カテゴリ:国際( 35 )

――デモ排除で実弾連射、死者140人超――

デモ会場には女性、子供も

エジプトの治安当局は8月14日に、
軍によるクーデターで排除されたムルシ大統領の
支持者たちが続けていたデモの
強制排除に踏み切った。
強制排除にあたっては実弾が連射され、
ロイター通信によると149人が死亡し
1400人以上が負傷したということである。
当時、
デモ会場には女性や子供を含む数千人がいた。
クーデターによって成立した「暫定政権」は
「非常事態」を宣言し、
治安当局による令状なしの拘束などが
可能となったという。

■「どこに人権があるのか」

「選挙で選ばれた大統領を軍が排除し、
 それに平和的に抗議した民衆を武力で排除する。
 どこに人権があるのか」。
エジプトの中学校英語教師・
アブドラ=ムハンマドさん(32歳)の言葉である。
ロンドン在住のアラブ紙・
「アルクッズ=アルアラビ」編集長の
アブデルバリ=アトワン氏も、
「今回の流血はアラブ諸国の混乱にも拍車をかける。
 国際テロ組織アルカイダや支持集団は勢いを増し、
 『民主主義を信じた同胞団の政権は転覆され、
  殺された。
  欧米と戦う我々のやり方が一番なのだ』と
 イスラム教徒に言い聞かせるだろう」と懸念する。

■「クーデター黙認が流血を招いた」

アトワン氏はさらに、
「欧米の対応にも問題があった」と指摘する。
「7月のクーデター直後、
 アフリカ連合(AU)は
 エジプトの加盟資格を停止した」が、
「米国や欧州連合(EU)は……クーデターを黙認した。
 これが軍を勢いづかせ、
 流血の事態を招いた。
 国際社会は、
 エジプトが民主主義と人権の尊重を保障するまで、
 あらゆる援助を停止すべきだ」と言っている
(朝日新聞8月15日)。

日本においても少なくとも、
博物館の建設などの不要不急の援助については
民主的政権の成立までは直ちに停止するべきだ。

■民主的プロセスに立ち戻れ

私は
日本においても世界においても
政教分離の政治を求める社会民主主義者であり、
イスラム主義に基づく政治の実現を目指す
ムルシ大統領やムスリム同胞団とは政治路線を異にする。
しかし、
だからといってエジプトで起きた
軍によるクーデターや人民虐殺を許すことはできない。

私は今回のエジプト治安当局による人民虐殺に
強く抗議する。
治安当局は非常事態宣言を直ちに撤回し、
平和的なデモの権利を
どの政治勢力に対しても保障するように
強く求める。
そして、
現在拘束中のムルシ大統領を軍が直ちに釈放し、
再び彼を中心に
民主的な政治プロセスにエジプト全体が立ち戻るよう
強く求めるものである。

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by imadegawatuusin | 2013-08-15 08:41 | 国際

エジプト初の民主的選挙で大統領に選ばれたムルシ氏を
軍部が拘束して政権を奪った政変について、
アメリカのケリー国務長官が
「民主主義を取り戻した」と述べ、
肯定的に評価した。
政変の直後はアメリカ政府も、
軍によるムルシ氏排除と憲法停止を
「深く懸念する」とする声明を
発表していたにもかかわらず、
ケリー氏は8月1日のテレビインタビューで、
「軍は何百万人もの要請に応じた」と述べたのである
(朝日新聞8月3日)。

確かにムルシ政権は政変前、
稚拙な政権運営などで
エジプト国民の支持が低下しており、
退陣を求める大規模なデモも起っていた。
しかし、
民意は常に揺れ動くものだ。
前回の選挙結果と直近の民意との間に
ずれが生じることは
民主主義の想定内の事態でしかない。
そうした場合に容認される対抗手段は、
署名活動や集会・デモ・ゼネラルストライキなどの
平和的で大衆的な圧力で
退陣を迫るやり方に限られるだろう。
民主的選挙という手続きを経て選ばれている政府を
軍部が武力で恣意的に打倒し政権を奪うような事態を
認めていいということにはならない。
日本でも、
末期の民主党政権は国民からの支持が低落していた。
けれども、
だからと言って自衛隊が反乱を起こして
政権をすげ替えることを
「民主主義を取り戻した」などとは絶対に言わない。

軍による民主的政権の転覆は
どう言いつくろってもクーデターである。
アメリカ政府の態度は、
親米勢力が主導権を握る民主化は支持するが、
ムルシ氏などのイスラム勢力が主導権を握る民主主義は
破壊してもかまわないという
身勝手なものにしか映らない。

