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最後までやり遂げよう(中国人「実習生」からの報告)

昨年 、
愛知県の個人加盟制労働組合・名古屋ふれあいユニオンに結集し、
法律で定められた残業代を取り戻した中国人「技能実習生」女性・T・Rさんが、
「最後までやり遂げよう」と題する報告文を
名古屋ふれあいユニオンに寄せてくれた。
本文は
名古屋ふれあいユニオン機関紙
『NFU ふれあい通信』(98号)に掲載されたものであるが、
いわゆる「研修生・実習生」制度の実態を知る上で
非常に興味深い文章であるため、
関係者の実名の書かれている部分をイニシャルに変えた上で
ここに転載する。


最後までやり遂げよう
――研修生・実習生問題の解決に力を貸してください――
技能実習生・T・R

何年か前のある日、
同僚が突然日本へ出稼ぎに行くといって、仕事をやめました。
日本への出稼ぎ、初耳でした。
中国のWTO加入によって、
海外へ出稼ぎに出るのもブームになりました。
よく友達が出稼ぎで日本に行っていることを耳にしました。
その時から、私も日本に興味を持ち始め、
いろいろと考えた結果、日本へ行く事を決めました。

最初はまだ専門学校を卒業して二年しか経っていないし、
家庭の経済状況もいいほうではありませんでした。
しかも、
日本へ出稼ぎに行くには6万元(約90万円)ほどの
仲介手数料が必要でした。
親を説得し、
親戚の援助をもらって、
やっと日本上陸が可能になりました。
私は、
親の心配と理解、支持と期待を背負って
日本での生活を始めました。

日本に来たばかりの時は、
言葉も文化も違っていて、
それに慣れるために一生懸命勉強しました。
初めは、
こんな閉鎖した空間で生活していて、
中国の情報が途絶えるのではないかと心配しましたが、
幸い前の中国研修生が注文した中国雑誌があって、
日本や中国で起きた出来事を知ることができました。
時間が経つにつれて、
研修生の給料問題についても認識するようになり、
自分のもらうべき給料を取り戻そうと思いました。
研修生にとって、
これはどんなに難しいことでしょう!
多くの研修生が自分の力で解決しようとして、
会社の人や会社の協同組合と交渉を試みましたが、
結果は言うまでもありません。
日本の法律を分からない上に、
会社の協同組合は
決して研修生の味方にはなってくれようとしないからです。

今年の(2007年)上半期に、偶然
東京と大阪の労働局が無料ホットラインを開催することを
知りました。
幸運な事に、
そこでH・Nさん(注1)を知ることができました。
その時、
彼女から連絡先を教えてもらい、
その後何人かの友人も
研修生の給料問題について問い合わせました。
この場を借りて、
H・Nさんに、
「いつもご面倒をおかけして、
 申し訳ございません。」とお礼を言いたいです。

私のビザは2008年1月15日までで、
14日までに帰らなくてはなりません。
それまでには、
なんとかことを解決しないといけないと思い、
言葉の通じる中国人弁護士に訪ねました。
中国人弁護士に、
帰国する直前に労働基準監督署へ行くと、
簡単に解決できるとのアドバイスをもらいましたが、
私はそうしたくなかったです。

私が再びH・Nさんに連絡を取ったのは
11月初旬のことでした。
ビザの期限切れまで後3ヶ月しか残っていなかった時期です。
最初は、
H・Nさんが日本人だから、
言葉の問題でコミュニケーションがうまく取れないかと
心配しました。
しかし、驚くことに、
H・Nさんの中国語は普通の中国人と変わらないほどでした。
言葉の壁がなく、
一時間以上も会話を続けました。
いろいろとアトバイスをもらった上、
名古屋ふれあいユニオンという労働組合も
紹介してもらいました。
実は、
新聞で労働組合が研修生の給料問題を解決した記事を
見たことはありますが、
どう連絡を取ればいいか分からなく、
困っていたところです。
本当に嬉しかったです。
しかし、
私は日本語が下手で、
H・Nさんにお願いをして、
名古屋ふれあいユニオンの方と連絡を取ってもらいました。
それで、
11月20日に
名古屋ふれあいユニオンの浅野さんから
電話をもらいましたが、
通訳がいなくて言葉が通じないため、
12月まで延びました。

12月2日、
やっと通訳が見つかったとの連絡があり、
9日には通訳(H・Kさん)の協力で
浅野さんに私の今の状況を話すことができました。
翌週、
協同組合の人を通じて会社と話し合って解決しようとしましたが、
納得できるような返事がもらえなかったため、
正式に名古屋ふれあいユニオンに依頼をしました。
名古屋ふれあいユニオンの介入があってか、
事件は驚くほど順調に運び、
本当に予想外でした。
結果は、
私達の勝ちでした!
浅野さんやH・Kさんのおかげで、
日本での研修生生活にけりをつけることができました。

H・Nさんを初め、
名古屋ふれあいユニオンの方々、
そしてH・Kさんに心から感謝します。
今回の事で、
私は自分に自信を持てるようになりました。
また、
諦めずに最後までやり遂げることの重要性をも痛感しました。

最後に、
労働組合の方々が、
研修生問題の解決に
もっともっと力を貸していただければと思います。
もう一度、
名古屋ふれあいユニオンの皆さんとH・Kさんにお礼申し上げます。
以上、
簡単に感想をまとめましたが、
このことは信頼の問題など、
数多くの国家間問題を孕んでいます。
                       T・R
2007年12月30日

(注1)H・Nさん……RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)事務局長


職場の理不尽を許さない、強く優しい地域労組の建設を!
愛知県下の未組織労働者は名古屋ふれあいユニオンに結集しよう!



労働組合名古屋ふれあいユニオン
雇用形態や国籍に関わりなく、
愛知県下で働くすべての労働者が一人から加盟できる
地域労働組合(コミュニティユニオン)。
コミュニティユニオン全国ネットワーク
コミュニティユニオン東海ネットワークにも参加。
昨年3月に開かれた第9回定期大会では、
連合産別・全国ユニオンへの加盟について討議するとする活動方針を採択。
日ごろから組合員の学習会や交流会・相談会などを
積極的に企画しながら活動している。
現在、組合員数約200名。
組合員は組合費月額1500円。
賛助会員(サポーター)は年会費5000円。
住所:〒460‐0024
    愛知県名古屋市中区正木4-8-8 メゾン金山711号室
    (JR・地下鉄・名鉄金山駅下車 名古屋ボストン美術館の向かい)
電話番号:052‐679‐3079(午前10時~午後6時)月~金
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