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トヨタ系 愛知製鋼:「派遣労組に団交権なし」と主張

――労災など、命に関わる事項も――

■「文句は個人で苦情処理機関へ行け」!?
トヨタグループの鋼材メーカー・愛知製鋼(旧豊田製鋼)による
団体交渉拒絶をめぐる、
愛知県の個人加盟制労働組合名古屋ふれあいユニオン
労働委員会闘争
いよいよ佳境を迎えつつある。
愛知製鋼側は5月26日付の「準備書面」において、
「下請」会社から愛知製鋼に「出向」と告げられていた
組合員・Kさんについて、
「下請」会社から愛知製鋼に派遣されている
「派遣労働者」であると強弁した。
しかしKさんはこれまで、
派遣法で労働者派遣の際に必要とされている書面などを
一切交付されておらず、
自分が「派遣労働者」であること自体、
これまで全く知らなかった。

愛知製鋼構内では今年に入り、
労働者が死亡するなどの死亡災害も報告されており、
名古屋ふれあいユニオン
愛知製鋼の指揮命令下で働くKさんについて、
職場の安全や労災などの命に関わる切実な問題について
団体交渉を行ないたいと考えていた。
ところが愛知製鋼は
この「準備書面」において以下のように述べ、
派遣労働者の労働組合には派遣先との団体交渉権はなく、
文句があるなら社内の苦情処理機関に
労働者が個人的に相談に来いと言い放ったのである。

要するに、
派遣法では、
派遣労働者の派遣先企業での
具体的就業に関する事項に関する苦情については、
団体交渉という手段ではなく、
苦情処理という方法による解決を
図ることとしているのであるから、
この事項に関して
団体交渉の義務的対象事項とはならない。(愛知製鋼「準備書面(3)」4~5ページ、平成20年5月26日)


これは非常に恐ろしい見解である。
直接雇用の正社員ですら、
労働組合を結成し、
徒党を組んで集団でモノを申さなければ、
使用者側と対等な形で
労働条件を決定することは不可能なのだ。
まして、
立場の弱い派遣社員が、
自らの命に関わる職場の安全・労災の問題で
使用者側と対等な交渉を行なうためには、
労働者自身が
使用者側と対抗できる力量を
職場の内外で確立すること、
すなわち、
団結権・団体交渉権・団体行動権を持つ
労働組合を組織し、
職場内外の仲間とともに使用者側と対峙し、
相手と対等な交渉力を築いた上で
成果を勝ち取る以外にはない。
それを愛知製鋼は、
労働者自身の命に関わる
職場の安全・労災の問題を、
全くの個人として分断された形のままで、
苦情処理機関に「お願い」に来いと
派遣労働者には言うのである。
(大体、
 「出向」と言われ、
 「就業条件明示書」すらもらえなかったKさんは、
 派遣先の苦情処理責任者の名前さえ
 知らなかったのだ。
 一体どこに相談に行けばいいのか)。

■豊田スチールセンター・ジェイテクトでも団交拒絶・引き延ばし
愛知製鋼だけではない。
最近の、
トヨタグループ企業による
我が名古屋ふれあいユニオンへの不当労働行為は
目に余るものがある。

まず、
トヨタグループの総合商社・豊田通商の子会社である
豊田スチールセンターが、
現役社員(ふれあいユニオン組合員)への
パワハラ問題に関する団体交渉を拒絶した。
豊田スチールセンター側は、
名古屋ふれあいユニオンとの団体交渉を
一度も開かないままに、
ふれあいユニオン組合員・Tさんの訴える、
親会社・豊田通商の意向で会社に送り込まれてきた
専務(トヨタ自動車出身)によるパワハラを
「存在しない事実」と決めつけ、
これを「前提とする要求」は
「いずれも認められない」として
団体交渉を拒否したのである。
パワハラの存否自体については、
ユニオン側が団体交渉において
当事者であるTさん本人を同席させ、
当人の言い分と会社側の調査結果とを厳しく付き合わせる
真摯な話合いの中で
埋めてゆく努力が可能である。
豊田スチールセンターが、
ユニオンの主張に事実誤認が含まれていると考えるのであれば、
正々堂々と団体交渉のテーブルに付き、
その場において様々な事実や状況証拠などを挙げて
私たちの事実認識の誤りを
厳しく指摘すればよいことである。
それを、
会社側の言い分を書面で一方的に述べるだけで、
団体交渉という労働組合法で定められた労使交渉の場から
逃亡しようと図るとは、
一体どういう了見なのか。

また組合員・Tさんは
ユニオンを通じてのパワハラ告発の後、
今までとは全く別の部署に配転させられてしまった。
これについての団体交渉要求についても、
ただ
「就業規則第22条にもとづく
 当社の従業員T氏に対する
 配置命令に関するもの」であるので
「団体交渉の対象になりえない」という
意味不明な論拠で団体交渉を拒絶している。
どこの世界でそんな身勝手な理屈が通用するのか。

さらに、
トヨタグループの工作機械メーカー・ジェイテクト(旧豊田工機)も
名古屋ふれあいユニオンの団体交渉要求を
いたずらに引き延ばしている。
ふれあいユニオン組合員の日系ブラジル人・Iさんは、
「生産減に伴う人員調整のため」、
「平成20年5月31日付をもって」の「解雇」が
書面で「予告」されている。
我が名古屋ふれあいユニオンは、
5月15日にジェイテクトに団体交渉の申し入れを行ない、
5月20日までの回答を求めたが、
ジェイテクト側は
「急な要請でもあり、
 ……5月28日迄に改めて文書にて回答いたします」と回答。
(重ねて言うが、
 「解雇予告」日は5月31日なのだ!)。
しかし、
この度ようやく寄せられた回答においても、
自社の一方的な主張を述べるにとどまり、
団体交渉開催については明確な回答をせず、
引き延ばしに終始している。
(連絡は「郵送による文書にて行う」と宣言し、
 「架電や面談の申入れについては
 当面一切お断りいたします」という徹底ぶりだ)。
「解雇予告」日の5月31日は
時々刻々と迫っている。
一刻も早い団体交渉の開催が必要なのだ。
何を悠長なことを言っているのか。

トヨタグループの不当労働行為三兄弟、
愛知製鋼・豊田スチールセンター・ジェイテクト糾弾!
団交拒絶・引き延ばしは許さないぞ!


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日ごろから組合員の学習会や交流会・相談会などを
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