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by imadegawatuusin | 2013-08-05 17:19 | 国際

(2013年9月6日掲載)

エジプト初の民主的選挙で大統領に選ばれたムルシ氏を
同国の軍部が拘束して政権を奪った政変について、
アメリカ国務省はクーデターと認定しないことにした。
アメリカ国務省の報道官は、
「そうした決定をすることは米国の国益にならない」と
説明したという。

アメリカの対外援助法は、
民主的な政府がクーデターで倒された国に対しては
援助を見合わせるよう定めている。
今回の事態をクーデターと認定した場合、
エジプト軍への軍事援助など
総額15億5千万ドルもの援助が凍結される。
そうなると、
軍事協力を通じてエジプト軍への影響力を強めることで
アメリカの友好国であるイスラエルの防衛を図ってきた
外交戦略に影響が出るため
判断を避けたのだと見られている(朝日新聞7月28日)。

確かにムルシ政権は、
稚拙な政権運営や経済立て直しの失敗などで
エジプト国民からの支持が低下していたとも
言われている。
イスラム主義を背景とする
ムルシ氏の「自由公正党」や
その母体である「ムスリム同胞団」が
政治権力を握る事態を
好ましくないとする考えも
理解できないわけではない。
しかしだからと言って、
エジプト初の民主的選挙で選ばれた政府を
軍部が武力で打倒して政権を奪う事態を
容認していいということにはならない。

民主的手続きを経て選出された政権が
直近の民意を反映しない場合の正当な対抗手段は、
署名活動や集会・デモ・ゼネラルストライキ・
不服従運動などの
平和的かつ大衆的な圧力で
辞任に追い込むことくらいだろう。
また宗教勢力が
民主的手続きを経て政権を取ること自体が
いけないのだということになれば、
宗教的な政治の実現を求める人々は
暴力的な政変に訴えるしか方法がなくなる。
民主主義は、
民主的な手続きに参加して政治を動かしていこうとする
あらゆる勢力に開かれたものでなければならない。
民主的システムがあらゆる勢力に開かれてこそ
社会は安定するのである。

イラク戦争などでアメリカは、
「民主化」を理由に
他国への侵略攻撃を正当化してきた経緯がある。
そのアメリカが「国益」を理由に、
こともあろうかクーデターを起こした軍部に
莫大な軍事援助を与え続けるのは
ご都合主義に他ならない。
軍による民主的政権の転覆は
どう言いつくろってもクーデターである。
自国の都合でクーデターと認定したり
しなかったりするのでは
二重基準のそしりを免れない。

アメリカはエジプト軍への軍事援助を
ただちに凍結するべきだ。
日本もエジプトへの援助の見直しが必要だ。
同志社大学大学院の内藤正典教授は、
「新博物館の建設など、
 不要不急のハコ物援助については、
 暴力で民主化を破壊した国には、
 断固として認めない姿勢を示す必要がある」と
指摘する(朝日新聞7月31日)。
自由と民主主義とを
本当に世界に広げてゆくのに大切なのは、
イラク戦争のような武力攻撃への追随ではなく、
今回のクーデターのような民主主義の危機に際して
筋の通った対応を地道にきちんと取ることであろう。

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by imadegawatuusin | 2013-08-01 17:04 | 国際

トルコの最大都市・イスタンブール中心部の
タクシム広場と周辺の公園を
反政府のデモ隊数千人が占拠した。
デモは67都市に拡大し、
イスラム色の強いエルドリアン首相の退陣を要求。
トルコの最大野党で
わが社会主義インターナショナルの同志でもある
共和人民党の仲間もデモに加わっている。

タクシム広場は
政教分離を導入したトルコ初代大統領・
ケマル=アタチュルクの像も立つ
世俗主義の象徴的な場所だ。
デモ参加者は、
「警官から広場を取り戻せて、
政府にモノをいう自信がわいた」と語っている
(朝日新聞6月4日夕刊)。
宗教政治勢力に身を挺して立ち向かう
トルコの同志たちに心から激励を送りたい。
国際主義の立場から連帯しよう。


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by imadegawatuusin | 2013-06-05 18:54 | 国際

(2013年8月29日掲載)

北朝鮮の政権党である朝鮮労働党の機関紙・労働新聞が
3月17日の論説で
自国への経済制裁の強化に反発し、
「米国が核戦争の導火線に火をつければ、
 ただちに侵略者らの本拠地に
 核の先制打撃権を行使する」と主張した。
論説は、
「米帝(米国)に土地を丸ごと差し出し、
 再侵略を狙う日本も決して例外ではない」と、
米軍基地のある日本も
核攻撃の対象に含むとしている(朝日新聞3月18日)。

