「ほっ」と。キャンペーン

――新幹線の「顔」を作る山下工業所――

■手作業でしか採算が合わぬからくり

企業は普通、
少しでも売れるものを作ろうとする。
売れないものを作っても仕方がないと考える。

だが世の中には逆に、
「自分の作っているものが売れすぎてしまうと
 儲からなくなる、
 むしろ会社がつぶれてしまう」という企業もある。

「山下工業所」はそんな会社の一つだ。
山口県下松市にある板金会社である。

この会社が作っているのは
「あまり売れないもの」ばかりである。
たとえば、
「新幹線の先頭でスピードと安全性を左右する
 丸い顔。
 空気抵抗を和らげ
 高速走行と安定走行を実現する中核部品だ」(千葉香代子「新幹線の『顔』を生む世界に一つの板金技術」『ニューズウィーク日本版』2011年12月7日)。

何と日本の新幹線の「顔」の先は
すべて山下工業所が、
しかもアルミの板をハンマーでたたいて
手作業で作っているのだという。

「鋼板をハンマーでたたき、
 曲げたり延ばしたりして必要な形に成形する。
 板を打っては新幹線の顔の骨組みの上に載せ、
 隙間の開き具合を確かめ、
 またたたく。
 打ち出した板を何枚も溶接して、
 ようやく完成する。/
 アナログな作業だが、
 ほかに方法はない。
 材料は鉄からアルミニウムに変わったが、
 同社はこの方法で
 新幹線開業用の0系から最新の東北新幹線E5系まで、
 22車種350両以上を製造してきた」(同上)。

最先端の技術を結集して作られた新幹線の
まさに「最先端」が、
どうしていまだに手作業なのか。
それは、
新幹線の顔の先が「売れない商品」だからである。

「機械でやらずに人手にこだわる最大の理由は
 コストにある。
 顔のある車両は1本の新幹線に2つしかなく、
 中間車両よりはるかに数が少ない。
 モデルチェンジも頻繁にある。
 いちいち生産設備を作っていては、
 とても採算に合わない。
 人間が手作業で作ったほうが、
 安いし早くできる。
 実は経済的に最も理にかなっているのだ」。

もしも新幹線の「顔」の先が、
1年間に何千個と「売れる商品」だったらどうだろう。
たちまち大手企業が参入して
機械を使って安く大量生産を始め、
手作業で仕事をしている山下工業所などは
太刀打ちできなくなるだろう。

けれども、
新幹線の「顔」の先はそれほど売れない。
中間車両と違って1本の新幹線には必ず2つで、
それ以上増やすことはできない。

新幹線自体が日本にしかないし、
その日本にも路線は数えるほどしかない。
山下製作所が今まで顔を作ってきた「22車種350両」が
世界の新幹線のすべてなのだ。

こんなに「売れない」もののために、
いちいち機械を開発して作っていたら、
絶対にコストが高くなる。
確かな経験とノウハウを持った職人が
腕一本で作るのにかなわない。

そして、
新幹線の「顔」の先を作った
経験・ノウハウを持っているのは
世界中を探しても山下製作所だけなのだから、
これはもう他社の参入を許さない
完全な独占企業なのである。

この会社が作っているものは他にも、
「建築デザインから工芸品まで、
 一点物を中心に幅広い。
 ハイテク分野でも、
 複雑な形状の超音速研究機の主翼を造るための
 成形型を
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同開発した。
 これも、
 研究用の一点物だ」(同上)。
こうした「一つしか売れないもの」こそ、
山下工業所の独擅場なのである。

「売れるもの」ではなく「売れないもの」を作る。
高い技術を持った小規模経営の知恵と言えるだろう。

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by imadegawatuusin | 2012-01-08 11:07 | 経済

――貧困解決へ雇用問題の重要性強調――

10月17日の「貧困撲滅のための国際デー」に
反貧困ネットワークあいちは、
名古屋市熱田区で
「ワーキングプアをなくそう~雇用から考える~」
と題する集会を開催した。

