――テストがあってもSOS団は年中無休!――

ハルヒがこの世界で
(無自覚かつ能動的に)全能であるのと同様に、
長門もまた
(思慮深く受動的に)全能である。
なにを考えているのか分からないことは同じか…(笑)
 
二人のタイプの違う全能の女にはさまれて
キョンは幸せだが、
ストーリー的には、
全能の登場人物に対して
いかに制約条件を設定するかというのがひねり所。

ふたりの全能キャラの性格の違いは、
「危険物」と「安全装置」の機能も果たしていて、
物語をバランス良くドライブしている。(からから!『Amazon.co.jp:涼宮ハルヒの退屈 〔角川スニーカー文庫〕のレビュー』


■「行方不明の彼氏を探して」
「学園生活での生徒の悩み相談」を主な活動内容とする
(ことになっている)SOS団に(谷川流『涼宮ハルヒの退屈』148ページ)
初の「お客さん」がやってくる(前掲書146ページ)。
「ハルヒは今にも歌いだしそうな上機嫌」だ(前掲書149ページ)。

依頼者の名前は喜緑江美里(前掲書146ページ)。
行方不明になっている彼氏を
探してほしいというのだが……。

作品中では、
「幼稚園時代に昆虫博士として有名だった」など、
キョンの意外な一面が垣間見られる一幕も(前掲書164ページ)。

それにしてもコンピュータ研の部長氏よ、
どうしてよりにもよって「カマドウマ」だったのか。
古泉によると、
「このカマドウマは
 ……部長氏がイメージする畏怖の対象」
とのことなのであるが(前掲書166ページ)、
部長氏には、
カマドウマにまつわる嫌な思い出でもあるのだろうか。


《戻る》
谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』について
谷川流「涼宮ハルヒの退屈」について
ツガノガク「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」解説
谷川流「笹の葉ラプソディ」について
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by imadegawatuusin | 2008-02-21 19:19 | 文芸

――サンワスタッフ=中央発條の沖縄派遣難民使い捨ての実態――

■男女賃金差別も「面接時に説明」!?
愛知県豊川市の
製造業派遣会社・サンワスタッフ(代表取締役:広松義正)の派遣労働者たちが
地域労働組合管理職ユニオン東海に結集し、
募集広告と実際の賃金との差額の補償を求めていた問題で、
管理職ユニオン東海執行委員・當銘(とうめ)直次郎さん(30)をはじめとする
7人が18日、
賃金に関する詐欺行為などで精神的苦痛を受けた上、
派遣先の指示により違法に解雇されたとして、
サンワスタッフやトヨタ系列の派遣先・中央発條を相手取り、
慰謝料など総額約3260万円の支払いを求める訴訟を
名古屋地裁に提起した。

訴えを起こしたのは7人は、
いずれも沖縄県出身の20代~30代の男女。
訴状などによると、
7人は沖縄の情報誌で
「月収31万円以上可」、
「賞与30万円以上支給」(「以上可」ではない!)など
高給を謳うサンワスタッフの求人広告を見て沖縄から愛知県に移住、
トヨタ系列の自動車部品会社・中央発條の
藤岡工場 〔注1〕に派遣されて働いた。
だが7人の実際の時給は
男性が全員1200円、女性が全員1000円で、
手にした給与は平均月9万~18万円。
賞与も最も高い人で額面16万円、
女性ではわずか5万円の者もいた。
また、
女性3人については、
インフルエンザにかかった子供の看病で仕事を休んだことを理由に、
派遣先企業の指示で違法に解雇されたという(朝日新聞毎日新聞2月19日)。

当該労働者らで作る「違法派遣会社と闘う会」はブログで、
「これからの、派遣法見直しのきっかけに。
 未来につながる、判例として残るような!
 全労働者の地位・権利の向上の為に
 全力で、完全勝利に向けがんばっていきます」とコメント。
サンワスタッフ側は中京テレビの取材に対して
「広告と実際の賃金に差があることは面接時に十分説明している」と話し、
中央発條側は「解雇の指示をした事実はない」とコメントしている。
〔注1〕余談だが、
彼らの派遣先・中央発條藤岡工場の目の前には、
全日本金属情報機器労働組合に加盟する外国人労働者達を
不当解雇したトヨタ下請け・ティムスがある。


■「面接時に説明していれば広告に嘘を書いてもいい」!?
そもそも、
「面接時に説明していれば、
 広告には堂々と嘘を書いてもかまわない」という理屈自体、
相当 身勝手なものなのであるが
(男女間賃金差別など、
 本人達に説明しようと何をしようと
 違法なものは違法である!)、
當銘さんたちの場合、
正確な労働条件を知らされたのは
沖縄県で派遣会社の面接に応じて内定をもらい、
愛知県にやってきて、
豊田市にあるサンワスタッフの関連施設〔注2〕で
正式な契約を交わすことになった、
まさにその「面接」の際である。
沖縄の家や家財道具を処分して、
親子3人その身一つで愛知県にやってきたところで、
いまさら「本当のこと」を知らされても、
ハイそうですかと沖縄に帰ることなどできるわけがない。
極めて悪質な手口といえる。

