朝日新聞:尾辻かな子さんの記事を掲載

――新宿二丁目会長「存在に気づいてもらうチャンス」――

■「マイノリティが暮らしやすい社会は……」
大阪府議在職中に同性愛者であることを公表し、
7月の参議院選挙に
比例区から民主党公認で出馬することが決定している
尾辻かな子さんの紹介記事が6月19日の朝日新聞夕刊に掲載された。
表題は「大阪の同性愛者、民主公認の参院選候補に」である。

記事は、

日本の同性愛者にとって、
今回の参院選は大きな転換点になるかもしれない。
自らレズビアン(女性同性愛者)であることを公表した元大阪府議が、
民主公認で比例区に立候補することになったからだ。


と切り出す。
尾辻さんのキャッチフレーズは、
「私はレズビアン。
 マイノリティが暮らしやすい社会は
 誰もが暮らしやすい社会」である。
尾辻さんの登場は、
もちろん「日本の同性愛者にとって」の「大きな転換点」ではあるけれど、
決してそれだけにはとどまらない。
同性愛者をはじめとする様々な性的少数者はもちろんのこと、
独身者・離婚者・事実婚の人など、
これまでの「お決まりのライフスタイル」から少し外れたところにいる人、
そして、
今はそうでなくても将来そうなりうるすべての人々にとって、
尾辻さんの登場はやはり「大きな転換点」となるのではないかと僕は思う。

記事を見て、思わず考えさせられる記述もあった。
それは、
「応援することが、
 周囲へのカミングアウト(公表)と同じ意味も持つ」と悩む
女性同性愛者の声である。

以前にも書いたが↓、
http://imadegawa.exblog.jp/5534166/
僕は直接的にはカミングアウト前の尾辻かな子さんしか知らない。
当時、大阪府議を目指していた尾辻さんを支援していた人たちの大半は
おそらく性的少数者ではなかったと思う。
(当たり前すぎるほど当たり前の話ではあるが)。
だから正直、この記事を読むまで、
僕にはそうした感覚がまったく抜け落ちていた。

記事には

支持者の間からは
「ヘテロ(異性愛者)にも訴えられる政策を充実するべきでは」との声もある。


とあったが、
僕は今まで、
比例区で闘う尾辻さんは、
むしろ
より「性的少数者」にターゲットを絞った選挙戦をしたほうがいいのでは、
とすら考えていた。
記事にもあるとおり、
「国内の同性愛者は少なくとも100万人超とみられる」。
その、ほんの5分の1が確実に投票所に足を運び、
「尾辻かな子」と書きさえすれば、
尾辻さんは楽勝で参議院選挙を突破することができる。
だが、
この100万人に尾辻さんが
「自分たちの代表」と認知してもらえなかった場合、
尾辻さんは落選する。

要は「取れる」ところをいかに確実に「取る」かどうかの勝負であって、
それ以外の部分にまでヘタに手を出す必要はない、と考えていた。

記事の中では
「ゲイの街」・新宿2丁目振興会の福島光生会長も、

票を出せば、
我々の存在に気づいてもらえる。
このチャンスを生かし、
少数者の声を国会へ届けたい


と語っている。

尾辻さんは無論、
平和問題や環境問題、労働問題などにも非常に意欲を持つ人であるが、
何百人という候補者が立候補している比例区において、
そうした政策を総花的に並べてみても、
たとえば平和問題に関心のある有権者がその何百人の候補者の中から
「尾辻かな子」を選び出し、
投票してくれる可能性は限りなくゼロに近い。
むしろそうした人は、
社民党共産党に投票する可能性が高いであろう。
労働問題に深い興味を持つ有権者も、
おそらく尾辻さんではない、
民主党や社民党の他の労組推薦候補者に票を入れる可能性が高い。

数人の候補者の中から1人を選ぶ小選挙区の場合は
「薄く広く」、さまざまな公約を並べて、
最大公約数的な、言い換えれば「無難」な選挙戦を展開するほうが有利であるが、
むしろ比例区に出馬する尾辻さんの場合、
得意分野に特化する選挙戦、
ターゲットを確実にものにする選挙戦が求められるのではないかと思っていたのだ。
そして現に尾辻さんは、
主にこの戦略に沿って動こうとしているように見える。
(「環境運動家・尾辻かな子」「平和運動家・尾辻かな子」は
 あまり前面には出てこない)。

しかし、こうした戦略を押し進めたとき、
そんな尾辻さんを「応援することが、
 周囲へのカミングアウト(公表)と同じ意味も持」ってしまうということに、
僕はまったく気づけなかった。
こうした気遣いのなさが、「異性愛者の傲慢」なのかなと、
反省することがよくあるのだが……。


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by imadegawatuusin | 2007-06-19 23:08 | 政治