集会では経済誌・「東洋経済」記者の風間直樹さんが、
「非正規労働の最たるもの」として、
7次・8次「下請け」までザラであるという
原発労働の実態を報告した。

原発労働の現場で横行している多重「請負」の大半は、
違法な偽装請負であると風間さんは断言する。
「製造業で問題化したこうした偽装請負が、
 究極の危険業務である原発で、
 これまでいけしゃあしゃあとまかり通ってきた」と
風間さんは告発する。

「末端の労働者たちには
 そもそも雇用契約書も存在しない。
 社保もない。
 事故にあっても
 そこで働いていたことを証明するすべもない。
 求人募集を見ると、
 経験不問・年齢不問・学歴不問の不問づくし。
 『とにかく体一つで来い。被曝が仕事だ』という態度」
と風間さんは言う。
「事故のない通常の定期検査などでも、
 一定の被曝は避けられない。
 使い捨てが前提の仕事」なのだというのである。

その上で風間さんは、
「政権交代があろうと何があろうと、
 派遣法は一文字も変わっていない」と発言した。
「先日、
 政府が正社員雇用を増やした企業に補助をする
 雇用促進税制が
 ほとんど活用されていないことが報道された。
 一部からは、
 『行政が雇用に介入しても意味はない。
  無駄だった』などという人もいる。
 けれど、そうではない。
 正社員雇用の促進は、
 派遣や有期雇用といった不安定な雇用の規制と
 同時に行なわなければ、
 いくら政府が補助金を出すと言っても
 企業はそれだけでは動かない」と、
風間さんは雇用政策の立て直しには
体系的な視点が必要なことを強調した。

続いて講演した名古屋大学法学研究科の和田肇教授も、
「日本は1980年代から、
 男性正社員中心の雇用政策が変わっていない。
 新しい雇用問題に対応する手だてが講じられないまま、
 非正規雇用労働者が急増している」と
危機感を表明した。

「最低賃金でフルタイムで働いても、
 ワーキングプアにしかならない。
 日本ではこの問題に立法対策が取られてこなかった」
という和田教授は、
「お隣の韓国で非正規職保護法が制定され、
 画期的な判決も相次いでいる。
 ニューヨーク発の反格差・反貧困の運動も
 広がっている」と世界の流れを紹介し、
貧困問題の解決における雇用問題の重要性を指摘した。


【参考記事】
10・17 名古屋 貧困撲滅のための国際デー集会へ



「反貧困ネットワークあいち」

会費額等(年額)
・会員 会費 一口1000 円。 ・サポーター 賛助金 一口1000 円。
*ただし、月収(手取り)が生活保護基準額と同等と認められる場合には、
 会費・賛助金を免除する。

反貧困ネットワークあいち事務局
〒453-0014 名古屋市中村区則武一丁目10 番6 号 名古屋法律事務所内
Email: info@hanhinkon-aichi.net
WEB:http://hanhinkon-aichi.net/
FAX:052-451-7749、TEL:052-451-7746
郵便振替 00800-6-190393 口座名義 反貧困ネットワークあいち

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by imadegawatuusin | 2011-11-06 12:34 | 経済

――被災地への義援金集めなど連帯を強調――
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■参加者、660人と発表
東日本での大震災による影響が各地で出る中、
3月13日に予定されていた
「反貧困フェスタinあいち」が
「反貧困集会inあいち」と名称を変更した上で、
名古屋市守山区の金城学院大学で開催された。
集会は副題に
「がんばろう 東北、関東」を掲げ、
会場では震災への義援金が呼びかけられるなど、
震災被害者への連帯を強く打ち出した集会となった。
集会参加者は全体で660人と発表された。