筆者は昨年10月26日、
管理職ユニオン東海の主催する対中央発條・サンワスタッフ
抗議行動
に参加した。
自ら解雇を指示しておきながら、
「直接の雇用関係にない」の一言で労働者たちとの話し合いを拒んだ
中央発條のやり方にも失望したが、
最悪であったのがサンワスタッフの対応である。

私たちは當銘さんたちが面接を受けた、
愛知県豊田市内にある
サンワグループの施設に抗議行動を行なった。
施設には、まさに當銘さんたちに面接を行なった、
サンワスタッフの社員がいた。
その社員に詰め寄ると彼は、
「面接のときにちゃんと説明しただろう」と、
片手をポケットに入れたまま、
もう片方の手で髪の毛をいじりながらぶっきらぼうに答えた。
だが、
内定をもらって沖縄の家や家財道具を引き払い、
愛知県にやってきてから「ちゃんと説明」されたとしても、
はっきり言って後の祭りだ。
そう、メガネをかけた若手社員を追及したところ、
彼は、
「ここはサンワスタッフではないから帰れ」と言い出したのである。

「ここはサンワスタッフではない」!?
それを聞いて私たちは言った。
「そもそも當銘さんたちは
 ここでお宅の面接を受けてるんですよ!
 ここがサンワスタッフでないのなら、
 どうしてサンワスタッフの社員であるあなたが
 ここにいるんですか?
 あなたはここで、一体何をしているんですか!」

すると彼は、
片手を突っ込んでいたポケットから携帯電話を取り出し、
ふざけきった声でこう言ったのだ。
「えー、オレ、ここでケータイいじってたんスよ。
 ケータイいじってちゃ、悪いっスか?」
鼻で「へへッ」と笑いながら、
彼は答えた。
それを見た筆者は激怒し、
「それが人と話すときの態度か!
 ポケットから手ぐらい出せ!
 髪をいじるな!
 人の目を見て話をしろ!
 あなたの人をなめきった今の受け答えは、
 テレビに映ってるんですよ!
 (当日の抗議行動にはテレビ朝日の取材が来ていた)。
 全部テレビで放送されますよ、それでもいいんですかっ!」
と声を荒げてしまった。
しかし彼の態度は一向に変わらず、
「ドーゾドーゾ」とせせら笑うだけ。
どうせ顔にモザイクがかかるだろうと
タカをくくっている様子であった。

労働組合をなめきったこのような若手社員に
何を話しても無駄だと悟った私たちは、
社長を出せと詰め寄った。
すると彼は急にうろたえ出し、
「連絡先を知らない」と言い出した。
(大嘘である。
 フロントに据え付けられた電話のダイヤルには、
 「社長」というシールが張られたものがあり、
 ダイヤル一つで直通だったのである)。
なおも私たちが追及すると彼は、
「わかりました。
 社長に電話をします」と言い、
携帯電話を持って会社の奥に引っ込んでしまった。
これでやっと社長が出てくるのだろうと
私たちは雨の中を待ち続けた。
ところが……、
その雨の中をやってきたのはサンワスタッフの広松義正 社長ではなく、
なんと警察だったのである。
彼は、社長を呼ぶと称して私たちの追及を逃れておきながら、
なんと社長ではなく、警察に電話していたのである。

何を考えているのか。
何て姑息なのか。
私たちは本当にあきれ果ててしまった。
彼らは、恥というものを知らないのか。
自分たちが何かの事件の被害者か何かと
勘違いしているのではないか。
犯罪者はサンワスタッフの側であり、
被害者はこちらなのである。
職業安定法第65条は、
「虚偽の広告をなし、
 又は虚偽の条件を呈示して、
 職業紹介、労働者の募集若しくは
 労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者」に対し、
「六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」と
定めている。
どちらがまっとうなことを主張し、
どちらが道理にもとることをやっているのか、
誰の目にも明らかではないか。

実に当然のことであるが、
警察は双方から言い分を聞いた後、
結局そのまま帰っていった。
(「被害者はこっちです。
  職業安定法に基づいて、
  虚偽広告を取り締まってください」と言っておいた)。
〔注2〕サンワスタッフが
「ここはサンワスタッフではない」と称した施設は、
どうやらグループ会社のSAN3、
日系ブラジル人を対象とするSANWORK合同会社、
請負会社の有限会社スバルといった、
サンワグループ企業の合同施設であるらしい。
サンワスタッフ代表取締役の広松義正氏は他に、
社団法人・日本生産技能労務協会に加盟する、
株式会社サンワ(愛知県豊橋市花田一番町)などを経営。
グループ企業には他に、
(有)フューチャー・(有)サクセスなどがある。


■それだけじゃない! サンワスタッフの悪辣な手口
私たちは、こんな悪徳業者を野放しにするわけにはいかない。
サンワスタッフの悪辣な手口は、
虚偽広告や男女間賃金差別にとどまるものではない。
サンワスタッフは採用時、
原告たちに、
遺伝障害の有無などを尋ねる身上調書を書かせている。
また、6ヶ月雇用を謳っておきながら、
社会保険(厚生年金や健康保険)への加入用件が
「2ヶ月を超える雇用が見込まれる」場合であることをすり抜けるため、
採用時に2ヶ月と4ヶ月の雇用契約書に分けて調印させて
社会保険事務所を欺き、
社会保険への加入を免れた。
そして、
沖縄出身の彼らになぜか、
解雇する際、
ポルトガル語で書かれた「退職届」にサインさせ、
自己都合退職扱いとしているのである。

