パキスタン捜査当局:ブット氏は「射殺」 見方固める

――政権側の主張、根拠失う――

■責任回避 図る政権の意図、崩れる
昨年末に暗殺された、パキスタンの
社会主義インターナショナル加盟政党・パキスタン人民党総裁の
ブット元首相の死因について、
パキスタンの捜査当局が「射殺」との見方を固めたことが
明らかになった。

『朝日新聞』1月11日朝刊によると、
捜査に協力しているイギリス・ロンドン警視庁の捜査班も、
こうした見方を共有しているという。
ブット元首相の死因を、
警備が難しいとされる「自爆テロ」による
頭部の強打とすることによって
責任回避を図ろうとしていた政権側の思惑は
崩れ去る結果となった。

これまでパキスタン内務省は、
ブット元首相の死因を
「自爆テロの衝撃で
 サンルーフのレバーに頭を強打した」こととの見方を示し、
射殺を強く否定。
これに対してパキスタン人民党側は現場の目撃証言などから
「射殺」を主張し、
「政権主導の捜査は信用できない」として、
2005年に起きたレバノン元首相・ハリリ氏暗殺事件の時と同様、
国連の独立調査委員会主導の捜査が
行なわれるべきだと主張してきた。
実際、
パキスタン国内のメディアが報じている現場写真では
ブット元首相は爆発前に車内に崩れ落ちており、
政権側の主張は国内でも すでに説得力を失っていた。
また、
ブット元首相が頭に巻いていたスカーフからも、
銃弾による穴が見つかっているという(朝日新聞1月11日)。

これでは、
これまでブット元首相の死因を
頑なに「自爆テロによる頭部強打」としてきた政権側の発表は、
情報操作の一環であったのではないかと疑わざるをえない。
変な小細工を行なうことで、
かえってパキスタンの国際的な信頼性が低下するということに
どうして気づこうとしないのか。
政権側は今もなお、
捜査協力を申し出ているイギリス・ロンドン警視庁に
「補助的役割」しか与えようとせず、
国連の独立調査委員会による調査を拒否し続けている。

■チャウダリー最高裁長官復職要求デモに自爆テロ
また、
パキスタン東部の都市・ラホールの高等裁判所前の検問所では
10日、
男が自爆し、
少なくとも26人が死亡するテロ事件が勃発した。
そのとき裁判所では、
昨年、戒厳令下で解任された
チャウダリー最高裁判所長官の復職を求める弁護士らが
反政府デモを始める準備をしていた(毎日新聞1月11日)。

ムシャラフ軍事政権は昨年11月、
自身の「当選」した大統領選挙を巡る最高裁判所の審査で
自らに不利な決定が下されることを恐れて戒厳令を発令。
政権から独立的なチャウダリー最高裁判所長官をはじめとする
多くの裁判官らを一方的に解任した。

戒厳令は昨年12月に解除されたが、
チャウダリー最高裁判所長官をはじめとする裁判官らの復権は認めず、
戒厳令下で指名された者たちが現在その席を占めている。

ムシャラフ政権は戒厳令下で一方的に解任された
チャウダリー最高裁判所長官をはじめとする裁判官らを
直ちに復権させるべきである。
ブット元首相暗殺の真相を究明するための裁判は、
政権から独立的なこれらの裁判官によって
行なわれなければならない。

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by imadegawatuusin | 2008-01-12 09:23 | 国際