黒石翁『メイド王子』について

――メイドさんは男の子!――

■少年執事、お嬢様のために女子寮でメイド姿で大奮闘!
僕はいわゆる「女装少年」モノの大ファンであるが、
意外に女装少年を心の底から「かわいいっ!」と思えたことが
実はない。

『ミントな僕ら』の のえる君は
「かわいい」というのとはちょっと違うし、
『少年ヴィーナス』の高見沢操一郎くんについても、
「かわいらしさ」というよりは、
女装の中からにじみ出る、
その生き様の「かっこよさ」みたいなものに
僕は惹かれてならないのである。

けれど僕は、
本書『メイド王子』のカバーイラストを見た瞬間、
メイド少年・たすく君のかわいらしさに
本当に一発でやられてしまった。

憧れのお嬢様にお仕えするため、
小さいころから執事としての訓練を受け続けてきた中学生の永倉たすくは、
ある日「お館様」から、
お嬢様付きのメイドとして
聖セシーリア女学院(高校)の女子寮に潜入せよと命じられる。

憧れのお嬢様にお仕えできるのは嬉しいけれど、
高校生のお姉さまたちに囲まれながら、
本当に女の子としてやってゆくことができるのだろうか……。

何があっても前向きで、
どんなときにもお嬢様第一!
直球まっすぐに「メイド道」を突き進む たすく君は
見ていて本当にかわいらしい。

さらに、
挿絵を担当したとんぷうさんのイラストが最高だ。
どのイラストにも、
たすく君の かわいらしさ・ひたむきさを100パーセント引き出すために
絶妙の趣向を凝らしてある。

とんぷうさん曰く、
たすく君は「男の子っぽくツンツン気味の髪型、
女の子っぽさを出す為少し長め」。
「顔にも男の子っぽさを出そうと、
 気持ち眉が太め」、
「うまく中性的、やや男の子寄りな雰囲気が出せてたら
 幸いなんですけど」とのこと。

この
「うまく中性的、やや男の子寄りな雰囲気が出せてたら」……
というコメントを見た瞬間、
このとんぷうさんは「女装少年モノ」のツボを
しっかりと押さえておられる方であると
僕は はっきりと確信した。

そうだ。
そうなのである。
女装少年は、ただ かわいらしくて女の子っぽければ
それでいいというようなものでは決してない。
「中性的、やや男の子寄りな雰囲気」をいかに残して
女装させられるかどうかというところが味噌なのである。

「メイドというのは仕事の結果ですべてを語るもの。
 だから、
 ボクが語るべき言葉は今日までの仕事のみです」というきめゼリフも、
メイドとしての誇りの高さとお嬢様への献身性に満ちた
たすく君にピッタリだ。


《お薦め女装小説》
1.奈波はるか『少年舞妓・千代菊がゆく!』シリーズ
2.志麻友紀『ローゼンクロイツ』シリーズ
3.新井素子『ふたりのかつみ』

【本日の読了】
黒石翁『メイド王子』新風社Jam Plusノベルズ(評価:4)

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by imadegawatuusin | 2006-07-30 23:34 | 文芸