サンワスタッフ側はこの「退職届」を根拠に、
「解雇などしていない。
 彼らは自発的に辞めたのだ」などと称している。
だが、
ポルトガル語を読めない彼らが、
ポルトガル語で書かれた退職届に
どうして「自発的」に署名することがあるのか。
彼らがポルトガル語で書かれた退職届にサインさせられている事実は、
違法な退職強要が行なわれたという事実を
逆に浮き彫りにするものでしかない。

管理職ユニオン東海は、
わが名古屋ふれあいユニオンと同じく、
コミュニティユニオン東海ネットワークに加盟する
私たちの仲間である。
サンワスタッフ=中央発條による沖縄派遣難民使い捨て糾弾!
大衆的裁判闘争によって私たちは、
彼らのやり口の非道性を満天下に明らかにするだろう!
當銘直次郎執行委員を先頭に闘う
管理職ユニオン東海・サンワスタッフ争議への
圧倒的な支援・注目を訴えます!


管理職ユニオン東海・サンワスタッフ争議対策部(平良博幸書記長)
  愛知県名古屋市中区栄5丁目3-6 エルマノス武平町ビル9階A  
    052-249-6669
     カンパ送り先 ゆうちょ銀行 12190-7-4087991
      口座名義 管理職ユニオン・東海
       「サンワカンパ」と明記して下さい。


《関連記事》
サンワグループ企業で解雇撤回勝ち取る!
サンワスタッフ争議、勝利和解!


コミュニティユニオン東海ネットワーク(略称:東海ネット)
東海四県の個人加盟制労働組合の情報交換・経験交流団体。
全国組織・コミュニティユニオン全国ネットワークの東海組織の役割を
事実上 担っている。
参加団体は、
三重:ユニオンみえ連合全国ユニオン
岐阜:岐阜一般労働組合(連合:自治労全国一般
静岡:静岡ふれあいユニオン
愛知:名古屋ふれあいユニオン・
    管理職ユニオン東海(全労協)・
    ゼネラルユニオン東海支部(全労協)・
    女性ユニオン名古屋
労働争議の相互支援や経験交換・集会の共催などに取り組む。
事務局:〒460‐0024
    愛知県名古屋市中区正木4-8-8 メゾン金山711号室
    (名古屋ふれあいユニオン内)
電話番号:052‐679‐3079
ファックス:052‐679‐3080
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by imadegawatuusin | 2008-02-20 19:40 | 労働運動

――3年前の七夕、ハルヒに「誘いの手」が差し出された夜――

ハルヒに訪れる7月7日の憂鬱は、
届かないかもしれない者への憧憬と言うところに
あるのかもしれません。(「(アニメ感想) 涼宮ハルヒの憂鬱 第8話 『笹の葉ラプソディ』」より)


■キョンにも「秘密」のハルヒの思い出
3年前の七夕の夜、
ハルヒは「ジョン・スミス」と名乗る少年を使い、
東中学の校庭に
まるで「出来そこないのナスカの地上絵」のような(谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』18ページ)
模様群を描かせた(谷川流『涼宮ハルヒの退屈』106~108ページ)。
これは織姫・彦星に向けられた、
「私は、ここにいる」という
メッセージであったらしい(前掲書109、126ページ)。
世に言う「校庭落書き事件」である(谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』17ページ)。

ハルヒはこの一件を『自分がやった』と認めたものの、
校長室に呼び出され、教師総掛かりで問いつめられても
それ以上のことは
頑として話そうとはしなかった(谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』18~19ページ)。

「ジョン・スミス」との思い出は、
(本人であるキョンを除けば)
今もハルヒの心の中に仕舞い込まれたまま、
ということになる。

全てにおいて開けっぴろげに見えるハルヒも、
決して自分の全てをSOS団団員たちの前に
さらけ出しているわけではない。

ハルヒは今も七夕の季節になると、
窓の外を眺めては「思い出し憂鬱」にひたる。
まるで、
「いつ宇宙人が舞い降りるかと
 指折り待っているような雰囲気」で(谷川流『涼宮ハルヒの退屈』91、128~129ページ)。

■「異世界人」が登場しない理由
「ただの人間には興味ありません。
 この中に
 宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、
 あたしのところに来なさい」(『涼宮ハルヒの憂鬱』11ページ)。
涼宮ハルヒ初登場の名シーンで
そう呼びかけられた対象のうち、
唯一「異世界人」だけが作品に登場する気配がない。
これはなぜか。

ファンの間でしばしば議論されることではあるのだが、
その答えは結局のところ、
この「笹の葉ラプソディ」の中にあるのではないか。
つまり、
当時中学1年生だった涼宮ハルヒに
大きな影響を与えた「ジョン=スミス」が、
「宇宙人」については「いるんじゃねーの」、
「未来人」については「まあ、いてもおかしくはないな」、
「超能力者」については「配り歩くほどいるだろうよ」と
肯定的な発言をしたのに対し(「笹の葉ラプソディ」『涼宮ハルヒの退屈』107ページ)、
唯一「異世界人」については
「それはまだ知り合ってないな」と
否定的な発言をした(全掲書108ページ)。
『だから』、
異世界人はこれまでも、
そしてこれからも登場しない。
そういうことなのではないか。