開会にあたって
集会実行委員長の内河惠一弁護士は、
「昨日、
 東北地方を中心に
 たいへん大きな地震がありました。
 昨年『反貧困フェスタ』を開催した宮城県も
 大きな被害を受けており、
 被害者の惨状を私たちは無視することができません」
とあいさつし、
参加者全員に1分間の黙祷を呼びかけた。
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■「地震でも、課題からは逃れられない」
内河実行委員長は、
「こうした東北の惨状を目の前にして、
 予定されていた『反貧困フェスタ』を
 計画通りやるべきか、
 中止すべきかという議論も真剣に行なった。
 全国から参加できない方が
 たくさん出ることも予想された。
 フェスタの実現は難しいと思われた」と
実施決定までの困難を振り返った。
「しかし、
 どれほど大きな地震があっても、
 私たちはいまここで取り組んでいる課題から
 逃れられない。
 私たちはリーマンショックの後、
 派遣切りで突然
 職と住まいを失った人々を助けるために集まった。
 むしろその経験を生かし、
 連帯の意識を強めてゆく絶好の機会ではないか。
 たとえ規模を縮小してでも、
 やりたいことができなくても、
 できるだけのことをやりたい」と、
「フェスタ」を「集会」に変更しての実施を
決断するに至った真情を説明した内河実行委員長は、
「貧困問題を少しでも解決するには、
 貧困問題に取り組む団体が
 手をつないで協力するしかない。
 反貧困ネットワークは
 それぞれの分野で貧困問題をしっかりと受け止め、
 各団体がお互いに尊重しあいながら進む団体。
 今日の集会を契機に
 さらなるつながりをつちかってゆきたい」と
抱負を述べた。

最後に内河実行委員長は、
「今日、
 私たちは反貧困のために結集し、
 震災の被害を目前にして
 少しでもこの気持ちを被災地に伝えたい。
 そして反貧困ネットワークが
 この震災の被害をどのように支援し、
 連帯してゆけるかを考えたい」と述べ、
被災地のための義援金集めを行なうことを確認した。 

■「下請け・零細企業も貧困」
参加者らはその後、
8つの分科会などに分かれて意見交換。
このうち、
「労働と貧困」をテーマにした第2分科会では、
「三菱電機派遣切り訴訟」を闘う原告たちや、
知立の外国人労働者などから報告を受け、
活発な討議が交わされた。
第2分科会を主催した愛労連議長の榑松佐一さんは、
「大企業から仕事を減らされ、
 単価切り下げを迫られている
 中小・零細企業では
 設備のリース代も払えない状況が起こっている。
 生活費を削りながら営業を続ける
 そうした中小零細企業も参加できる反貧困集会として
 知恵を出し合おう」と意見を述べた。

■「連帯の広がりに希望」
分科会が終了すると最後に再び全体集会が行なわれ、
反貧困ネットワーク事務局長の
湯浅誠さんのメッセージが発表された。
湯浅さんはこの中で、
「災害は生活弱者にもっとも強く襲いかかります。
 高齢者・女性・子ども・障害者・
 ホームレス状態にある人たちなど、
 今後長期化せざるを得ない避難生活の中で、
 徐々に心身の疲労の蓄積していくことが予想されます。
 ……今後も各地で連絡を取り合いながら、
 必要な際に必要な対応が取れるよう
 準備を進めていければと思います」と述べ、
災害の問題が
まぎれもなく貧困の問題であることを示した。

集会には韓国の反貧困ネットワークである
「貧困社会連帯」の
チェ=イェリュン事務局長も参加した。
チェ事務局長は、
「制度や構造など、
 韓国と日本は貧困に関して共通点が多い。
 貧困を拡散する新自由主義に反対する運動に
 協力して取り組もう」と、
日本の反貧困運動への連帯を表明した。