自国がいまだ武力攻撃を受けたわけでもないのに
他国に先制攻撃をしかけることは
国際法に違反する侵略行為にほかならない。
そのようなことが許されてしまえば、
世界中で国と国との争いが
たやすく戦争に発展してしまうことになるだろう。
相手の国に攻め込んだわけでもない国に
一方的に攻撃を加える
先制攻撃を正当化するような論理は
国際秩序のルールを破壊する。
専守防衛を国是とするわが国の立場も
脅かしかねない恐ろしい主張だ。

まして核兵器は、
あまりにもすさまじい破壊力を持つものであり、
攻撃の対象を軍事施設に限ることが難しい。
ひとたび核兵器が使われてしまえば、
多くの民間人が巻き添えになって殺されてしまう。
また生き残った人々も放射能に被ばくし、
子々孫々まで原爆症で苦しむことになるだろう。
福島第一原発の事故でも明らかになった通り、
核の放射能は大地を広範囲に汚染し、
多くの人々からふるさとを奪いかねない。
核兵器は人類史上最悪の
非人道兵器に他ならないのである。
どのような理由があっても核兵器の使用は許されない。
ましてや、
その核兵器で他国に先制攻撃をしかけるなど
もっての他である。

北朝鮮がわが国に核兵器で攻撃を行なった場合、
日本と軍事同盟関係にあるアメリカが
核兵器による報復攻撃を行なうことも予想される。
そうなれば世界は、
人類がいまだかつて経験したことのない
核戦争のただ中に投げ込まれることになってしまう。

私は
日米軍事同盟には明確に反対の立場であり、
国連と自衛隊とを中心とした安全保障体制を
確立すべきだと考えている。
しかし
北朝鮮がこのような
日朝間の緊張を高める発言を行なえば、
日米軍事同盟の強化や、
場合によっては日本独自の核武装さえ主張する
タカ派的な勢力が勢いを増すことになるだけだ。
 
そもそも日本には
多くの在日朝鮮人が暮らしている。
日本に対して核攻撃を行なえば、
そうした在日朝鮮人も
巻き添えを食って被爆することになることだろう。
現に、
広島や長崎への原爆投下のときには
多くの朝鮮半島出身者が犠牲になっているのである。

わが国と国交のない北朝鮮の
日本における在外公館的機能を事実上果たしているのは
朝鮮総連だ。
だがこの朝鮮総連の本来の目的は、
在日同胞の権利擁護にこそあるはずだ。
朝鮮総連が真に在日同胞を守る組織であるならば、
在日同胞の命を脅かし、
わが国の排外主義を助長する北朝鮮の核先制攻撃論には
きっぱりと反対の意思を表わすべきではないだろうか。


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by imadegawatuusin | 2013-03-19 15:09 | 国際

――核実験強行に道理なし――

■認められぬ北朝鮮の「論理」

北朝鮮が2月12日に
3度目となる核実験を強行した。

今年1月に採択された国連安全保障理事会の決議では、
北朝鮮は全ての核兵器と核開発計画を
完全かつ検証可能な方法で
断念することが求められており、
新たな核実験を行なった場合は
安保理として「重大な行動を取る」と明記されている。
北朝鮮の核実験強行は
こうした国連安保理決議に反する
明確な国際法違反であり、
国際法秩序に対する
危険な挑戦であると言わなければならない。

北朝鮮は今回の核実験を、
「わが国の平和的な衛星打ち上げを、
 乱暴にも侵害した
 米国の敵対行為に対する対応措置」などとして
正当化しているが(朝日新聞2月13日)、
だからといって
国際法に違反してもよいという理由には
ならないことは言うまでもない。
米国をはじめ世界の諸国が
北朝鮮の「衛星打ち上げ」を非難したのも、
核開発を進める北朝鮮に対しては
弾道ミサイル技術を使用したロケット発射を禁じる
国連安保理決議が採択されているからに他ならず、
自ら国際法に違反しておいて、
それを非難されたからと
さらに国際法違反を重ねる行為は許されない。
国際社会の強い反対を押し切って強行された
今回の核実験には
一片の道理も存在せず、
厳しく批判する。