《本文校訂》
谷川流『涼宮ハルヒの退屈』74ページ

誤:今週は期末テストを間際に控えた
  七月の一週目で、

正:今週は期末テストを間際に控えた
  七月の二週目で、

本作は七月七日を舞台としており、
その日が平日である以上(谷川流『涼宮ハルヒの退屈』75ページ)、
七月七日を含む「今週」が「七月の一週目」であることは
ありえない。
七月一日が仮に月曜日であったとしても、
七月七日は日曜日になってしまう。
もっともキョンは
「俺は月曜は一って感じがする」と
発言しており(谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』28ページ)、
週の始まりを日曜日に置いている可能性もあるが、
たとえ七月一日が日曜日でも、
七日は土曜日となってしまい平日にはならない。
「第一回不思議探索パトロール」が
「土曜日」に決行されたことからも明らかなとおり、
キョンたちの通う県立北高では
土曜日も「休みの日」となっており、
平日ではありえない(谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』138ページ)。
七月七日が平日であるためには、
必ず一度(七月一日以外で)日曜日をまたいだ
第二週目でなければならない。
漫画版の
短編・「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」(『涼宮ハルヒの憂鬱』3巻、ツガノガク)は
「七夕前の七月の日曜日」を舞台としており(『涼宮ハルヒの憂鬱』3巻、69~77ページ)、
やはりこの「笹の葉ラプソディ」は
七月第二週の出来事であると考えたい。


谷川流『涼宮ハルヒの退屈』102ページ

誤:徐々に人通りのまばらなる道
  十分ほど歩いたか。

正:徐々に人通りのまばらになる道
  十分ほど歩いたか。

「まばらなる道」という言葉遣いも
古典的な日本語表現としては存在するが、
それでは「徐々に」という言葉が
後の部分につながらない。
(「徐々に人通りのまばらなる道」?)。
前後の文脈を見ると、
歩き始めたころは
「人の目をはばかるようにして」
歩かなければならなかったが、
目的地の東中学校付近には、
校門をよじ登り「不法侵入」をくわだてるハルヒを
とがめる者はいなかったことがわかる(谷川流『涼宮ハルヒの退屈』102~103ページ)。
つまりこの道は、
「(歩いてゆくと)徐々に人通りが
 まばらになっていった」ことになる。
よってここ部分は「に」という助詞が抜け落ちていると考え、
「徐々に人通りのまばらなる道」
と読むのが正解だろう。


《戻る》
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谷川流「涼宮ハルヒの退屈」について
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by imadegawatuusin | 2008-02-19 05:01 | 文芸

――「任務だから」ここにいるの?――

人の感情は、積み重なる
流れの中にしか蓄積しない(ツガノガク『涼宮ハルヒの憂鬱』3巻103ページ)

未来は日常から
作られる(前掲書96ページ)


■全員が「演技」……その茶番の奥に
季節は梅雨から夏へと移り変わるころ、
主人公・キョンは「未来人」・朝比奈みくるから、
「今度の日曜日…
 一緒に買い物に
 行きませんか?」と誘いを受けた(ツガノガク『涼宮ハルヒの憂鬱』3巻69ページ)。
ハルヒは7月7日に向けて、
「皆 七夕の予定は空けておいてね
 我々SOS団でも
 大々的に催しを
 するから」と大張り切りだが、
一方で降り続く雨を見て、
「問題は
 それまでの
 週末よね」
「今度の日曜日には
 また市内探索を
 予定していたのに…
 こう雨続きじゃ
 中止もやむなし
 かしら…」とぼやきを入れる。

それを聞いて、
みくるは「うふ」と微笑んだ(前掲書71ページ)。
「未来人」たる彼女にとっては、
「日曜日の雨」は規定事項であるのだろうか。

日曜日。
みくるはキョンを洋服屋に誘う。
「すごく可愛い
 服があって」とは みくるの言だ(前掲書78ページ)。

服を買い終え、
二人は喫茶店「BOUTOR」でお茶をする。
そんな二人を「奇遇」にも通りがかりに発見したのが、
SOS団の「超能力者」・古泉一樹だったのだ。

朝比奈みくるは必至になって弁解する。
「ちっ 違います!
 道で会った
 だけなんです!
 でででデート
 とかじゃ
 ないんですから!」と。

古泉一樹は、
「それなら
 いいんですが…
 とはいえ
 注意して
 くださいね」
「涼宮さんに
 見られでもしたら
 大変でしたよ」と言った後、
「あくまで僕の
 独り言として
 聞いてもらいたい
 んですが…
 今 街中に
 何組かカップル
 見えますよね」と語り始める。
そしてこう言うのだ。
「あれは一種の『ポーズ』
 なのかもしれない
 彼らは恋人でも
 何でもないのかも…と」。

さらに彼はこう続ける。
「朝比奈さん
 ですが…
 彼女とて例外
 ではありません」
「彼女の愛らしい
 言動・キャラクター
 それが何らかの
 目的あってのポーズでは
 ないという保証は
 無いんです」(前掲書84~89ページ)。