その後 参加者らは、
「今こそつながろう!人間らしい生活を求めて」
と題する集会宣言を
拍手によって採択。
最後に反貧困ネットワークの宇都宮健児代表が
閉会のあいさつを行なった。
宇都宮代表は、
「今回の集会は
 被災地に対する配慮に満ちたすばらしい集会だった。
 何としてでも参加しよう、
 万難を排して参加しようと参加して、
 本当に良かった。
 みなさんから元気・勇気をいただけた」と
集会を称賛。
「この4年の『反貧困フェスタ』の中で、
 韓国のみなさんが参加して集会が開かれたのは
 初めて。
 国際的にもつながりができ、
 たいへん実りのある集会だった。
 貧困の解消への希望は
 こうした広がりの中にこそある。
 反貧困を目指す運動が日本の隅々に広がってゆき、
 世界の国々とも連携・連帯が広がってゆく。
 ここに希望を見出そう」とあいさつを締めくくった。
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集会会場の各所に義援金箱を設置し、
全体集会の中でも義援金を募った結果、
36万181円の義援金が集まった。
義援金は全額が被災者のために使われ、
具体的な送付先などは
早急にホームページなどで公表される。
(JanJan Blog 3月13日)


【参考記事】
反貧困愛知集会に500人 2010/03/01

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by imadegawatuusin | 2011-03-13 23:43 | 経済

――庶民各層の連帯で、なくせ貧困、許すな格差!――

■全国キャラバン愛知入りを受けて
23日、
名古屋市中区矢場町の若宮広場で開かれた
「反貧困愛知フェスタ」に参加した。
広がる貧困への対策強化を訴える
「反貧困全国キャラバン」のキャラバンカーが
愛知県入りしたことを受けてのイベントだ。
キャラバンカーは今年7月から10月までの予定で
全国を巡り、
10月19日(日)には東京・明治公園(千駄ヶ谷駅徒歩7分)で
午後1時から総まとめ大集会を行なうとのこと。

壇上からは貧困対策強化を訴える
「東海生活保護利用支援ネットワーク」
(代表は当労組もTSS裁判でお世話になっている
 森弘典弁護士)や、
野宿者への襲撃問題について訴える
「笹島診療所」などが発言。
奨学金の充実などを求める
高校生グループのダンスなども披露され、
盛り上がりを見せた。

■ここでも「格差」が……?
会場では労働相談などのブースだけでなく、
多くの人たちがフリーマーケットや屋台を出店。
我が名古屋ふれあいユニオン組合員も
様々なサークル名で店を出していたが、
「甘味屋かりん党」(あまみやかりんとう)名義で
かりんとうを販売していた組合員は
思うように売り上げが伸びず赤字。
(結構おいしかったけど、
 いかんせん店名のセンスが……)。
一方、
スリランカ人の友人たちと
「日本・スリランカおもしろ交流協会」を結成し、
スリランカカレーの販売を行なった組合員の企画は
大当たりでバカ売れだった。
(こんな所でも「格差」が……)。

■ヒンキー・ねこなまず先頭にデモ
イベント終了後には
約120人がデモ行進(中日新聞9月24日)。
全国反貧困運動のシンボル・「ヒンキー」や
名古屋反貧困運動のシンボル・「ねこなまず」を先頭に、
栄周辺を練り歩いた。

デモの中では、
生活保護申請希望者に、
そもそも申請さえさせずに審査を怠る
いわゆる「水際作戦」を念頭に、
「申請書を渡せ!」・「申請書を窓口におけ!」などの
シュプレヒコール、
「ビンボー人は悪くないぞ!」・「税金は金持ちから取れ!」
などのユニークなシュプレヒコールも響き渡り、
沿道の注目を集めていた。
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by imadegawatuusin | 2008-09-24 19:48 | 経済

――企業、「一家一族の所有物」から「社会の公器」への転機――

■「ナショナル」も廃止し、ブランド統一へ
松下グループの中核企業・松下電器産業が10日、
グループ各社の社名を今年10月1日付で
「パナソニック」に統一すると発表した。
1925年から長らく使用されてきたブランド名・「ナショナル」も、
2009年度を目途に廃止するとされている(毎日新聞1月11日)。
松下グループは創業90周年を期に、
ついに創業家の家名を社名から外す決断に踏み切った。

確かに日本的経営方式の典型とされる
「松下イズム」に愛着を持つ人にとっては、
創業者の名を社名から消す今回の決定に
とまどいを覚える向きもあるだろう。
しかし私は、
社会の公器であるべき企業に個人の、
しかも家名が付けられているということ自体が
望ましいものではないと考える。

