北朝鮮:平壌宣言に反しミサイル発射強行

――ロシア沿海州沖に落下――

■「ミサイル凍結」約束先の日本に事前通告なし
北朝鮮は7月5日、計7発のミサイルを発射した。
このうち1発は長距離弾道ミサイル・「テポドン2」であったということだ(朝日新聞7月6日)。

ミサイルの落下地点は全てロシア沿海州沖とのことであり、
日本の領海(国土から約22キロ)や
排他的経済水域(同 約370キロ)に達したものはなかったと見られているが、
北朝鮮の今回の行為は、
2002年の日朝平壌宣言で北朝鮮自身が約束した
ミサイル発射の凍結継続に明らかに反する暴挙である。
また、
そもそも事前の通報すらなく公海上にミサイルを撃ち込むことは、
船舶の公海自由航行や
航空機の飛行の自由に対する重大な侵害行為であり、
国際ルールに反するものだ。
日本はもとより韓国・中国・ロシアなどの関係諸国の
自制を求める声を無視して強行された北朝鮮のミサイル発射に
今出川通信会は強く抗議する。

■関係諸国の声にも耳を傾けず
北朝鮮は2002年の日朝平壌宣言において、
「ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長」することを表明し、
「ミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、
 関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図る」ことを確認していた↓。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html

ところが北朝鮮は、
この日朝平壌宣言の共同表明国である我が国に何らの事前通告も行なわず、
一方的にミサイル発射を行なった。
また、
中国や韓国などの関係諸国から軒並み自制を求められていたにもかかわらず、
「対話を促進し、問題解決を図る」姿勢を見せることなく
ミサイル実験を強行したのだ。

■ミサイル実験に必要な手続きを欠くルール違反
北朝鮮側は今回のミサイル発射について、
「ミサイル発射はわが国の自主権にかかわる問題だ」
などと述べているという↓。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060705i109.htm

確かにミサイル実験そのものは、
日本やアメリカも行なっていることであり、
そのこと自体は「自主権にかかわる問題」ではある。
ミサイル実験自体を禁止する国際条約があるわけでもない。
だが北朝鮮は、
金正日国防委員長が自らサインした日朝平壌宣言の中で、
朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、
 ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく」と
はっきり明言していたのである。
もし仮に北朝鮮が、
「日本やアメリカは先月22日にも、
 海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の実験をやっているではないか。
 日本やアメリカはミサイルを撃ってもいいのに、
 なぜ我が国だけがミサイル実験をしてはいけないのだ!」と言うのであれば、
日朝平壌宣言の表明相手国である我が国に
「ミサイル発射モラトリアムの解除」をきちんと通告した上で、
「○月○日に
 この領域でミサイル実験を行ないますので、
 関係する船舶や飛行機は十分注意してください」
と公表してから発射するのが筋である。

■公海自由航行や飛行の自由への重大な侵害
そもそも公海上に達するミサイル発射を行なうときは、
周辺国や航空機・船舶にあらかじめ事前公表しておくことが
国際的な常識だ。
北朝鮮も締約している国連海洋法条約には、
公海における自由の権利は
他国の航行の自由や上空飛行の自由に
「妥当な考慮を払って行使されなければならない」

定められている(第87条)。
また、
同じく北朝鮮も締約している国際民間航空条約の付属書11-2・17にも、
「締約国が
 民間航空機の航行に危険を及ぼす恐れのある活動を行う際には、
 事前に関係国航空当局間で調整を行わねばならない」
と明記されている。
 
北朝鮮が、
もし自分たちが やましいことはしていないと認識しているのであれば、
事前にしかるべき手続きを踏んだ上で、
正々堂々とミサイル実験の目的とその軌道とを公表し、
海洋航行中の船舶や飛行中の航空機などの安全を充分確保した後に
ミサイル発射を行なわなければ
全く筋が通らない。

■日朝平壌宣言空文化に道開くミサイル発射糾弾
今出川通信会は今回の件で本日、
「事実上の在外公館」である朝鮮総連を通じて北朝鮮に、
日朝平壌宣言の空文化に道を開くミサイル発射の強行に強く抗議し、
わが国をはじめとする関係諸国への明確な説明を求めるとともに、
北朝鮮が
「ミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、
 関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図る」とするこの宣言の精神に
直ちに立ち戻ってミサイル実験を中止するよう求める書簡を送付した。

■「朝鮮学校に抗議電話」は
 まちの焼肉屋やキムチ屋に抗議するのと同じ愚挙
報道によると5日午前、
愛知朝鮮中高級学校に嫌がらせの電話があり、
無言電話のほか、
いずれも違う男の声で
「なぜミサイルを撃ったのか」
「日本から出て行け」など脅迫めいたものもあったという(読売新聞7月6日)。
嫌がらせをしている本人は
抗議行動か何かのつもりなのであろうが、
これはまったく筋違いもはなはだしい愚挙である。

このことは、
立場を入れ替えて考えてみればすぐにわかるはずである。
もし日本が何かをやったとき、
海外の日本人学校に文句を言いにこられても、
はっきり言って無意味である。
日本人学校の生徒や教員たちも、
「出て行け」と言われて出て行くわけにはいかないし、
「なぜそんなことをしたのか」と言われても、
「さぁ、どうしてでしょうかねぇ」としか答えようがない。
なぜなら日本人学校は、
何ら日本政府を代表する機関ではないからだ。

要するに朝鮮学校に抗議をするのは、
北朝鮮のやっていることに腹が立ったからといって
まちの焼肉屋やキムチ屋に文句を言いにいくのと同様の
まったく筋違いな話なのである。
北朝鮮による今回のミサイル発射に対する怒りは、
正しい方向に向けて発せられなければならない。
そうでなければ全く意味を成さないばかりでなく、
場合によっては有害ですらある。

北朝鮮と国交のない我が国において、
「事実上の在外公館」として北朝鮮が認める代表機関は
朝鮮総連のみである。
今こそ朝鮮総連に抗議のメッセージを集中し、
北朝鮮による今回の反人民的暴挙に対する糾弾の嵐をたたきつけよう。

《参考サイト》
北朝鮮:「国際法には拘束されず」・「発射、今後も」
「先制攻撃正当化は許されない」
[PR]
by imadegawatuusin | 2006-07-06 12:57 | 国際