核兵器は
ひとたび使用されれば甚大な悲劇を生み出す
非人道的兵器である。
いかなる事情があったとしても、
そうした兵器の保有計画は正当化されてはならない。
北朝鮮はもちろんのこと、
いかなる国の核兵器にも一貫して反対してきた立場から、
核兵器のない世界を実現する核廃絶の流れに
真っ向から挑戦し
東アジアの緊張を高める今回の核実験に
強く抗議するものである。


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by imadegawatuusin | 2013-02-13 17:55 | 国際

――支援条件明示式でのEUの食料援助再開受け――

■監視要員常駐や抜き打ち訪問を要求

北朝鮮民主化ネットワークが運営する
インターネット新聞『デイリーNK』が、
北朝鮮における深刻な食糧不足を受け、
「透明性が確保されれば迷わず食糧支援すべき」との論説を
7月11日に掲載した↓。
http://japan.dailynk.com/japanese/read.php?cataId=nk02400&num=13831
人道支援目的の援助食料が
朝鮮労働党幹部や軍部の手に渡ることを防ぐため、
北朝鮮への大規模監視要員の派遣や
予定なしの訪問の保障、
長期間居住しての回収可否の確認、
食糧移動確認識別装置付着などの
具体的な支援条件を明示して
「北に『人道支援攻勢』を始めるべき」だと
主張している。

北朝鮮の民主化を掲げる『デイリーNK』は従来、
「北朝鮮の体制転換」を強力に主張し、
「この政権に米を支援しようとする
 韓国の『太陽政策』勢力も理解に苦しむ」と論じるなど(2011年4月15日論説)、
食糧支援については否定的な傾向が強かった。

しかし今月に入り、
ヨーロッパ連合(EU)が3年ぶりに
対北朝鮮食糧支援を再開したことで情勢は急変。
EUは支援の再会にあたり、
食料が住民に行き渡っているかどうかの
確認体勢を強化し、
朝鮮語を話せるモニター要員50人を
現場に配置することや、
施設や病院・配給所・一般家庭などの
約400カ所を抜き打ちで訪問できるようにすることで
北朝鮮当局と合意したという。
EUは、
北朝鮮側がこの合意を守らない場合は
直ちに食糧支援を中断するのだという。

『デイリーNK』はこうしたEU式支援について、
「北朝鮮当局は、
 昨年から国際社会に支援を訴えているが、
 国家単位で詳細なモニタリングについて合意を得て、
 数万トン規模の食糧を支援されるのは
 今回が初めてのケースとなる」と評価。

「北朝鮮が、
 納得に値する透明性措置を取れば、
 韓国も積極的に支援すべきだ。
 EUと米国の支援に後追いするという姿勢では、
 南北関係の主導権を維持することも難しい」として、
「米国とEUを飛び越える水準のモニタリングを
 要求しつつ、
 果敢な食糧支援を提案する必要がある。
 大規模監視要員派遣、
 予定なしの訪問の保障、
 長期間居住しての回収可否の確認、
 食糧移動確認識別装置付着などを
 強力に要求するべきだ」と結論づけている。

確かに、
北朝鮮のような独裁国家の場合、
飢餓に苦しむ市民に対する支援物資が
政権幹部や軍部の懐に入る可能性が
否定できない。
だが一方で、
国連の世界食糧計画が報告しているように、
北朝鮮の食糧不足は深刻である。
子供や妊婦を中心に、
栄養不足の人口の割合が実に20から34パーセントにも
達するという。

非民主国家である以上、
北朝鮮の民衆は
自国の政府を選び変える自由を持たない。
言い換えれば北朝鮮の民衆は、
自国の体制について
責任を負うべき立場にないとも言える。
国家が独裁的であるからといって、
多くの民衆が飢えてゆくのに
国際社会が手をさしのべなくて良いということには
ならないのは無論だ。

今回の「EU式援助」はそうした中、
人道的な観点から食料援助を実施しつつ、
情報統制の厳しい北朝鮮に
国際社会自らが自由と民主主義の空気を吹き込む
小さな一歩であると見ることができる。
何よりも北朝鮮当局に、
モニター要員の配置や抜き打ち訪問を
受け入れさせた点は大きい。
外国からの援助者と
民衆が直に接触する機会が増加することは、
民主化の観点から言っても好ましいことである。

人と人とが接触すれば、
そこで必ず交流が生まれる。
交流が生まれれば
必ず情報の流通が始まるものだ。
独裁国家にとって外部情報の流入ほど
面白くないものはないだろう。
逆にこうした小さなきっかけを通じて
北朝鮮の内部から、
拉致問題の解決などにつながる
有力な情報が流出してくる可能性もある。