創業者・松下幸之助氏から遺族が相続した松下電器産業の株は、
現在の発行済み株式の1パーセント程度。
公表されている大株主上位10者の中に
松下家の名前はない(朝日新聞1月11日)。
もはや松下グループは、
一家一族の所有物ではありえないのだ。

「国家」を意味する「ナショナル」は、
戦前 日本の侵略を受けた諸国の人々にとっては、
どうしても「日本国家主義」の再来を
想起させかねない名称だ。
それに対して
「Pan(あらゆる)」と「Sonic(音声)」とからきた「パナソニック」は、
一国一地域に偏らず、
多様な価値観を受け入れる懐の深さを感じさせる(日本経済新聞1月11日)。
すでに海外での売り上げが国内での売り上げを上回り、
外国人従業員比率も高まっている同グループの
今後 進むべき方向を照らし出す名称だと言えるだろう。

松下グループの
社名・ブランド名の「パナソニック」への統一を歓迎する。
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by imadegawatuusin | 2008-01-11 23:27 | 経済

――「聞いちゃった」一転 犯意認める――

■「利益目的で買い増し」
証券取引法違反で逮捕された
村上ファンド元代表の村上世彰容疑者が東京地検特捜部の調べに対し、
「インサイダー情報を聞いて、
 自分たちもニッポン放送株を買い増して、 
 最終的にはライブドアに売りつけてもうけようと思った」などと
供述していたことが明らかになった(読売新聞6月23日)。
村上容疑者はこれまで、
逮捕前の記者会見でも、
「宮内さん(筆者注:=ライブドア元最高財務責任者)が
 『やれいけ、それいけ、ニッポン放送だ』というのを聞いちゃった。
 (インサイダー情報との)感覚はなかった」などと
説明していた(毎日新聞6月23日)。

■日銀総裁の村上F投資 オリックスが窓口
また、
日本の金融政策を取り仕切る日銀の福井総裁が
この村上ファンドに1000万円を投資し、
2003年の日銀総裁就任時にも清算せず、
総額1473万円の利益をあげていた問題で、
この投資契約はオリックスが村上ファンドへの投資の窓口となって
福井氏とオリックスとの間で結ばれたものであったことが
明らかになった(毎日新聞6月23日)。
オリックスは1999年の村上ファンドの設立にあたって、
「会社の作り方も知らなかった」村上容疑者に
「うちの休眠会社を使ったらどうですか」と教え、
村上ファンドの中核会社出資金の45パーセントを負担、
決算の連結対象として
その業績をオリックス本体の決算に反映させていたほか(読売新聞2005年11月9日)、
取締役を派遣するなど、
「村上容疑者の“後ろ盾”ともみられてきた」(読売新聞6月23日)存在であった。
今回の件で、
資金集めにおいてもオリックスと村上ファンドが一体となっていた実態が
改めて浮き彫りにされた。

オリックスの宮内会長は
1998年に政府の規制緩和委員会の委員長に就任して以来、
現在の規制改革・民間開放推進会議議長まで、
一貫して政府の規制緩和の旗振り役を務めてきた。
6月23日の『読売新聞』によると、
「宮内さんは規制改革で秩序を壊し、
 自分のビジネスに結びつける」との声があがっていたという。
実際、
特定少数の投資家から非公募形式で資金を集める
村上ファンドのような「私募ファンド」の設立は、
宮内氏が委員長を務めていた政府の規制緩和委員会の提言に基づき、
1998年12月に施行された金融システム改革関連法で
解禁されたものだったのだ。

オリックスの宮内会長がが旗振り役を務めた金融規制緩和策があってこそ、
村上ファンドは誕生したといえるだろう。
その村上ファンドが、
実はオリックスの「子会社」とでも言うべき存在だったのである。
事の利害関係者を
一国の政策立案の中心人物として起用し続けてきた政府の責任が
問われてしかるべきである。
自分たちで法律を作り、あるいは変えて、
自分たちが儲けを手にする……、
このようないわば「インサイダー政治」に
今こそ終止符を打つべきときだ。

