北朝鮮:「国際法には拘束されず」・「発射、今後も」

――国際法軽視の開き直りは許されない!――

■無法さ際立つ北朝鮮当局の姿勢
北朝鮮の外務報道官は6日、
5日のミサイル発射行為を「軍事訓練の一環」と初めて公式に認めるとともに、
発射訓練を今後も継続する意志を示した(朝日新聞7月7日)。

北朝鮮の外務報道官は、
日朝平壌宣言に反するミサイル発射強行を、
「自衛的国防力の強化のために
 わが軍が行った通常の軍事訓練の一環」と強弁。
「主権国家としてのこうした合法的権利は、
 いかなる国際法や
 朝日平壌宣言、6者協議の共同声明などの二国間・多国間合意に
 拘束されない」と驚くべき主張を展開した。

そもそも、
国際法や国際合意に行動が拘束されないならば、
それは もはや国家とは言えない。
それは単なる暴力集団というものである。
今回の北朝鮮外務省報道官の弁明は、
国際ルールに背を向ける北朝鮮当局の無法さを
世界に際立たせるものとなっている。

■北朝鮮の「ミサイル発射凍結」には合理的な理由があった
ミサイル発射のモラトリアムの継続は、
2002年の日朝平壌宣言において、
北朝鮮の金正日国防委員長が
自ら署名した日朝平壌宣言の中で表明したものである↓。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html

この背景には、
北朝鮮が1998年に、
周辺国や関係機関への事前通告なしに「テポドン1号」を発射し、
日本列島を飛び越えて太平洋側に落下したという一件がある。
この件は国際社会に
北朝鮮のミサイル発射への強い不信感と警戒感とを抱かせた。
当時の国連安保理は、
地域の漁業や海運活動に危害を及ぼし信頼醸成に逆行するとの懸念や、
事前通報がなかったことへの遺憾の意を盛り込んだ報道声明を発表している。
日朝平壌宣言での北朝鮮のミサイル発射凍結表明は、
こうした国際社会の声にこたえる意味を持つものだった。

■国際ルールを公然と無視
ところが北朝鮮は今回、
ミサイル発射凍結の表明先である我が国に
何の事前通告も行わないままミサイル発射を再開した。
我が国ばかりでなく周辺諸国や関係機関に対しても、
一切の事前通告を行なわないままミサイル演習を強行したのだ。
このことは、
船舶の公海自由航行や
航空機の飛行の自由に対する重大な侵害行為であり、
北朝鮮自身も批准している国連海洋法条約にも違反する。

今回の北朝鮮外務省報道官の弁明はまさに、
国際法と国際合意を無視する同国の姿勢を公然と表明したものであり、
断じて容認することはできない。
仮にも「主権国家としての合法的権利」なるものを主張しようというのであれば、
公海を航行する船舶や航空機に十分な配慮を払うという
最低限の国際ルールを守るのが前提中の前提である。
北朝鮮のこのたびの振る舞いは、
ミサイル発射の権利はもちろん、
ミサイルの製造や貯蔵に関しても、
そもそもこの国にその資格があるのかと
重大な疑問を抱かせるものとなっている。

■焦点は国連安保理に 我が国の日頃の外交力が試される
今回の北朝鮮のミサイル発射強硬に関し、
我が国はいち早く国連安全保障理事会に
北朝鮮非難・制裁決議案を提示し、
すでにロシアや中国を除く多くの国の賛同を得ている。

ロシアにしても中国にしても、
あのような場所に北朝鮮が
どんどんミサイルを発射してもかまわないとは思っていない。
制裁決議には反対する姿勢を見せているものの、
今回は1998年の「テポドン発射」のときよりもより段階の強い
「議長声明」での北朝鮮批判を求めている。
国連安保理が北朝鮮に強いメッセージを持って臨むことは
確実な情勢と見てもよい。

実に当然のことではあるが、
北朝鮮のミサイル発射は日本一国の問題ではない。
特にロシアは、
関係諸国の中で今回最も領土近くにミサイルを打ち込まれた国であり、
その立場は重い。
また中国も、
北朝鮮との間で一方が攻撃を受けた場合に
互いに軍事援助を行なうことを義務付けられている国であり、
北朝鮮が軍事的動乱に巻き込まれた場合には
もっとも大きな影響をこうむる国の一つである。
両国とも、
国連安全保障理事会においては拒否権を行使できる権限を持つ。

この両国といかに意見をすり合わせ、
関係諸国間の分断を阻止し、
安保理理事国が一致して北朝鮮に強いメッセージを発することができるかどうか。
ここに、
我が国の日ごろの外交力の成果が試されていると言っても過言ではない。

近年、あまり思わしくないといわれる我が国の東アジア外交であるが、
今回の北朝鮮のミサイル発射を
快く思わない・再発射を阻止したいという意味では
関係国の思惑は完全に一致している。

そしてそうした諸国にとって、
今回の北朝鮮のミサイル発射を非難するための
最も大きな論拠の一つが
日朝平壌宣言なのだ。
この宣言は金正日国防委員長自身がサインしたものであり、
北朝鮮のミサイル発射を非とする国際社会にとって、
大きな論理的足がかりとなっている。

我が国は、
今こそ日朝平壌宣言を高く掲げて、
北朝鮮のミサイル発射の不当性を国際社会に強く訴えてゆくべきだ。
それは、北朝鮮が「ミサイル発射凍結」を約束した日朝平壌宣言の
表明相手国である我が国にこそ可能な使命なのである。

僕は、今回の件を口実に、
北朝鮮への武力攻撃を政府に求めるような
一部の国家主義的な風潮には組しない。
ロシア沿海州沖にミサイルが落下したという、
何ら具体的人的・物理的被害の出ていない段階で、
もはや宣戦布告を受けたかのように危機感をアジり立て、
戦争への突入を唱えるような最後通牒主義的立場には断じて立たない。

だが僕は、
朝鮮半島における武力抗争という、
我が国にとっても、周辺諸国にとっても最悪の事態を避けるためにこそ、
関係諸国間の分断を阻止して「ミサイル発射非難」の国際意思を勝ち取り、
これ以上東アジアの緊張を高める北朝鮮の無法・非道を
断固阻止するべきだと思う。

■ミサイル発射続ければ更なる制裁強化は必至
「北朝鮮が日朝平壌宣言を遵守する限り、
 北朝鮮に対する経済制裁は行なわない」と繰り返し述べてきた小泉政権は、
今回の北朝鮮のミサイル発射を受け、
直ちに経済制裁を発動した。
発射訓練を今後も継続する意志を示している北朝鮮であるが、
もしミサイル再発射を強行すれば、
我が国がさらに高い段階での経済制裁を発動することは必至である。

また、国連安保理での
「非難・制裁決議」ではなく、
「議長声明」での北朝鮮批判を求めている中国・ロシアも、
議長声明では効果がなかったということになれば、
安保理決議採択に反対できなくなる可能性は高い。

僕はここにあらためて、
北朝鮮が日朝平壌宣言をはじめとする国際的な取り決めを遵守し、
直ちにミサイル発射継続の姿勢を取り下げることを強く求める。

《参考サイト》
「北朝鮮:平壌宣言に反しミサイル発射強行」
「先制攻撃正当化は許されない」
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by imadegawatuusin | 2006-07-07 19:44 | 国際