「北朝鮮の体制転換」と声高に言ってみたところで、
国際秩序を破壊して軍事介入するわけにはいかない以上、
こうした地道な取り組みを続けることによってしか
大きな目的は達成できない。
現実的な選択肢は
そもそも限られていると言うべきである。

具体的な支援条件を明示した上での食糧支援は、
国際社会にとって極めて現実的で戦略的な
選択肢の一つだ。
ややもすると「対北強行派」と見られがちだった
北朝鮮民主化を唱える人たち自身の口から
こうした論説が出た意義は大きい。

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by imadegawatuusin | 2011-07-25 21:44 | 国際

内部告発サイト・「ウィキリークス」により、
極秘とされてきたアメリカの外交公電が公開され、
波紋を広げている。
こうした資料によって
「隠されてきた真実」が解明されることを
望む声は多い。

しかし、
「隠されてきた真実」を期待するあまり、
「アメリカの極秘資料に書いてあったことだから
 正しい」という
逆立ちした論理を前提に
これらの資料を読み解く傾向が
一部に見られはしないだろうか。

「極秘」扱いされた資料は
相手方の目にさらされることを想定しては
書かれていない。
だからこそ、
余計な遠慮や配慮抜きで
事実が書かれているということもあるだろう。
だが一方では、
事実に反する勘違い・思い違いのたぐいや
確度の低い情報が書かれてあった場合でも、
相手方からも第三者からも
一切検証されることがなく、
執筆者も
それを前提に書いているという側面もある。
つまり、
もし公にすれば相手方からの反論に
耐え得ないような「情報」が
堂々と記載されている可能性もある。

記述者自身が当事者である
米国と他国の密約に関する極秘資料などが
仮にあれば、
その情報価値は極めて高いと評価できる。
だがそれ以外の、
人づてに聞いた「また聞き情報」などに関していえば、
こうした「極秘情報」はむしろ公開された情報より
確度が低いと見るべきではないか。
情報の冷静な吟味が必要だ。

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by imadegawatuusin | 2010-12-17 09:32 | 国際

――拷問で「自白」迫られ続けた5年間――

アメリカ・ブッシュ前政権の
人権侵害の象徴として知られる
「グアンタナモ収容所」。
そこに無実の罪で約5年間収容された
ドイツ生まれのトルコ人・ムラット=クルナズさんが、
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」
日本支部の招きで来日している。
11月3日、
愛知県名古屋市で
「奪われた人生――グアンタナモ収容所の真実を語る」
と題する講演会が開かれ、
グアンタナモで行なわれていた拷問の実態などを
証言した。

■19歳で拘束、軍事基地へ
クルナズさんは
ドイツのトルコ移民の家庭に生まれた。
世界に8000万人のメンバーを有するという
イスラム系の社会福祉団体
「タブリーグ」に興味を覚え、
19歳のときに団体本部のある
パキスタンを訪問。
1ヵ月ほど滞在し、
帰国しようと空港に向かうその途中、
パキスタン治安部隊の検問で拘束された。

「検問で私は、
 『お前はドイツ人か、アメリカ人か、
  イギリス人か』と聞かれました。
 私は最初、
 パスポートやビザをチェックされるだけだと
 思っていました。
 ところが私は、
 そのまま刑務所に連れて行かれたのです。
 理由を尋ねても答えてもらえません。
 『一晩たてば家に帰れるから、
  一晩だけここにいろ』と言われました」

「私は、『家に電話をしたい』と言いましたが、
 『電話しなくても、
  明日になれば元に戻れるから
  心配しなくていい』と言われました。
 これが、
 『奪われた5年間』の始まりだったのです」

翌日ムラットさんは、
目隠しをされ、
手かせ足かせをされて
1時間ほど自動車に乗せられて
別の場所に移動させられた。
彼はそこで2週間にわたって
「待機」させられる。
取り調べを受けるわけでもなく、
ただ「捕らわれるだけ」の状態だった。
「何が問題なのかと質問をしても、
 答えがもらえないのです」

2週間後、またしても目隠しをされ、
パキスタンの都市・ペシャワールの
警察署の地下にある拘置所に
連れて行かれた。
そこでムラットさんは、
初めてアメリカ当局の取り調べを受ける。
「FBIなのかCIAなのか、
 私には知るよしもありませんでしたが、
 彼らは私に色々と質問をしました」

「お前はオサマ=ビン=ラディンを
 見たことがあるか」。
取調官は質問した。
ムラットさんは「あるよ」と答えた。
取調官が「どこでだ」と訊(たず)ねるので、
ムラットさんは
「新聞とかテレビとか……」と答えた。