■「日銀総裁は資産公開」のルールを
この問題で衆議院財務金融委員会は22日、
日銀の福井総裁に対し、
総裁就任時から2005年末までの給与以外の所得と、
投資信託や預貯金などの金融資産の公開を求めることに決めたという(読売新聞6月23日)。
日銀総裁はその一挙手一投足が市場に大きな影響を与える存在であり、
また
一般人には手にできないさまざまな未公表情報を入手しうる立場にある。
政府閣僚には定期的な資産公開が義務付けられているが、
日銀総裁もその職責の重さを考えれば、
「何か問題が起こってから資産公開」というのではなく、
日銀総裁に就任した時点で資産はきちんと公開し、
その後も定期的に国会に報告するなどして
透明性を確保するシステム作りが不可欠だ。

そもそも、
「通貨の番人」と呼ばれる日銀総裁には、
高度の信頼性と中立性とが求められる。
特定投資家や特定企業と利害を共にすることは望ましくない。
日銀総裁への就任時点で、
特定企業の株式保有や特定ファンドへの投資を停止する、
厳正なルール作りが必要であろう。

《参考サイト》
村上ファンド:背後にオリックス
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by imadegawatuusin | 2006-06-23 17:24 | 経済

――設立資金出資・役員派遣――

■村上F:前身はオリックス研修施設運営会社 
証券取引法違反の疑いで逮捕された村上世彰容疑者が
代表を務めていた「村上ファンド」が、
その設立当初から一貫して
大手リース会社・オリックスと密接な関係にあったことが
「しんぶん赤旗」(6月8日)にて報道された。

これによると
「村上ファンド」の中核企業・M&Aコンサルティング(M&A社)はもともと、
千葉県船橋市にあるオリックスグループの研修施設・
「セミナーハウス、クロスウェーブ」の運営を行なっていた会社で、
「クロス・ウェーブ株式会社」という商号だった。
役員には現オリックス副社長ら、
オリックスグループの役員がずらりと名をそろえていたという。

この「クロス・ウェーブ株式会社」は2000年1月に
商号を「エム・エイ・シー」(現M&A社)に変更し、
村上容疑者が代表取締役に就任、
村上ファンドの中核企業へと会社の面目を一新した。
現在、「セミナーハウス、クロスウェーブ」は、
オリックスグループのブルーウェーブという会社が運営しているという。

■オリックス:所在地提供・取締役派遣
村上容疑者が代表取締役に就任した後も、
「エム・エイ・シー」(現M&A社)は2000年12月までの約1年間、
本店所在地を「セミナーハウス、クロスウェーブ」に置き続けた。
そして、
M&A社の立ち上げにあたっては
オリックス社長室長(現「オリックス・クレジット」社長)が取締役として派遣され、
その後も先月16日まで3代にわたりオリックスから取締役が送り込まれてきた。

村上ファンドのもう一つの中核企業であり、
今回 問題となっているニッポン放送株のインサイダー取引を行なった
投資顧問会社「MACアセットマネジメント」にも、
オリックスは取締役を派遣していた。
オリックスは「MACアセットマネジメント」設立後まもなく、
現「オリックス・クレジット」社長を送り込み、
先月16日に3代目の役員が辞任するまで取締役を派遣し続けていた。

■村上Fはオリックスの出資で設立された
読売新聞(2005年11月9日)によると、
当時「MACアセットマネジメント」は
株式の45パーセントをオリックスに占められており、
決算の連結対象となる「持ち分法適用会社」として、
その業績はオリックスの決算に反映されていた。
ファンド設立時の「(元手となる)シード・マネーを出した」のも
オリックスであったとある。
村上ファンドは名実ともにオリックスの子会社だった。

オリックスは先月12日、
村上ファンドへの出資金の引き上げを表明し、
出向役員は先月16日に辞任した。
しかしこの間、
村上ファンドが一貫してオリックスと密接な関係にあったことはもはや疑いようがない。