ある意味でSOS団のメンバーは、
ハルヒを除き全員が一種の演技の中で生きている。
長門有希・朝比奈みくる・古泉一樹の主要任務は
「涼宮ハルヒの監視・観察」であり(谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』119・148・164~165ページ)、
県立北高の高校生・SOS団団員としての彼らは、
あくまで世を忍ぶ仮の姿にすぎない。

主人公・キョンとて、
「宇宙人」・「未来人」・「超能力者」が
まさに目の前にいるということを知りながら、
「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して
 一緒に遊ぶこと」を目的とするSOS団の団員として(谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』105ページ)、
日々
「宇宙人とか未来人とか超能力者本人や、
 彼らが地上に残した痕跡などを探」そうという
「不思議探索パトロール」に従事して
市内探索を繰り返すという
ものすごい茶番を続けている(谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』142・299ページ)。

こうなると、
一体何を信じていいのか
だんだん分からなくなってくる。
特に、
常にキョンの一人称で、
キョンの視点のみから描かれる本編においては
ことさらその傾向が強くなる。

実際、
本作終盤で、
朝比奈みくるはキョンに対して
涙を流しながらうち明けるのである。
「ごめんなさい…
 わたし 嘘を
 ついてたんです
 やっぱり
 隠してられない…」(ツガノガク『涼宮ハルヒの憂鬱』3巻94ページ)。

■本当に「全ては『不透明』なのか」
聞けば、
今日のキョンとの買い物は、
「この時代に
 即した行動をとる」ための
「同化訓練」。
「今日は半分
 休日ですが
 もう半分に
 指令を織り込んでいる」と
朝比奈みくるはうち明けた(前掲書95~96ページ)。

ここまでなら、
これは、
「全ては『不透明』」と言う古泉の言葉を
裏書きするだけのエピソードとなるだろう。
だが本作では、
最後の場面でキョンの視点を離れ、
みくるの任務であった同化訓練に関する実施要項から
一文が挟み込まれる形で
物語は終焉を迎える。
その、
「同化訓練追記」と題された一文には
次のようにある。

これはある種の
訓練であり義務である
――が、あくまで
甲(筆者注:=時間遡航者)本人の意思に基づいて
行われるのが望ましい(前掲書101ページ)


朝比奈みくるの任務の一環として行なわれた
「同化訓練」。
しかしそれは、
決して彼女の意志に反して実施されたものではなく、
むしろ彼女の希望に基づいたものであったらしいことが
示唆される。
そしてそれは、
単にこの「同化訓練」の一件だけではなく、
彼女にとってのSOS団団員としての生活全体についても
言えることではないのだろうか。

彼女が毎日、
放課後SOS団の部室に向かい、
律儀にメイドの衣装に着替え、
ハルヒやキョンや古泉・長門と
わいわい騒ぎあっているのは、
もちろん任務の一環である。
しかし、今回の「同化訓練」についての実施要項を見ても、
未来においては、
任務といえども
「本人の意思に基づいて
 行われるのが望ましい」と、
自発性に重きが置かれているらしいことがうかがえる。

みくるもまた、
あくまで任務の一環とはいえ、
そんなSOS団生活を
それなりに楽しんでいたりするのではないか。
少なくとも、
「そうであったらいいな」とは、
「涼宮ハルヒシリーズ」ファンなら
誰もが思うところであろう。

《戻る》
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by imadegawatuusin | 2008-02-18 03:06 | 漫画・アニメ

――古泉が連れて来ようとした「友人」とは――

■時系列・発表順では第1巻の直後作
退屈すると、
とかく人はロクなことを考えない。
それを防ぐためには、
常に目の前に課題を設定し、
それを着実にこなし続けてゆくことが大切だ、ということを
教えてくれる一作……なのかどうかは知らないが、
ともかくこの作品以降、
古泉や長門は
「涼宮さんをあまりヒマにさせておいてはダメ」(『涼宮ハルヒの退屈』66ページ)
との教訓から、
彼女の「退屈」を回避するべく
絶えずさまざまな騒動を
(場合によっては自作自演してまで)わざわざ呼び込み、
何も知らないキョンを含むSOS団全体を
大小さまざまな いざこざに巻き込んでゆくことになる。

ところで、
野球チームの数合わせのために
古泉が当初連れてこようとした、
「我々に興味を抱いているある人物」(前掲書18ページ)とは
一体 誰であったのだろう。
「どうせけったいな野郎に決まっている」
と考えたキョンによって却下されてしまい(前掲書19ページ)、
結局どんな人物なのか分からず仕舞いに終わったが、
案外、
結局 朝比奈みくるが連れて来ることになった
鶴屋さんであったのでは……と
思えなくもない。
気になるところだ。

シリーズ第3巻『涼宮ハルヒの退屈』の表題作だが、
時系列でいうと第1巻『涼宮ハルヒの憂鬱』の直後に該当する。
短編のため、
単行本への収録が遅れたが、
実際に執筆されて雑誌に掲載されたのも、
第2巻『涼宮ハルヒの溜息』より先である。


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by imadegawatuusin | 2008-02-17 05:31 | 文芸