取調官は、
「オサマ=ビン=ラディンが
 どこに住んでいるか知ってるか」と
聞いてきた。
ムラットさんは、
「私はドイツに住んでいる。
 アフガニスタンの山の中に
 住んでいるわけではないので
 知るわけもない」と答えた。

このペシャワールの警察署で、
ムラットさんは「053」という囚人番号を
付けられた。
そしてその数日後、
パキスタンの軍人が来て、
ムラットさんは米軍に引き渡されたのだ。
飛行機の中では
動けないように留め付けられ、
「テロリスト」とののしられて殴られた。

「そのころはまだ、
 『誰かと間違えられているだけだ。
  ちゃんと取り調べを受ければ
  すぐに釈放されるだろう』と
 思っていました。
 私は法に背くことを
 何もした覚えがなかったからです。
 捕まった当時、
 私はまだ19歳。
 自分がどのような状況におかれているのか、
 理解がまるでできていなかったのです」

■電気ショックや水攻めで「自白」迫る
着いたのはアフガニスタン南部の
カンダハルにある軍事施設だった。
元々はアフガニスタンに侵略した
ソ連軍の基地で、
その後タリバンの基地となり、
今はアメリカ軍が使っているとのことだった。

「カンダハルの取り調べで、
 彼らは書類を持ってきました。
 そこには、
 『私はアルカイダのメンバーです。
  アメリカ軍を攻撃しました。
  二度とこのようなことはいたしません』
 というようなことが書かれていました。
 彼らはそこにサインをするよう
 求めてきましたが、
 私はタリバンでもアルカイダでもありません。
 『サインはしません』と言いました」

すると米軍の取調官は、
「お前がサインをしないなら
 力ずくでサインをさせてやる」と
言ったのだという。
ムラットさんはその後しばらくして、
取り調べのためのテントに
連れて行かれた。

「私は床に座らされました。
 手かせも足かせもされ、
 足の部分に電気ショックを
 押し付けられました。
 体中にハリを差し込まれたような
 痛みを覚えました。
 彼らはそれで、
 私がサインをすると思っていたようです。
 サインをさせるために
 電気ショックを与えたのです。
 しかし、
 私はサインを拒みました」

「数日後、
 彼らは私を『水攻め』に遭わせることに
 決めたようです。
 この『水攻め』は
 アメリカがよく使っていたやり方で、
 アメリカでは
 これは『尋問の方法』であるということで、
 非合法な『拷問』ではないと
 されていました」

「バケツに一杯の水が用意されます。
 私は手を後ろ手に縛られた状態で
 頭をバケツに何回もつっこまれ、
 その状態で腹を蹴られます。
 腹を蹴られると
 息を吸い込まざるを得なくなり、
 私は水の中で溺れたような感覚になります」

それでもムラットさんが
「自白」しないとみると、
アメリカ軍は彼を天井から宙づりにした。

「手錠をはめられた状態でつるされ、
 足は宙ぶらりんの状態です。
 取調官が来ると下ろされて、
 『お前はこれにサインするか』と言われますが、
 断るとまた宙づりにされます」

「1日に3回ほど医者が来て
 状態をチェックをしました。
 OKということになれば
 また宙づりにされるのです」

「3日ほど経ったところで
 私は気を失ってしまいました。
 そして牢屋に戻ると他の囚人が、
 『お前は5日間いなかった』と言うのです。
 どうやら私は2日間、
 気を失っていたらしいのです」

彼と一緒に宙づりにされ、
命を落とした囚人もいた。

「宙づりにされている間は
 食事も一切与えられません。
 冬の寒い中でした。
 彼は生き延びることができませんでした。
 亡くなってからもしばらく
 宙づりのままで放っておかれていました。
 彼らはサインをさせたいためだけに
 このようなことをしたのです。
 しかし、
 その人だけが
 殺された唯一の人ではありません」

「ある別の囚人は、
 アフガニスタン人でしたが、
 顔に覆いをされ、
 手かせ足かせをされた状態で
 3人の人間に殴られ続けました。
 彼は叫び声を挙げますが、
 それを5~6人の人間が何もしないで
 見て笑っているのです。
 その後、
 その人たちも加わって暴行が加えられ、
 死んでから15時間ほどの間、
 遺体は放置されていました」

