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名古屋ふれあいユニオン第9回大会

職場の理不尽を許さない、
強くてやさしい地域労組の建設を!


■節目の年を振り返って
「2006年度は名古屋ふれあいユニオンにとって、
 一つの節目の年であったと思います」。
3月18日、
愛知県勤労会館で開かれた第9回定期大会で、
2006年度を総括し、浅野委員長はこのように語った。

1999年、28名で結成された名古屋ふれあいユニオンの組合員は、
この2006年度についに100人の大台を突破。
大会成立時点で143人を擁するに至った。

この「飛躍」の原動力となった2006年度の新入組合員は、
その9割がパート・派遣・契約社員などの非正規雇用労働者。
9年前に
「非正規雇用労働者の拠り所」となることを目指して結成された
名古屋ふれあいユニオンが、
小泉「構造改革」に端を発する「格差社会」の進行の中で、
その存在意義をいよいよ高めていることが実証されつつある。

しかしそれ以上に特徴的な点は、
2006年度の新入組合員の実に7割が、
日系ブラジル人をはじめとする外国人労働者であったという点である。

わが愛知県には、
自動車関連産業の下請けなどの多くの製造現場において、
従来から外国人労働者が多数働いてきた。
彼らの多くは
派遣・請負などの不安定な雇用条件の下で、
労災の絶えない劣悪な労働環境、
社会保険など労働者として当然のセーフティネットの整備すら充分でないなど、
厳しい労働状況に置かれてきた。
だが、
にもかかわらず既存の企業内組合はもちろんのこと、
われわれコミュニティユニオンもまた、
言語や文化の壁に阻まれ、
外国人労働者問題に充分な取り組みを行なうことができてこなかった。

この状況に変化をもたらしたのが、
2006年度の日系ブラジル人運営委員の誕生である。
派遣会社・ラポールサービスで通訳社員として働いていた彼は
昨年2月、
職場においてふれあいユニオンの分会を結成。
その後の会社側の不当解雇攻撃にもひるむことなく反撃し、
地位保全を求める仮処分裁判に勝利
こうした日系ブラジル人運営委員の活躍は、
愛知県下の多くの日系ブラジル人労働者を励まし、
年度前半には彼の居住する豊橋地区を中心に、
年度後半には愛知県全域から日系ブラジル人労働者が
多数ふれあいユニオンに加盟した。

そう。
2006年度は、
「性別・国籍・雇用形態に関わらず、
 すべての労働者が1人から入れるコミュニティ・ユニオン」という謳い文句が
わが名古屋ふれあいユニオンの真の性格として
定着した年であったのだ。

だが、こうした100名以上の新入組合員の誕生の一方で、
2006年度には61名のなかまたちが
ふれあいユニオンから脱退した。

こうした事態を受けて大会では、
「脱退した組合員の辞めた理由を教えてほしい」
「どこにどのような組合員がいるのかもよくわからない状況では、
 『共に頑張りましょう』と言われても実感がわかない。
 組合員名簿の配布をお願いしたい」との意見も組合員から出された。

これに対して前期運営委員会からは、

1.脱退した組合員の脱退理由の公表については、
  傾向報告を行なうことを次期運営委員会の課題として
  検討すること。
2.組合員名簿の配布については、
  個人情報保護の観点などから
  即答することが難しいこと。


などが説明された。

折しも
日本航空の最大労組・JAL労組での名簿の漏洩が
社会問題となっている
ふれあいユニオンの組合員の中には
現在「非公然」の状態で活動している人も少なくないこと、
ふれあいユニオンが
組合員数100名を突破する規模にまで拡大したことなどを考えると、
組合員名簿を大量頒布することに対しては
やはり躊躇を覚えざるを得ないことも事実である。

ただ、
組合員同士が
「どこにどのような仲間がいるのか」を知り、互いに問題を共有することが
非常に重要な課題であることは間違いない。
今後、
全体会・交流会などにいかに多くの組合員の参加を勝ち取り、
交流の活発化を実現するかが課題であろう。

■専従体制確立(フルタイムスタッフの常駐)へ!
大会では、
2006年度の経過報告の後、
2007年度の活動方針(案)の討議に移る。
目玉はやはり、
「役員専従体制の確立」である。

現在ふれあいユニオンでは、
浅野運営委員長が、
自ら医院勤務の傍ら組合活動を中心的に担っている。
しかし、
組合員・交渉件数の増加、
活動範囲の三河地域への拡大の中で、
これまでの体制では
直面する問題に充分な対応を行なうことが難しくなっていた。

現在の「半専従」体制の中では、
持ち込まれてくるさまざまな問題への対応を絞り込まざるをえないのが
実情である。

現在の体制を維持しつつ、
活動の絞込みで対処するのか。
それとも、
財政的には厳しくとも、
専従態勢の確立(フルタイムスタッフの常駐)に打って出るのか。
大会は、
後者の道を選択した。

大会では、
「2007年度の収入予想が
 前年度の約1.5倍になっているが、
 これは
 (専従態勢の確立にともない)
 支出が1.5倍になることが避けられないことに合わせた
 『見込み予算』では」との質問も出された。