――ハルヒはなぜ、キョンを選んだのか――

■カギは、あの冒頭のモノローグ
「ただの人間には興味ありません。
 この中に
 宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、
 あたしのところに来なさい。以上」(本書11ページ)

これはあまりにも有名な、
本作ヒロイン・涼宮ハルヒ初登場時のセリフである。
そして彼女は、
その言葉を具現してゆくかのように、
自らの結成した学校当局非公認集団・
「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」(略称:SOS団)に、
「宇宙人」・長門有希、「未来人」・朝比奈みくる、「超能力者」・古泉一樹を
引きずり込んでゆく。
そして、
彼らと同様にヒロイン・涼宮ハルヒによって
このSOS団に引きずり込まれたのが、
本作主人公・キョンなのであった。

「超能力者」・古泉一樹は
キョンに対してこう言っている。
「あなたについてはいろいろ調べさせてもらいました。
 保障します、
 あなたは特別何の力も持たない
 普通の人間です」(本書169ページ)

キョンは、
ハルヒが「興味」を持たないはずの
「ただの人間」だと言うのである。

キョンは自問する。
「なぜ、俺なのだ?

 宇宙人未来人エスパー少年が
 ハルヒの周りをうようよするのは
 古泉いわく
 ハルヒがそう望んだからだと言う。

 では、俺は?

 何だって俺は
 こんなけったいなことに巻き込まれているんだ?
 百パーセント純正の普通人だぞ。
 突然ヘンテコな前世に目覚めでもしない限り
 履歴書に書けそうもない謎の力も
 なんにもない
 普遍的な男子高校生だぞ。

 これは誰の書いたシナリオなんだ?

 ……お前か? ハルヒ」(本書250ページ)


「なぜ、俺なのだ?」との問いに対し、
理由はいくつか挙げられよう。

一つは、
後に単行本第4巻『涼宮ハルヒの消失』で明らかになった通り、
実はキョンが、
中学生時代のハルヒと出会い、
彼女のその後に大きな影響を与えた、
「世界を大いに盛り上げるためのジョン・スミス」であるという
点である(谷川流『涼宮ハルヒの消失』181ページ)。
実際 涼宮ハルヒは、
すでに1巻本書の時点でキョンに対し、
「あたし、あんたとどこかで会ったことがある?
 ずっと前に」と問いかけており(本書29ページ)、
「ジョン・スミス」のエピソードに向けての伏線は
すでに張られていたことになる。

だが。
少なくとも表面上は、
ハルヒはこの事実に気付いていない。
SOS団団員として、
誰よりも先にキョンを引き入れた理由としては やや弱い。

涼宮ハルヒがキョンに対して恋愛感情を抱いていることを
理由に挙げる向きもあろう。
しかし、
ハルヒがキョンに
そうした感情の片鱗ともいうべきものを見せ始めるのは、
SOS団 結団後の「第一回不思議探索パトロール」の際。
市内探索のためにグループを2つに分けることになり、
「ハルヒ・長門・古泉」組と「キョン・みくる」組に分かれたときの
以下の記述が最初である。

「ふむ、この組み合わせね……」

なぜかハルヒは
俺と朝比奈さんを交互に眺めて鼻を鳴らし、

「キョン、解ってる?
 これデートじゃないのよ。
 真面目にやるのよ。
 いい?」

……マジ、デートじゃないのよ、
遊んでたら後で殺すわよ、
と言い残して
ハルヒは古泉と長門を従えて立ち去った。(本書141~142ページ)


そもそも、
案外 嫉妬深い涼宮ハルヒが(本書212、259~260、267~276ページ)、
朝比奈みくるを部室に連れてきた際、
彼女の胸をもみまくり、
キョンにまで「あんたも触ってみる?」と持ちかけたり(本書61~62ページ)、
メイド姿にさせた際には
「あんたも一緒に
 みくるちゃんにエッチぃことしようよ」と
誘ってみたりしていることからも(本書132ページ)、
涼宮ハルヒがSOS団結団を思い立った当初から
キョンに恋愛感情を抱いていたとは考えにくい。

ここで注目すべき点は、
本書第7章で涼宮ハルヒが
「現実世界に愛想を尽かして
 新しい世界を創造することに決めた」ときのことである(本書274ページ)。
その際、
「こちら(筆者注:=元)の世界から
 唯一、涼宮さんが共にいたいと思った」のがキョンであった(本書275ページ)。
キョンは、
「俺は戻りたい」、
「連中ともう一度会いたい」、
「元の世界のあいつらに、
 俺は会いたいんだよ」と主張する(本書283~284ページ)。
それに対して、
ハルヒが「怒りと悲哀が混じった微妙な表情」で言ったのが、
次のセリフだ。

「あんたは、
 つまんない世界にうんざりしてたんじゃないの?
 特別なことが何も起こらない、普通の世界なんて、
 もっと面白いことが起きて欲しいと
 思わなかったの?」(本書284ページ)。


言うまでもなく、
そこまでの作品展開の中で、
キョンがハルヒに対してそのような主張をした事実は
全くない。
確かにキョンは『心の中で』
こんな思いを抱いては いた。

