「ほっ」と。キャンペーン

――直接雇用の確認求める――

■会社側、「調停中に提訴」と事実無根のコメント
トヨタ自動車グループのベアリングメーカー・
ジェイテクトの子会社である
光洋熱処理(本社:大阪府八尾市、代表取締役:前山義孝)の
三重県・亀山工場が、
「労働者派遣」を装って
違法に労働者の供給を受けていたとして
三重労働局から文書指導が行なわれている件で、
派遣労働者として働いていた對馬純さん(38歳)ら4名が
直接雇用の確認などを求め11月16日、
津地裁に提訴した。

このニュースは朝日新聞毎日新聞
読売新聞・中日新聞の各三重県版や
地方紙・伊勢新聞で報道された。
ところが、
その中で光洋熱処理の管理部(部長・井原順一氏)が
事実無根のコメントをしているとして、
4人の加盟する三重県の個人加盟制労働組合
ユニオンみえ「連合」構成単産・全国ユニオン加盟)は
11月18日、
光洋熱処理に抗議文をFAXのうえ郵送した。

光洋熱処理管理部は読売新聞の取材に対し、
「原告は県労働委員会に調停を申し立てており、
 現段階での提訴に困惑している」と
コメントしている(読売新聞三重版11月17日)。
しかし、
「このようなコメントを見て
 『困惑している』のはこちらの方だ」と
ユニオンみえは反発している。

對馬さんら原告が
三重県労働委員会に「調停を申し立て」た事実は
一切ない。
また労働組合としても、
ユニオンみえが「県労働委員会に調停を申し立て」た事実は
全くない。

ユニオンみえは、
光洋熱処理を相手として三重県労働委員会に
不当労働行為救済申立を行なっているが、
それは「調停」とは全く異なるものである。

不当労働行為救済申立は、
使用者が団交拒絶という違法行為を行なっている現状を
行政権限で糾すよう申し立てるものだ。
争議を平和的に解決するため
労使双方の申請に基づき
労働委員会の仲介を受ける「調停」とは
全く性格が異なっている。
ユニオンみえが三重県労働委員会に求めているのは
争議の「調停」などでなく、
法に基づき団体交渉応諾を
光洋熱処理に命令してもらうことである。

これらを混同した光洋熱処理のコメントは
毎日新聞にも見受けられる。
光洋熱処理井原順一管理部長は、
「原告とは県労働委員会で調停中だったので、
 提訴には驚いている」などと
コメントしているのだ(毎日新聞三重版11月17日)。
先に述べたとおり、
原告4人が光洋熱処理と
労働委員会で「調停中」であった事実はない。
またユニオンみえも、
不当労働行為の救済を
三重県労働委員会に申し立てた事実はあっても、
光洋熱処理との争議の「調停」を
労働委員会に申し立てた事実もない。

また確かに、
不当労働行為救済申立においても
労働委員会が仲介に乗り出し
円満な解決のために間を取り持つ場面もあるが、
今回の事件に限ってはそうした事実も全くない。
ユニオンみえの不当労働行為救済申立に対し
光洋熱処理側は
「本件申し立てを棄却するとの命令を求める。
 /……不当労働行為を構成する
 具体的事実に対する詳細な認否及び
 被申立人の主張は、
 追って準備書面にて行う」という
極めて短い「答弁書」を提出しただけの段階で、
労働委員会による「調停」など
行なわれようもない状況だ。
ユニオンみえは、
「光洋熱処理が
 意図的に嘘をついたようにしか思えない」と
主張している。

ユニオンみえは、
光洋熱処理が団体交渉に応じないので、
三重県労働委員会に
不当労働行為救済の申し立てを行なったのだ。
それとは別に、
對馬さんら4人は解雇で生活も逼迫しており、
会社が直接雇用を認めないので、
津地方裁判所に地位確認の訴訟を
行なわざるをえなかった。
労働組合が労働委員会に
不当労働行為の救済を申し立てて
解決できる問題(団体交渉開催)と、
個々の労働者が
裁判所に提訴して解決できる問題
(直接雇用の確認・解雇撤回)とは
全く別個の問題である。
労組が不当労働行為救済申立を行なっているから
労働者は自己の権利を主張して
裁判を起こしてはならないなどという道理は
どこにもない。
對馬さんら4名の津地裁への提訴は、
違法に労働者供給された末にクビを切られ、
労組を通じての団体交渉をも拒絶されている労働者の
やむにやまれぬ行為として
極めて当然のものなのだ。