これに対して運営委員会からは、
「この予定収入は、
 現在の組合員数を維持できれば充分に達成できるもの。
 専従態勢を確立すれば
 2007年度はよりいっそうユニオンの活動が活発になることが期待できるし、
 決して不可能なものではない」旨が説明された。

ただ、
これはあくまで一人一人の組合員が
きちんと組合費を納入することが大前提となっている。

「組合員が組合費を払う」という当たり前の原則を維持できるかどうかに、
名古屋ふれあいユニオンの活動の活性化、
ひいては愛知県労働運動の前進がかかっているのだということを
改めて再確認したい。

大会ではその他、
組合員の加入と定着につとめ、
早期に組合員200人体制の確立を実現すること、
「コミュニティユニオン全国ネットワーク」の活動に積極的に参加するなど
全国のユニオンとの連携を強化し、
「全国ユニオン」への加入についても討議することなどが
2007年度の活動方針として採択された。

■スト権確立、新年度運営委員選出
また大会では、
今年度の年間ストライキ件の確立に関する決議が
直接・無記名投票によって採択された。
投票に先立ち組合員からは、
「賛否を投票で問う意味がわからない。
 反対する理由があるのか」との質問があった。

確かに、
個々の局面で
「今この状況でストライキをすることに
 賛成か反対か」と問われるのならともかく、
漠然と
「年間ストライキ権の確立に
 賛成か反対か」と言われても、ピンとこないという人は少なくないだろう。

これは、
日本の労働組合法上の制約に関係している。

わが国の労働組合法は
世界的にも非常に自由なものの一つであると言われている。
私たちのような「地域」を組織対象とする
「コミュニティ・ユニオン」という組織形態も、
この労働組合法の自由によるところが大きい。

だが、
それでもやはり現行の労働組合法は、基本的には
既存の「企業内組合」型の労働組合を前提にしたものであることは
事実である。
労働組合がストライキを行なうにあたっては、
組合員の直接無記名投票による、
有効投票数の過半数の賛成が必要とされている。

例えば、
Aという企業にA労働組合があった場合、
ストライキをするのならA労働組合の組合員が集まって話し合い、
投票をやって決めればいい。

だが、
私たちのようなコミュニティ・ユニオンにこの方式を持ち込んだ場合、
どうなるか。

名古屋ふれあいユニオンは、
名古屋ふれあいユニオン全体で単一の労働組合である。
したがって、
ふれあいユニオンの中のBという職場で働く労働者が
ストライキを起こす場合でも、
(単位はあくまで「名古屋ふれあいユニオン」であるので)
法律上、
いちいち ふれあいユニオン全体で投票を行ない、
賛否を決しなければならなくなる。
これはあまりにも非現実的であるし、
機能的でもない。

そこで全国のコミュニティ・ユニオンでは、
年に1度の大会の際に
あらかじめ組合員のみなさんに
「すべてのストライキ」に賛成しておいていただき、
ストライキ権の具体的行使については
執行部にその権限を委譲する、
という手続きを取っているところが多い。

無論、
ユニオンの運営委員会は、
「権限を委譲」されたからといって、
その権限を乱用し、
一般組合員の意思に反してストライキを強要するようなことが
あってはならない。
決議の中でも、
ストライキの際は
「その職場組合員の意思を
 適切な方法で点検」することが確認されている。

したがってこの「ストライキ権確立投票」については、
「コミュニティ・ユニオンがストライキを行なう権利を確立するにあたって
 法律上必要な手続き」であると考え、
今後の大会でもぜひとも賛成していただけるよう、
理解を求める次第である。

大会ではさらに、
2007年度の運営委員選挙が行なわれた。
対立候補者なしのため信任投票が行なわれ、
立候補者全員が信任された。

■「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」
大会では最後に、
すべての争議・裁判の勝利に向けた決議が採択された。
決議には、
「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」とある。
弱肉強食「構造改革」が進行し、
労働者分断、雇用破壊が強まる中、
「性別・国籍・雇用形態に関わらず、
 すべての労働者が1人から入れるコミュニティ・ユニオン」の存在意義は
ますます高まっている。

「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」。
職場の理不尽を許さない、
強く優しい地域労組の建設に向けて、
名古屋ふれあいユニオン、団結ガンバロー!


《参考記事》
名古屋ふれあいユニオン第10回定期大会報告
名古屋ふれあいユニオン運営委員長就任のご挨拶(第10回大会)
名古屋ふれあいユニオン11回大会報告
名古屋ふれあいユニオン第12回定期大会


職場の理不尽を許さない、強く優しい地域労組の建設を!
愛知県下の未組織労働者は名古屋ふれあいユニオンに結集し、
愛知県に人権労働運動の灯をともそう!



労働組合名古屋ふれあいユニオン
雇用形態や国籍に関わりなく、
愛知県下で働くすべての労働者が一人から加盟できる
地域労働組合(コミュニティユニオン)。
コミュニティユニオン全国ネットワーク
コミュニティユニオン東海ネットワークにも参加。
日ごろから組合員の学習会や交流会・相談会などを
積極的に企画しながら活動している。
組合員は組合費月額1500円。
賛助会員(サポーター)は年会費5000円。
住所:〒460‐0024
    名古屋市中区正木4-8-8 メゾン金山711号室
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by imadegawatuusin | 2007-03-18 01:24 | 労働運動
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