俺だってハルヒの意見に否やはない。
転校生の美少女が
実は宇宙人と地球人のハーフであったりして欲しい。
今、近くの席から俺とハルヒをチラチラうかがっている
アホの谷口の正体が
未来から来た調査員かなにかであったりしたら
とても面白いと思うし、
やはりこっちを向いてなぜか微笑んでいる
朝倉涼子が超能力者だったら
学園生活はもうちょっと楽しくなると思う。(本書35ページ)。


だが、少なくともキョンは
ハルヒの前ではそうした思いを押し隠し、
ことさらに「常識人」として振舞おうとする。
ある意味では、
「言動こそエキセントリックですが、
 その実、まともな思考形態を持つ
 一般的な人種」である涼宮ハルヒと
好一対の存在と言えなくもない。

ともあれ、キョンは涼宮ハルヒに対して、
「つまんない世界」、
「特別なことが何も起こらない、普通の世界」への不満を
はっきりした形で明言したことは一度もなかった。
にもかかわらず涼宮ハルヒが、
キョンは「つまんない世界にうんざりして」いる、
「もっと面白いことが起きて欲しいと思」っていると、
それを当然の前提とした上で、
キョンを「新しい世界」へと引き込んだのだという点を
見逃してはならない。
ハルヒにとって
(たとえ口には出さずとも)、
「心の底から宇宙人や未来人や幽霊や妖怪や超能力や
 悪の組織が目の前にふらりと出てきてくれることを
 望んでいた」キョンは(本書5~6ページ)、
「特別なことが何も起こらない」、
「つまんない世界」の中でただ一人、
同じ思いを共有できると確信できる「同志」であったのだ。
(だからこそ、
 その確信が「裏切られた」際のハルヒのショックは
 大きかったわけだが)。

本作冒頭の
「サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことは
 たわいもない世間話にもならないくらいの
 どうでもいいような話だが……」という
あまりにも有名なプロローグは、
別に言葉の面白さだけを目的に
伊達や酔狂で掲載されているわけではない。
このプロローグの部分こそ、
キョンがハルヒと心の底で共有する「非日常へのあこがれ」をつづる、
いわば一見正反対に見える二人をつなぐ役割を果たす
非常に重要な部分だったのだ〔注1〕。

〔注1〕本作 随一の見せ場の一つに、
ハルヒがキョンに語って聞かせた小学六年生のときの、
「野球場での思い出」がある。
見渡す限りの人だかりに圧倒されたハルヒは、
父親にその場の人数を尋ねるのだが、
それが、この日本全体の人間の
ほんの一握りでしかなかったことに気付き、
またもや愕然とさせられる。
この体験をハルヒは、
「まるで弁論大会の出場者みたいに
 ……一気にまくしたて」たのであるが、
その後、
「喋り終わると
 喋ったことを後悔するような表情になって
 天を仰いだ」と記されている。
とすればこの体験は、
あの雄弁なハルヒをして、
人前ではめったに吐露することのない、
他人に伝えるには思い切りを必要とする
思い出だったということになる(本書225~226ページ)。
これはその後のハルヒの言動を決定付ける
非常に重要な原体験となるのであるが、
こうした思いを打ち明けた相手が
他ならぬキョンであったことに
注意を払うべきだろう。
くしくもキョンもこのハルヒの「告白」を聞く以前、
「第一回不思議探索パトロール」の際、
集合場所である北口駅のごった返しを眺めながら、
「どこから湧いたのかと思うほどの人混みには、
 いつもこの大量の人間一人一人に
 それぞれ人生ってのがあるんだよなあと
 考えさせられる」との独白を行なっている(本書138ページ)。



《進む》
谷川流「涼宮ハルヒの退屈」について
ツガノガク「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」解説
谷川流「笹の葉ラプソディ」について
谷川流「ミステリックサイン」について

『涼宮ハルヒ』シリーズと『なぞの転校生』

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by imadegawatuusin | 2008-02-16 22:39 | 文芸

昨年 、
愛知県の個人加盟制労働組合・名古屋ふれあいユニオンに結集し、
法律で定められた残業代を取り戻した中国人「技能実習生」女性・T・Rさんが、
「最後までやり遂げよう」と題する報告文を
名古屋ふれあいユニオンに寄せてくれた。
本文は
名古屋ふれあいユニオン機関紙
『NFU ふれあい通信』(98号)に掲載されたものであるが、
いわゆる「研修生・実習生」制度の実態を知る上で
非常に興味深い文章であるため、
関係者の実名の書かれている部分をイニシャルに変えた上で
ここに転載する。


最後までやり遂げよう
――研修生・実習生問題の解決に力を貸してください――
技能実習生・T・R

何年か前のある日、
同僚が突然日本へ出稼ぎに行くといって、仕事をやめました。
日本への出稼ぎ、初耳でした。
中国のWTO加入によって、
海外へ出稼ぎに出るのもブームになりました。
よく友達が出稼ぎで日本に行っていることを耳にしました。
その時から、私も日本に興味を持ち始め、
いろいろと考えた結果、日本へ行く事を決めました。

最初はまだ専門学校を卒業して二年しか経っていないし、
家庭の経済状況もいいほうではありませんでした。
しかも、
日本へ出稼ぎに行くには6万元(約90万円)ほどの
仲介手数料が必要でした。
親を説得し、
親戚の援助をもらって、
やっと日本上陸が可能になりました。
私は、
親の心配と理解、支持と期待を背負って
日本での生活を始めました。