にもかかわらず光洋熱処理は、
對馬さんら4人が
県労働委員会という第三者の調停を受けている最中に
不誠実にも一方的に提訴に踏み切ったかのような
事実無根のコメントを報道各社に寄せ、
對馬さんら4人の名誉を広く傷つけたのである。
「一体何の恨みがあって
 このような卑劣な嘘をつくのか」と
ユニオンみえは強く抗議している。

労働組合との話し合いを通じた解決を拒絶したのは
光洋熱処理の側なのだ。
その光洋熱処理が、
労働者が司法を通じての事態の前進をめざして
提訴に踏み切ったことを
「困惑している」だの「驚いている」だのと
非難がましく言うのは筋違いも甚だしい。

そもそも光洋熱処理は、
労働者に対してこれだけの仕打ちをしておきながら、
労働者から訴えられるということは
全く考えもしなかったのか。
本来 光洋熱処理は、
職業安定法違反の労働者供給という、
訴えられて当然の悪いことをしでかしたのであるから、
いつ訴えられてもおかしくないと
ビクビクしているのが普通である。
ところが何と光洋熱処理は
對馬さんら4名に訴えられて
「困惑している」・「驚いている」というのである。
「どこまで労働者を見くびれば気が済むのだろうかと、
 当労組はその事実自体、
 『困惑して』、『驚いて』受け止めざるをえません。
 御社が、
 労組との話し合いを通じて解決に尽力しない限り、
 遅かれ早かれこうなることは
 最初から目に見えていたではありませんか」と
ユニオンみえは抗議文の中で厳しく指弾している。

ユニオンみえは、
「對馬さんら4名が
 調停申し立て中に一方的に提訴に及んだ」という
誤ったイメージをマスコミを通じて流布させたとして、
光洋熱処理管理部部長・井原順一氏の
謝罪と釈明とを要求し、
11月20日午後6時までに
文書またはFAXで回答するよう光洋熱処理に求めた。
しかし11月27日現在、
光洋熱処理からは一切の回答が来ていない。
(インターネット新聞「JANJAN」
 11月28日より加筆転載)


【関連記事】
光洋熱処理、「派遣」装い労働者受け入れ
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by imadegawatuusin | 2009-11-29 19:23 | 労働運動

トヨタグループのベアリングメーカー・
ジェイテクトの三重県・亀山工場で、
期間従業員の雇用継続や
「雇い止め」の撤回などを求め11月27日、
労働組合がストライキを決行した。

ストライキに突入したのは
三重県の個人加盟制労働組合
ユニオンみえ「連合」構成産別・全国ユニオン加盟)。
現在、
亀山工場で在職中の期間従業員1名と
「雇い止め」された期間従業員4名の加盟を
公表している。

ユニオンみえは、
「組合が求めてきた一切の要求を
 ジェイテクトはことごとく拒否し続けている。
 仲間の雇用を守り抜き要求を実現するため
 ストライキに突入した」としており、
今後も毎日
午前0時から就業開始から10分後までの
時限ストライキを継続する方針だ。
ストライキ中(争議中)は
新たな派遣労働者の受け入れや
公共職業安定所を通じた労働者の雇い入れが
法律で禁止されており、
組合側はジェイテクト亀山工場従業員らに、
「万一、
 新しい派遣社員が職場に入ってきたり、
 職安を通じて新しい従業員がやってきた場合は
 是非とも組合にご一報を」と呼びかけている。

以下はストライキ突入にあたっての
ユニオンみえのビラ。


要求貫徹!
ストライキ決行のお知らせ

ジェイテクトは
労働組合の要求する
村山組合員の雇用継続を拒否し続けています。
このこと及び
期間従業員として働く村山組合員の
賃上げ(09春闘賃上げ)・賃金是正や、
これまでジェイテクトに要求してきた
4人の組合員の「雇い止め」の撤回、
差別賃金の支払い、
さらに未払い賃金の支払いなど、
組合が求めてきた一切の要求を
ジェイテクトはことごとく拒否し続けています。
仲間の雇用を守り抜き
要求を実現させてゆくために、
組合は2009年11月27日午前0時より
問題解決の日までの間、
無期限の時限ストライキ
(毎日午前0時より始業後10分までの間)に
突入しました。

