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愛知製鋼:労災隠しの実態

――指先は今も変形したまま――

■背景には偽装請負
トヨタグループの特殊鋼メーカー・愛知製鋼(旧豊田製鋼)の
工場内における労災隠しについて、
NPO法人「愛知健康センター」の機関紙・『いのちと健康』9月号に
記事が掲載された。
この問題の背景には、
現在 愛知県の個人加盟制労組・名古屋ふれあいユニオンが取り組む、
愛知製鋼における偽装請負問題が存在している。

以下、
『いのちと健康』9月号の記事を転載する。

愛知製鋼が偽装請負、
下請け社員の労災かくしが存在


2005年冬、東海市・愛知製鋼構内の工場で、
右手中指先端を機械ではさむ損傷事故が発生した。
直後に、
現場作業長・下請会社の担当者が駆けつけ確認した。
本人は大分痛がっていたが、
作業長の口から出た言葉は、
驚くことに
「2ヶ月前に社員の○○が怪我をしたばかりだのに
 こまったなあ・・・
 まあその怪我と比べるとかすり傷だから、
 黙っといてくれ。」と
大き目の軍手を渡されて、
そのまま仕事を続けることになる。
夜勤終了間際の朝方になっても出血が止まらない状態で、
本人だけで病院に行くことに。

受診時に、
「どこでどのように怪我をしたのか?」と質問され
正直に答えたところ、
「労働災害保険を適用してください」といわれる。
仕方なくその日の診療代金は全額本人負担に。
その後4~5回通院。
全て無保険の本人負担。
その翌日も仕事を休ませてもらうことなく、
痛みをこらえながら勤務することに。
現在、
被災した方の指先はそのときの怪我のせいで、
変形したままになっている。

工場内作業中に怪我をし、
作業長が怪我の現場を確認までしているのに、
「報告」をすると会社の人事考課にも響いてしまうため
隠蔽に走ってしまう。
被災者の所属する下請け会社も
労働災害の報告をしてしまうと仕事の受注に関係するので、
できるだけ報告をしないように。

被災から1年以上たった2007年1月に、
愛知製鋼事務局内に設置されている内部通報機関に告発したが、
事務局からの回答は
「当該社員は関与していない」と
信じられない報告があった。

■ふれあいユニオンの活動により収集された情報
1.愛知製鋼社員が非正規雇用社員の労働災害を隠している。
2.死にまでは至らない労働災害が
  報告されない場合がある。
3.愛知労働局は愛知製鋼の偽装請負の実態調査に踏み込んだ。
4.内部通報機関に
  「社員による労災かくしが行われた」旨報告した。
  本来内部通報期間は実名での通報内容に対しては
  20日以内に回答しなければいけない義務がある。
  しかし、
  ふれあいユニオンが、
  愛知製鋼ほっとライン事務局からの回答を受けたのは、
  なんと7ヶ月も後だった〔酒井注〕。
5.しかも愛知製鋼側の回答は
  「下請け会社の社員が災害に合ったことは認めるが、
   愛知製鋼社員が労災かくしをした事実は無い」
  との報告だった。
6.愛知製鋼ほっとライン事務局は、
  「他社のことに関しては、
   コメントを控える」としている。
  しかし、6月28日よりの労働局実態調査の結果は、
  「偽装請負」状態であることが判明。
〔酒井注〕正確には、
内部通報機関に告発したのは名古屋ふれあいユニオンではなく、
「下請け」(より正確には、愛知製鋼から見ると「曾孫請け」)会社の従業員。
この人はふれあいユニオンには加盟していない。


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by imadegawatuusin | 2007-09-25 07:43 | 労働運動
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