政府:要望書の受取を拒否――送り返す方針

――憲法・請願法違反の疑い――

■違法な挑発は相手付け入る隙与えるだけ
朝鮮総連が9月6日午前に提出しようとした、
北朝鮮の水害支援をめぐる
安倍首相あての要請書の受け取りを
内閣府の戸井田徹政務官が拒んでいたことが明らかになった。
戸井田政務官が要望書を受け取らないので
朝鮮総連側は仕方なくその場に置いていったのであるが、
何と与謝野馨官房長官はこれを、
「政府としては内容証明つきで送り返す」などと
6日の記者会見で公然と発言したというのである(朝日新聞9月7日)。
この行為は、
憲法第16条に定められた「請願権」の侵害であり、
官公署が請願を受理する義務を定めた請願法にも
明らかに違反するものだ。

日本国憲法は、
行政に関するあらゆる事柄について
「平穏に請願する権利」を、
外国人や法人を含む「何人」に対しても保障している(16条)。
(憲法では、
 日本国民のみに認められる権利は
 「すべて国民は……」の形で規定されているのに対し、
 「何人も……」の形で規定されている人権は
 日本国内の全ての人に適用される)。
また、
日本国憲法と同時に施行された請願法も、
「官公署」が請願を「受理し誠実に処理」する義務を
定めている(5条)。
(なお請願法第2条は、
 「請願は
  ……文書でこれをしなければならない」と定めている。
 口頭で朝鮮総連側の説明を受けたことをもって
 「請願を受理した」と強弁することは詭弁である。
 口頭で行なわれたものはあくまで
 「文章で行なわれる請願の趣旨説明」であって、
 肝心の請願である文書の受け取りを拒否した以上、
 請願権の侵害は明らかだ)。

請願法の規定に則り、
身元を明らかにした上で
文書にてなされた要望書の受け取りを拒否した政府の対応は、
明らかに憲法・請願法に違反する
違憲・違法の行為である。

■ただ「威勢がいい」だけの稚拙な対応……大衆迎合主義の局地
要望書を受け取ることは、
決して相手の言い分を認めることを意味しない。
朝鮮総連の言い分が不当なものだと思うのであれば、
正々堂々と法に則り要望書を受理し、
きちんとこれを読んだ上で、
無視するなり反論するなりすればいい。
それだけのことであるはずだ。

それを、
朝鮮総連側が持参した要請文を受け取ることすら拒否し、
しかもわざわざ内容証明つきで送り返すというのは
いったいどういう了見なのか。

相手が北朝鮮関連の団体なら法を無視してもよい、
むしろ法を無視するくらいが愛国的だとでも言いたげな軽薄な風潮は
本当に憂うべきことである。
このような違憲・違法なやり方で朝鮮総連を挑発しても、
かえって相手側に付け入る隙を与えるだけだ。
一見威勢がいいように見えたとしても、
真の国益にはつながらない。
このような稚拙な対応は、
悪い意味での大衆迎合主義の極致といえる。
(そもそも、返送する際の内容証明郵便代は、
 国民の税金であるはずだ。
 細かい話のようではあるが)。

政府による今回の要望書の受理拒否は、
単に朝鮮総連のみならず、
広く一般市民の請願権を脅かす
きわめて憂慮すべき事態である。

僕は、
憲法・請願法の規定に違反する
政府による要望書の受理拒否に強く抗議し、
再発防止に取り組むよう求めたい。

【参考法文】
●日本国憲法第16条

何人も、
損害の救済、公務員の罷免、
法律、命令又は規則の制定、廃止
又は改正その他の事項に関し、
平穏に請願する権利を有し、
何人も、
かかる請願をしたために
いかなる差別待遇も受けない。

●請願法第1条 
請願については、
別に法律の定める場合を除いては、
この法律の定めるところによる。 

●請願法第2条 
請願は、
請願者の氏名(法人の場合はその名称)
及び住所(住所のない場合は居所)を記載し、
文書でこれをしなければならない。 

●請願法第3条 
請願書は、
請願の事項を所管する官公署に
これを提出しなければならない。
天皇に対する請願書は、
内閣にこれを提出しなければならない。
2 
請願の事項を所管する官公署が
明らかでないときは、
請願書は、
これを内閣に提出することができる。

●請願法第4条 
請願が誤つて
前条に規定する官公署以外の官公署に提出されたときは、
その官公署は、
請願者に正当な官公署を指示し、
又は正当な官公署にその請願書を送付しなければならない。 

●請願法第5条 
この法律に適合する請願は、
官公署において、
これを受理し誠実に処理しなければならない。

●請願法第6条 
何人も、
請願をしたために
いかなる差別待遇を受けない。

●請願法附則
この法律は、
日本国憲法施行の日から、
これを施行する。
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by imadegawatuusin | 2007-09-09 06:30 | 政治