■グアンタナモ収容所への連行
ある日ムラットさんは、
収容所の外に連れ出され、
飛行機に乗せられた。

「どこに連れて行かれるのか
 一切分かっていませんでした。
 ただ、
 『これからお前を撃ち殺しに
  行くところへ連れて行くから』とだけ
 言われていました」

着いた所は『非常に暑い所』だった。
ここが、グアンタナモ収容所だったのだ。

「そこで私は、
 オレンジ色の囚人服を渡され、
 小さな部屋に入れられました。
 部屋にはバケツが2つあるだけ。
 一つのバケツには水が入っていて、
 もう一つはカラでした。
 私は最初、
 そこは着替えのための部屋で、
 その後どこかへ連れて行かれるのだと
 思っていました。
 あまりに小さい部屋なので、
 まさかそこで5年間暮らすことになるとは
 思っていませんでした。
 水の入ったバケツが飲み水用、
 彼のバケツがトイレ用でした」

グアンタナモでの拷問は苛烈を極めた。

「グアンタナモでも彼らは
 私に書類にサインをさせようと
 していました。
 けれど実は、
 ――これは後で分かった話なのですが――
 そのころには彼らも、
 私が無実であることを
 知っていたようなのです。
 2002年、
 アメリカはドイツ政府に
 私を連れて帰国させるよう
 要請しています。
 もっとも、
 当時のドイツ政府は
 これを拒絶しました。
 この決断をした担当官は、
 今でも私に謝ろうとはしていません」

「グアンタナモでは
 想像を絶するひどいことが
 行なわれていました。
 グアンタナモには
 子供がたくさんいたのです。
 最年少で9歳、次が12歳。
 9歳の子供は
 お母さんから離れているだけで
 辛い状態にあるというのに、
 米軍は『これは教育だ』と言って
 彼を殴っていました」

「私が身近に接したのは
 14歳の男の子です。
 彼は床に叩き付けられ、
 M16で肩を打たれました。
 骨に穴が空き、
 片目も失明していました。
 とても痛そうな状態でした。
 ところが看守たちは、
 彼が取り調べで
 自分たちが望む通りのことを言わないと、
 治療を止めてしまうのです。
 当時14歳だった彼は今は22歳。
 彼は今でも
 グアンタナモ収容所に捕らわれたままです」

ムラットさんは、
「グアンタナモは収容所ではない。
 あれは拷問のためのキャンプだ」と断言する。

「グアンタナモでは
 精神科医などと緊密に協力しながら
 専門的に拷問が行なわれます。
 単に拷問をするだけでなく、
 その様子を他の囚人たちに見せるのです」

「看守たちは
 グアンタナモに来る前に
 3週間ほどの研修を受けているようでした。
 グアンタナモにいる人間は
 アメリカに破壊攻撃を行なったテロリストだ……
 というような内容のビデオを
 たくさん見せられてきたようです。
 だから、
 来たばかりの看守は
 私たちと口を利こうともしません。
 ところが、
 実際にしばらく接していると、
 必ずしもそうでないということが
 うすうす分かってくるようなのです。
 中には私たちに、
 そうした話をしてくれる看守もいました。
 しかし、
 私たちと個人的に話をしたことがバレると、
 彼らは罰を受けます。
 私にそうした話をしてくれた看守も、
 収容所の外に追放されてしまいました」

■グアンタナモからの釈放
ある日、
ムラットさんは
「ジーンズ」や「ジャケット」のような
「普通の服」を渡され、
「着ろ」と言われた。
これは、
彼がグアンタナモに連れてこられたときと
同じような服装だったという。

「私はそのままドイツの基地に連れて行かれ、
 警察に引き渡されました。
 家族が迎えに来ていたのですが、
 父親を見ても私は誰だか分かりませんでした。
 父は私のいない5年間で
 すっかりやつれてしまっていました」

「2人の弟もすごく成長していて、
 私には分かりませんでした。
 ただ、母親だけが
 『お母さんだ』とわかりました。
 もっとも母も、
 すっかり年老いて見えましたけど」

2006年8月のことだった。
当時ドイツを訪問したブッシュ大統領に、
ドイツのメルケル首相がかけあい、
ようやく帰国が実現したのだ。

「でも、
 まだ200人以上の人たちが
 グアンタナモ基地に捕らわれています。
 グアンタナモ収容所ができて8年。
 当時未成年だった子供たちも、
 家族に会えないまま大人になっています」

