連文書のコピーを
証拠として自宅に保管していたことを
規律違反であるというのだ。

乗組員が2004年に自殺した直後、
海上自衛隊は「たちかぜ」の乗組員190人に
アンケートを行なった。
回収されたアンケートには、
自殺した乗組員が
艦内で先輩隊員からエアガンで打たれたり、
胸ぐらをつかまれたりしていたと記されていた。
自殺した乗組員の遺書にも
先輩隊員から暴行を受けたと記されており、
アンケートはこれを裏付けるものだった。

ところが、
乗組員の遺族が2005年に情報公開請求をしたところ、
海上自衛隊は
このアンケートの原本が存在していたにもかかわらず
「破棄した」と回答。
原本の存在を知った3等海佐が
2008年に防衛省の公益通報窓口に内部告発した際も、
アンケート原本の存在を認めなかった。

公益通報窓口への告発で問題が解決しなかったため、
3等海佐は2012年4月に、
「海自は文書を隠している」とする陳述書を
東京高裁に提出。
同年6月に海上自衛隊内で「調査」が始まった。
だが、
アンケートの原本の存在を知っていた
3等海佐とは別の海上自衛隊事務官が
上司に相談すると、
「捨てろ」、
「あれは『ない書類』だ。
 あってはならない書類だから」と指示され、
翌日には上司から、
「指示した件は、
 誰にも見られないよう秘密裏に実施してください」
とのメールが届いたのだ。

幸い、
この事務官が「やはり破棄はできない」と判断し、
さらに別の上司に報告したことで、
アンケート原本はかろうじて破棄を免れ、
遺族側に開示された。
内閣府の「情報公開・個人情報保護審査会」は、
「文章発見後も破棄を働きかけるなど、
 組織全体として
 不都合な事実を隠蔽しようとする傾向があった」と
認定している(朝日新聞2013年12月8日)。

このような
「不都合な事実を隠蔽しようとする傾向があ」る
組織において、
ないはずの書類が実はあると
何の証拠も持たないままに内部告発すると、
当の書類そのものが隠滅され、
3等海佐のがわが嘘つき呼ばわりされかねない。
(実際、
 原本は一度は破棄されかけた)。
自らの身を守るためにも、
内部告発にあたって証拠を手元にとっておくのは
当然の行為だ。
これが規律違反とされてしまえば、
組織の不正を正す告発は怖くて誰もできなくなる。

組織の不正を暴いた3等海佐の行動は
証拠の保管も含めて正当なものであり、
懲戒処分にするなどというのは
全くとんでもない話である。
懲戒処分を受けるべきは、
遺族の情報公開請求に対して
書類はないと嘘をついた担当者や、
書類の破棄を命じた上司の方だ。


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by imadegawatuusin | 2014-01-21 17:34 | 政治