当面、
村山組合員1名についての
ストライキ突入ですが、
追加突入をはかっていく方針です。
従業員の皆さんのご理解とご支援を
お願いします。

また、
ストライキは亀山工場に限りません。
本社および各工場及び関連施設内にて、
あらゆる合法的方法を駆使して実施します。
特に本社は
ミッドランドスクエアの中にあることから、
様々なストライキ・争議行動を考えています。
名古屋駅前からも良く聞こえるため、
多くの市民の注目が
集まることが期待できます。
皆さんもミッドランドスクエアにご一緒しませんか。

問題解決の日まで、
毎日、午前0時より始業から10分後までの
ストライキです。
ストライキ中(争議中)は
新たな派遣労働者の受け入れや
公共職業安定所を通じた
労働者の雇い入れが
法律で禁止されています。
万一、
新しい派遣社員が職場に入ってきたり、
職安を通じて新しい従業員がやってきた場合は
是非とも組合にご一報下さい。

この間、
ジェイテクトが様々な違法行為をしていることが
組合の追及で発覚しました。
ジェイテクトがこれまで、
期間従業員らの残業や
休日・深夜労働の際の割増賃金が
適正に支払われていなかったことが判明し、
会社は労働基準監督署から
是正指導を受けました。
ジェイテクトは9月18日付で
「割増賃金計算誤りと差額のお支払いについて」
と題する文書を期間従業員らに送り、
「ここに、お詫び申し上げますとともに、
 今後の対応につきまして
 下記にてご連絡いたします」と謝罪しています。
にもかかわらずジェイテクトは、
2年以上経過した未払い賃金については
支払わないとしているのです。

トヨタグループの大企業であるジェイテクトが、
未払い賃金の存在を認めながら
堂々と踏み倒そうとしているのですから、
本当にとんでもない話です。
ジェイテクトは組合の要求に従い、
従業員全員に
入社以来全額の未払い賃金を支払うべきです。

ジェイテクトで働くみなさん! 
職場に不正はありませんか? 
理不尽なパワハラや差別はありませんか? 
労働組合は働くあなたの味方です。
ぜひ相談してください。


【参考記事】
トヨタ系「ジェイテクト」で団交拒絶続発
ジェイテクト、団交なお引き延ばし
ジェイテクト、3たび団交引き延ばし
ジェイテクト:団交開催引延ばしで100日経過
ジェイテクト、ついに「団交に応じる」と回答
ジェイテクト、未払い賃金を「期間工」らに支払い
元派遣労働者4人、ジェイテクトを提訴
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by imadegawatuusin | 2009-11-28 23:15

――支援団体、12時から最高裁前行動に全力――

松下PDP偽装請負事件原告・吉岡力さんが今日、
最高裁で自らの口で口頭陳述を行なう。
東京では支援団体が
今日12時から最高裁前で
ヒューマンチェーン行動などを企画しており、
裁判闘争は最大の山場を迎えることになる。

筆者が週刊MDSに依頼され
11月20日号に寄稿した、
原告・吉岡力さんへの連帯のメッセージを
ここに掲載する。


一人の労働者の勇気が
名古屋ふれあいユニオン運営委員長 酒井徹

2008年8月30日、
三重県長島での
「コミュニティ・ユニオン東海ネットワーク」の合宿に、
吉岡力さんが参加されました
これが、
私たち名古屋ふれあいユニオンと
吉岡さんとの出会いです。

お父さんを亡くされた後、
吉岡さんが松下PDPで一生懸命に働いたこと。
松下の正社員にも仕事を教えるようになり
「君のおかげで封着行程はもっている」とまで
言われるようになったこと。
にもかかわらず松下の正社員に
派遣会社の移籍を強要されそうになり、
それを拒絶したことをきっかけに
陰湿な嫌がらせが始まったこと…。

派遣労働の現場において、
単なる字面では
書き尽くすことのできないような理不尽が
大手を振ってまかり通っている実態を
吉岡さんは実に生々しく語ってくれました。

「何もこういった状態で働かされてるのは
 吉岡さん一人じゃないんだけど、
 誰かが声上げなきゃ
 いけないんですけどね」。
嫌がらせについて相談を受けていた
村田浩治弁護士がつぶやいた一言に、
「自分が声上げます」と応えた
吉岡さんの勇気。
この勇気が、
労働者を実際に働かせた就労先の雇用責任を認める
画期的な大阪高裁判決を引き出し、
全国の非正規雇用労働者に大きな希望を与えたことは
みなさんもご存じのとおりです。