グアンタナモの収容者たちは
「犯罪者」でも「捕虜」でもない
「適性戦闘員」であるとアメリカは主張している。
「犯罪者」であれば弁護士も付け、
公正な裁判を受ける権利がある。
「捕虜」であればジュネーブ条約に基づき
人道的に遇され、
戦争が終われば帰国できる。
だが、
「適性戦闘員」はそのどちらでもないとして、
公正な裁判も受けられないまま、
期限の無い収容状態に置かれている。
アメリカのオバマ大統領は選挙戦で
「グアンタナモ収容所の早期閉鎖」を約束したが、
「テロリストが釈放されると
 アメリカが危険にさらされる」など
保守的な世論の抵抗を受け、
公約の実現は難航している。

■なぜ拷問を耐えられたのか
講演が終わった後、
会場から次々と質問が寄せられた。
私も次のような質問をした。

「ムラットさんは5年間、
 非常に苛烈な拷問の中、
 『自分はアルカイダだ』という書面へのサインを
 断り続けた。
 どうしてそのようなことが可能だったのか、
 私はそれが知りたいです」

それに対するムラットさんの回答は
こうだった。

「私は小さい頃から母親に、
 『お前はいい子でいなさい』と
 常に言われて育ってきました。
 サインをすると
 自分はテロリストだと
 認めることになります。
 私はともかく、
 母が
 『お前の息子はテロリストだ』と言われるのは、
 私には耐えられませんでした」

そう言ったあとムラットさんは、
「ただ……」と言って付け加えた。

「ただ、
 サインをしたら確実に釈放されるということなら、
 私もサインしていたかもしれません。
 けれど、
 サインをした人がその後どうなったのか、
 私にはさっぱりわからなかったから……」

最後にムラットさんは、
「日本はアメリカと
 非常に近い関係にあると聞いている。
 だから、
 日本の人が行動を行なうことが重要です」と
切り出した。

「グアンタナモの収容者たちの中には、
 身体は丈夫でも
 精神的に病んでしまった人もいます。
 自分の他にも
 グアンタナモから釈放された人はいますが、
 そういう人は自分の経験を語れません。
 逆に身体をボロボロにされた人もいます。
 拘束状態は長期にわたっていて、
 私は中の人の健康状態を
 非常に心配しています」

ムラットさんはそう語り、
オバマ大統領が選挙の公約に従って
早期にこの非人道的な収容所を閉鎖するよう
訴えた。
(インターネット新聞「JANJAN」
 11月4日に加筆転載)
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by imadegawatuusin | 2009-11-04 17:13 | 国際

――米国民はブッシュ・共和党政治にNo!――

■「変革」の風を全世界に
アメリカ国民は「変革」を選び、
弱肉強食の新自由主義的「ブッシュ政権8年間」に
明確な“No!”を突きつけた。
民主党・バラク=オバマ上院議員の
アメリカ大統領選挙勝利を心から歓迎したい。

ブッシュ共和党政権は、
イラクに対して先制攻撃を仕掛け、
主権国家への侵略を強行した。
攻撃の口実とされた「大量破壊兵器」は存在せず、
イラクにはその開発計画すらなかったことが、
当のアメリカ政府の調査団自身が
議会に提出した最終報告の中でも明らかになっている。
再建されたイラク政府も、
米軍の確実な早期撤退を求め、
アメリカ側提案の米軍地位協定の修正を
強く求めているところだ。

ブッシュ共和党政権の経済政策の基本は
規制緩和に重きを置く新自由主義路線であり、
市場は「カジノ資本主義」と化してしまった。
一部の投資家や資本家が巨万の富を得る一方、
一般労働者との格差はますます拡大し、
貧困層の増大が問題となっている。
このことが、
サブプライムローン問題を発端にした
このたびの世界的金融危機を招いたともいえる。

無政府状態と課した市場に規律を与え、
立て直す役割がオバマ新政権には要求される。
経済においては政府の役割の強化や
セーフティネットの拡充を期待したい。
ブッシュ政権の金持ち優遇政策から脱却し、
公約通り
「一般庶民には減税、金持ちには増税」を実現し、
アメリカ政府が格差是正の先頭に立つことが
待ち望まれている。

平和・人権の問題では
ブッシュ・共和党政権の軍事優先の政策を転換し、
グアンタナモ収容所の閉鎖や
イラクからの米軍の早期撤退など、
具体的な成果を期待する。

そして、
我が国もまた、
この「変革」の波に続きたい。
この国でも、
政権選択をかけた衆議院総選挙が遠くない。
平和で豊かな福祉社会の実現に向けて、
筆者もまた、
総選挙への取り組みに奮闘する決意である。
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by imadegawatuusin | 2008-11-06 09:13 | 国際