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愛知製鋼下請・三築裁判続報

――「使途不明金1000万円以上」答弁書で自ら暴露――

■使途不明金の存在隠蔽 「役員報酬」として処理
今年9月末をもっての一方的な「自主廃業」を宣言した
愛知製鋼下請会社・三築(代表取締役:大久保文和)に対し、
三築従業員の名古屋ふれあいユニオン知多分会組合員4人が
解雇無効の裁判を闘っている。
(うち2名は勝利和解した前回に続き、
 2度目の解雇無効裁判)。

これまでの団体交渉の中で労働者側は、
三築が3名の役員に対して
昨年度1年間だけで7000万円以上の役員報酬を与えており、
それを踏まえてなお
2007年3月末には1億8千万円もの純資産を
保有していた事実を突きつけ、
「現時点では年間の給与総額を優に超える純資産を
 会社は保有しているはずだ」と追及してきた。
だが会社側は労働者側のこの主張に対し、
「当社にとって資産表は経営上公にすることができません」と、
現時点での財務状況の開示を拒んだまま、
労働者の解雇を強行しようとしたのである。
(それにしても、
 今から「自主廃業」するという会社が
 「経営上」公開できないと主張するのは、
 一体どういう意味なのだろうか)。

裁判の訴状においても労働者側は、
昨年度の役員3名に対する
7000万円以上の役員報酬について言及した。
それに対し10月16日、
三築からの反論が裁判所に提出されたのであるが、
これが傑作なのである。
「7000万円の役員報酬」の指摘に対し、
「平成18年度の役員報酬が約7000万円計上されているが、
 そのうち約1000万円以上は、
 被告(酒井注:=三築)の使途不明金を
 経理上役員報酬で処理した次第である」と、
「反論」してきたのである。

こちらが聞いてもいないところで、
僕たち名古屋ふれあいユニオン側が一貫して指摘してきた、
「不明朗な会計処理」の一端を
自ら「立証」してくれたのはありがたい。
「語るに落ちる」とはこのことである。

会社側とすれば、
役員は実は7000万円も報酬をもらっていない。
実際には6000万円程度だと言いたかったのであろうが、
そもそも使途不明金が1000万円以上に上ること自体が異常であるし、
それを公明正大に報告することをせず、
「役員報酬」という形で処理し、隠蔽していたのだとしたら、
それはなおのこと大問題だ。
三築の経営実態を徹底的に追及し、
一方的で労働者無視の「自主廃業」の不当性を
明らかにしてゆきたい。

以下に、
名古屋ふれあいユニオン機関紙・『NFU ふれあい通信』10月号に掲載された、
本件に関する記事を転載する。


愛知製鋼は下請け企業の
労務管理に介入するな!


愛知製鋼の闘いは、
今重要な局面を迎えている。

■これまでの大きな流れ
トヨタ系大手部品企業愛知製鋼(東海市)は、
これまで放置されてきた偽装請負をはじめとした
違法な労務管理を、
労働者の訴えにより行政からの指導を受けるなかで、
二次下請企業「有限会社三築」と
一時下請「アイチセラテック」の契約を
9月30日にうち切って隠蔽を図ろうとした。

しかし
三築の従業員及び三築の下請で働く労働者が
ユニオンに参加し、
愛知労働局に対し
偽装請負の解消、
直接雇用の指導を求めるとともに、
愛知製鋼に対し
すべての労働者の雇用確保と
労働条件の改善を求めて
交渉の申し入れを行ってきた。

その結果、
愛知労働局も偽装請負の事実を確認し、
9月初め愛知製鋼及び下請企業に
改善の指導が行われた。
今後は二次、三次の下請状態をなくし、
一時下請のみにするしかなくなった。

また組合との交渉を拒否したことについては
愛知県労働委員会に
不当労働行為救済の申し立てを行い、
現在委員会の場を通じて
愛知製鋼に対しユニオンの要求を突きつけている。

■明らかな組合活動への介入、偽装請負の温存
そして、
10月1日を迎えた今、
愛知製鋼の中での雇用を望む大半の労働者は、
何らかの形での雇用が保証された。
しかしユニオンに参加している2名の労働者について、
会社は彼らの下請企業への就職を妨害することにより
愛知製鋼構内への就労を拒んでいる。

これは明らかに労働組合活動への介入・差別であり、
労働局の改善指導にも反した偽装請負の温存である。
私たちは
愛知製鋼による
下請企業の労務管理に対する介入を決して許すわけにはいかない。

一方9月26日、
これまでさんざん中間搾取しておきながら、
アイチセラテックとの契約をうち切られたことだけで
全員解雇を強行して、
会社の資産の私物化を図る有限会社三築を相手に、
解雇無効の地位保全裁判の提訴も行った。

■様々な手段を駆使した闘いを
重大な局面を迎えた10月、
職場及びトヨタ関連企業への宣伝活動、
労働局への違反申告、
労働委員会での協議・調査、
解雇無効裁判といった様々な手段を駆使して、
愛知製鋼がユニオンや組合員への敵視政策を改め、
法律を守り労働者の要求に沿った対応へと転換するよう
訴えていきたい。

引き続き熱いご支援・ご協力を
お願いします。


※愛知製鋼内の偽装請負の実態については、
「週刊金曜日」のルポ記事に引き続き、
NHKの「クローズアップ現代」で
(匿名ではあるが)紹介された。
会社が事実の隠蔽を図るなら、
更に社会的問題として訴えていきたい。


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職場の理不尽を許さない、強く優しい地域労組の建設を!
愛知県下の未組織労働者は名古屋ふれあいユニオンに結集しよう!



労働組合名古屋ふれあいユニオン
雇用形態や国籍に関わりなく、
愛知県下で働くすべての労働者が一人から加盟できる
地域労働組合(コミュニティユニオン)。
コミュニティユニオン全国ネットワーク
コミュニティユニオン東海ネットワークにも参加。
今年3月に開かれた第9回定期大会では、
連合産別・全国ユニオンへの加盟について討議するとする活動方針を採択。
日ごろから組合員の学習会や交流会・相談会などを
積極的に企画しながら活動している。
現在、組合員数約200名。
組合員は組合費月額1500円。
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