日本に来たばかりの時は、
言葉も文化も違っていて、
それに慣れるために一生懸命勉強しました。
初めは、
こんな閉鎖した空間で生活していて、
中国の情報が途絶えるのではないかと心配しましたが、
幸い前の中国研修生が注文した中国雑誌があって、
日本や中国で起きた出来事を知ることができました。
時間が経つにつれて、
研修生の給料問題についても認識するようになり、
自分のもらうべき給料を取り戻そうと思いました。
研修生にとって、
これはどんなに難しいことでしょう!
多くの研修生が自分の力で解決しようとして、
会社の人や会社の協同組合と交渉を試みましたが、
結果は言うまでもありません。
日本の法律を分からない上に、
会社の協同組合は
決して研修生の味方にはなってくれようとしないからです。

今年の(2007年)上半期に、偶然
東京と大阪の労働局が無料ホットラインを開催することを
知りました。
幸運な事に、
そこでH・Nさん(注1)を知ることができました。
その時、
彼女から連絡先を教えてもらい、
その後何人かの友人も
研修生の給料問題について問い合わせました。
この場を借りて、
H・Nさんに、
「いつもご面倒をおかけして、
 申し訳ございません。」とお礼を言いたいです。

私のビザは2008年1月15日までで、
14日までに帰らなくてはなりません。
それまでには、
なんとかことを解決しないといけないと思い、
言葉の通じる中国人弁護士に訪ねました。
中国人弁護士に、
帰国する直前に労働基準監督署へ行くと、
簡単に解決できるとのアドバイスをもらいましたが、
私はそうしたくなかったです。

私が再びH・Nさんに連絡を取ったのは
11月初旬のことでした。
ビザの期限切れまで後3ヶ月しか残っていなかった時期です。
最初は、
H・Nさんが日本人だから、
言葉の問題でコミュニケーションがうまく取れないかと
心配しました。
しかし、驚くことに、
H・Nさんの中国語は普通の中国人と変わらないほどでした。
言葉の壁がなく、
一時間以上も会話を続けました。
いろいろとアトバイスをもらった上、
名古屋ふれあいユニオンという労働組合も
紹介してもらいました。
実は、
新聞で労働組合が研修生の給料問題を解決した記事を
見たことはありますが、
どう連絡を取ればいいか分からなく、
困っていたところです。
本当に嬉しかったです。
しかし、
私は日本語が下手で、
H・Nさんにお願いをして、
名古屋ふれあいユニオンの方と連絡を取ってもらいました。
それで、
11月20日に
名古屋ふれあいユニオンの浅野さんから
電話をもらいましたが、
通訳がいなくて言葉が通じないため、
12月まで延びました。

12月2日、
やっと通訳が見つかったとの連絡があり、
9日には通訳(H・Kさん)の協力で
浅野さんに私の今の状況を話すことができました。
翌週、
協同組合の人を通じて会社と話し合って解決しようとしましたが、
納得できるような返事がもらえなかったため、
正式に名古屋ふれあいユニオンに依頼をしました。
名古屋ふれあいユニオンの介入があってか、
事件は驚くほど順調に運び、
本当に予想外でした。
結果は、
私達の勝ちでした!
浅野さんやH・Kさんのおかげで、
日本での研修生生活にけりをつけることができました。

H・Nさんを初め、
名古屋ふれあいユニオンの方々、
そしてH・Kさんに心から感謝します。
今回の事で、
私は自分に自信を持てるようになりました。
また、
諦めずに最後までやり遂げることの重要性をも痛感しました。

最後に、
労働組合の方々が、
研修生問題の解決に
もっともっと力を貸していただければと思います。
もう一度、
名古屋ふれあいユニオンの皆さんとH・Kさんにお礼申し上げます。
以上、
簡単に感想をまとめましたが、
このことは信頼の問題など、
数多くの国家間問題を孕んでいます。
                       T・R
2007年12月30日

(注1)H・Nさん……RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)事務局長


職場の理不尽を許さない、強く優しい地域労組の建設を!
愛知県下の未組織労働者は名古屋ふれあいユニオンに結集しよう!



労働組合名古屋ふれあいユニオン
雇用形態や国籍に関わりなく、
愛知県下で働くすべての労働者が一人から加盟できる
地域労働組合(コミュニティユニオン)。
コミュニティユニオン全国ネットワーク
コミュニティユニオン東海ネットワークにも参加。
昨年3月に開かれた第9回定期大会では、
連合産別・全国ユニオンへの加盟について討議するとする活動方針を採択。
日ごろから組合員の学習会や交流会・相談会などを
積極的に企画しながら活動している。
現在、組合員数約200名。
組合員は組合費月額1500円。
賛助会員(サポーター)は年会費5000円。
住所:〒460‐0024
    愛知県名古屋市中区正木4-8-8 メゾン金山711号室
    (JR・地下鉄・名鉄金山駅下車 名古屋ボストン美術館の向かい)
電話番号:052‐679‐3079(午前10時~午後6時)月~金
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by imadegawatuusin | 2008-02-08 09:15 | 労働運動