「村上ファンド」は、
新聞広告などで不特定多数から投資を募る「公募ファンド」ではなく、
少数の投資家だけから資金を受けて運用する「私募ファンド」である。
この「私募ファンド」は、
1998年12月に施行された金融システム改革関連法で
設立できるようになったものである。

そして、
この「私募ファンド」の解禁を政府に提言したのが、
政府の規制緩和委員会であり、
その委員長を務めていたのがオリックス会長の宮内義彦氏なのである。
事の利害関係者をこのような役職につけてきた政府の責任は重大だ。

《第8号》

《参考サイト》
「村上容疑者:インサイダー目的を自供」
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by imadegawatuusin | 2006-06-08 10:38 | 経済

アイフルに業務停止命令

――どうする? アイフル――

■全国約1900店舗に、最長25日間
金融庁は14日、
消費者金融大手のアイフル(本社京都市)に対し、
強引な取り立てなど違法行為が相次いだとして、
全国約1900の全店舗の業務を停止するよう命令した。
業務停止期間は、
違法行為が明らかになった
新居浜店など3店舗が5月8日から25日間、
諫早店など2店舗が20日間、
その他のアイフル全店舗が3日間となっている。

■顧客の委任状を偽造し、公的証明書無断取得
今回 金融庁の認定したアイフルの違法行為は全部で5件。
長崎県の諫早店では、
貸金業務の主任が顧客名義の委任状を偽造し、
顧客の戸籍謄本や所得証明を無断で取得していたという。
五稜郭店では、
判断力の不十分な債務者に、
家裁が付けた補助人からの「契約取り消し」通知を無視して取り立てを続けた。

■勤務先へも電話、第三者からの資金調達要求
またアイフル「カウンセリングセンター九州」は2004年6月、
債務者の勤務先にまで正当な理由なく電話をかけ、
勤務先への電話はやめてほしいと本人から申し出を受けた後も、
執拗に勤務先への電話を繰り返したという。
さらに新居浜店では、
第三者から返済資金を調達するよう、
執拗に求めたという(4月15日「産経新聞」・「毎日新聞」)。
ただでさえ利息制限法の上限(違反しても罰則はない)を超える金利で貸し付けを行なっている
アイフルへの返済ができないということは、
すなわちその債務者には借金返済能力がないということである。
自社で借金の取り立てができない、
つまり借金返済能力がないことが最初から分かりきっている債務者に、
他者から借金して自社の返済に回すように要求するのは、
極めて身勝手で無責任な態度である。
この会社は、
自社の借金の取り立てさえできれば、
その先 他人がどうなるのかなどみじんも考えてはいないのだ。
返済能力のない債務者に、
合法的に貸金業を営む第三者が、
進んで融資を行なうとは考えにくい。
アイフルの要求は事実上、
利息制限法はおろか、
出資法の上限(違反すれば罰則あり)をも超える金利で貸し付けを行なう
違法金融・「ヤミ金」からの借り入れの強要し、
債務者をさらに過酷な借金地獄の世界へと陥れようとするものに他ならない。
そうでなければ、
本件とは無関係の親族・知人を自社への返済に巻き込もうとする
極めて悪質なものである。

■利息制限法を超える高利取りたてには罰則を
生活上の困窮からお金が必要な人がいる場合、
本来は行政が生活保護など適切な措置を講じるべきだ。
利息制限法の上限を超える高利業者から金を借りれば更なる借金地獄に陥り、
最終的には親族・知人の生活をも破壊することになりかねない。
こうした事態を避けるため国会は、
罰則のある出資法の上限金利を
利息制限法の規定水準まで引き下げ一本化すべきだ。
また、
銀行や証券会社など他の金融機関と同様に、
貸金業者にも業務改善命令を発動できるよう、
制度を改正する必要がある。
複数業者からの借り入れにも上限額を設けるべきだ。

《第5号》
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by imadegawatuusin | 2006-04-15 16:25 | 経済