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■だまし・だまされ種村ワールド
種村有菜さんの作品の登場人物たちは、
一人一人みんな、
一番大切な「何か」を隠している。

だから、
作品を読み進めてゆくうちに、
「ちょっと待て、
 これってそういう話だったの?」という瞬間に
何度も遭遇することになる。

一人一人が何らかの「嘘」をついているので、
それが全て積み重なると、
作品の構図そのものが反転してしまったりする。
『神風怪盗ジャンヌ』などはその典型例だ)。
気がつけば、
第1巻を読んでいたときとは、
「全く逆のお話」になっていたりすることが珍しくない。

本作・『時空異邦人KYOKO』も当初は、
「『実は王族だ』ということを隠して生きているお姫様のお話」
として始まった。
ところがこの物語は、気がつけば、
「『実は王族ではない』ということを隠して生きてきた女の子のお話」
になっている、といった具合だ。

本作・『時空異邦人KYOKO』はおそらく、
種村有菜さんの、ある意味では最大の「失敗作」であろう。
某超有名少年漫画誌の「連載打ち切り」のような形で幕を閉じてしまう。
(特に3巻前半の、「異邦人」の集め方はあまりにも強引だ)。

しかしそんな中でも、
「だまし・だまされ」、「構図反転」の種村ワールドは全開だ。
「ストーリーは破綻してるけれど面白い」という、
ある意味不思議な作品なのだ。
登場人物のちょっとした台詞一つ一つから、
種村有菜さん独特の、
「きらめくようなセンス」が感じられる。


【本日の読了】
種村有菜『時空異邦人KYOKO』(集英社りぼんマスコットコミックス)評価:4
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by imadegawatuusin | 2006-03-28 04:29 | 漫画・アニメ

■恒例の「駄洒落クイズ」が伏線に
「劇場版コナン」おなじみの恒例行事に、
「駄洒落クイズ」というものがある。
作品の冒頭あたりで何か一つ
必ずダジャレをネタにしたクイズが出題されるのだ。

僕が「劇場版コナン」について常々不満に思っていたことは、
この「駄洒落クイズ」の内容や回答が、
作品自体のその後の展開や構成に
一切関係してこないということだった。

しかし、
この『銀翼の魔術師』は違う。
駄洒落クイズの伏線は、
最後の最後の灰原哀の言葉、
「どうやら、
 あなたの辞書にもなかったようね……」で、
みごとに回収されている。
この灰原の言葉を聞いたとき、
僕は正直、
心の底からぐっときた。

■「コナンVSキッド対決」は終始キッドペース
この作品は、
劇場版では2回目となる「コナンVSキッド対決」である。
(「キッド」とは、
 『名探偵コナン』の作者・青山剛昌さんの初の長期連載作品である
 『まじっく快斗』の主人公をつとめる怪盗紳士のこと。
 『コナン』にもしばしば登場する)。
だが今回は、
「2人の対決」という面に限定して言えば、
ほとんど終始キッドのペースで事が進む。
「ビル屋上からの落下」だけが
わずかにコナンの「勝ち点」と言える程度だ。
(しかしコナンは、
 この作戦が見事「成功」していたら
 一体どうするつもりだったのだろう。
 これではキッドが死んでしまっていたような気がするのだが……)。

■「2が割れていたから奇数」?
この作品で、
どう考えても腑に落ちなかったのがコナンの「暗号解読」である。
(大体この手の「暗号解読」は
 かなり恣意的なものが多くて、
 今まで僕は感心させられた ためしがない)。
特に、
「怪盗キッドは『東京発の』飛行機の中で宝石を盗む」という推理である。

これについてコナンは次のように言っている。

(筆者注:暗号では)スペードの2のカードが半分に割れていた。
あれは、
2で割り切れない奇数を示してたんだ。


……、何で?
いまだにさっぱりわからない。

コナンによると、
東京から出発する「下り」の飛行機の便数は奇数。
東京へ到着する「上り」の便数は偶数であるという。
それはいい。

だが、
なぜ「スペードの2のカードが半分に割れていた」から
「2で割り切れない奇数を示してた」となるのだろうか。

「スペードの2のカードが半分に割れていた」から、
この暗号は「1を示している」というのであればまだわかる。
しかし、
「スペードの2のカードが半分に割れていた」から
「2で割り切れない奇数を示してた」というのでは、
どう考えてもつじつまが合わない。
(大体、「スペード」はどう解いたんだ!)。

むしろ、
「2のカードが半分に割れていた」のだから、
これは「2で割り切れる偶数を示している」と解くべきではないのかとすら
思ってしまうのだがいかがだろうか。

《劇場版『名探偵コナン』お薦めベスト3》
第1位『天国へのカウントダウン』
第2位『14番目の標的』
第3位『瞳の中の暗殺者』

参考お勧め記事
「名探偵コナン『時計じかけの摩天楼』について」
「名探偵コナン『14番目の標的』について」
「名探偵コナン『瞳の中の暗殺者』について」
「名探偵コナン『天国へのカウントダウン』について」
「名探偵コナン『迷宮の十字路』について」
「名探偵コナン『水平線上の陰謀』について」
名探偵コナン『漆黒の追跡者』を見て

酒井徹「名探偵コナン『ベイカー街の亡霊』と『自己犠牲』」
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by imadegawatuusin | 2006-03-20 16:43 | 漫画・アニメ