わが名古屋ふれあいユニオンも、
トヨタ系アンデンイナテック
そしてホンダ系ムサシ鉄工の3つの
違法派遣・偽装請負訴訟原告たちが、
松下PDP大阪高裁判決に依拠して
闘いを進めています。

たった一人の労働者の勇気が
これほど社会を震撼させた実例を
私は他に知りません。

一人の労働者の勇気が職場を変え、
社会を変える…。
そんな歴史的な瞬間に
私たちは立ち会おうとしています。

私たちも署名集めに奮闘しています。
この「ドラマ」を、
最高裁勝利、職場復帰というハッピーエンドで
締めくくりましょう!
全国の労働者が勝利を期待しています。


【参考記事】
松下PDP偽装請負訴訟、吉岡力さんの講演
松下PDP判決早期確定を! 最高裁に要請
パナソニックPDP事件最高裁判決について
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by imadegawatuusin | 2009-11-27 10:45 | 労働運動

――店長のセクハラ・パワハラ認定の高裁判決も――

岐阜県美濃市に本社を置く衣料品小売業者の
「オンセンド」(代表取締役:森弘治)が、
労働組合に加入したパート従業員に
組合を離脱するよう圧力をかけ、
その後 雇い止めした上 、
労組との団体交渉を拒絶した問題で、
最高裁判所は11月6日、
脱退圧力と団交拒否を不当労働行為と認めた
中央労働委員会の命令を維持し、
オンセンドの上告を受理しない決定を言い渡した。

これを受けて
元パート従業員を組織する
三重県の個人加盟制労働組合
ユニオンみえ「連合」構成単産・全国ユニオン加盟)は
11月10日、
オンセンドに対して団体交渉の申し入れを行なった。

■四日市店店長のセクハラの数々
三重県にあるオンセンド四日市店の
パート従業員であったHさんは
2003年4月16日、
当時の四日市店店長・中根久雄氏から
セクハラを受けた旨を
オンセンド人事部長・山田俊介氏に申し出た。

オンセンド側の受け入れによりすでに確定している
2009年10月14日の名古屋高裁判決及び
その前提となる名古屋地裁判決によると、
中根久雄氏は2001年3月ごろ、
オンセンド四日市店の店長として赴任。
それ以降、
2003年4月ごろまでの間に
Hさんに対して、
「このエプロン、裸でしたら、いいやろうな」
などと話しかけたり、
Hさんの二の腕を
下から上になぞるように指で触ったり、
着衣の前ファスナーの胸元を引っ張ったり、
Hさんの目の前で、
服を着ていないマネキンの胸を
ニヤニヤしながら触ったり、
Hさんの脇腹を指差しながら、
「手やここ(筆者注:=Hさんの脇腹)を
 触りたくなってくる」と告げたり、
「お客さんがマジックパンツのここのところが・・・」
といいながらHさんの尻を触ってきたり、
「昨日やったんか」ないしは
「ゆうべがんばったかな」などと
性交渉を連想させる言葉を言ったりするなど、
セクハラ行為を行なったという。

Hさんはこのようなセクハラを受けて
職場に不満を持っていたことなどから、
オンセンドの山田俊介人事部長に
「店長からセクハラを受けました」と相談したのである。

オンセンドの山田俊介人事部長は、
中根久雄四日市店長から事実確認の後、
Hさんを呼び、
Hさんの目の前で中根久雄店長に対して
セクハラの具体的行為を記載したメモを示し、
「これは軽犯罪ですよ。
 だんなが知ったら、殴られますよ」と叱り、
中根久雄店長はHさんに謝罪した。
また中根久雄店長は始末書を作成・提出し、
Hさんにこれが示された。
そして2003年4月17日の朝礼において、
中根久雄四日市店長はパート従業員らの前で、
セクハラ行為について謝罪したのである。

その後は中根久雄店長のセクハラはなくなり、
Hさんもセクハラの件は解決したと思っていた。
ところが、
翌月5月中旬ごろ、
Hさんは同僚から、
中根久雄店長が
「Hさんが男に貢いでいる」との噂を流していると聞き、
これはセクハラ行為を告発したことに対する
報復に違いないと思って友人に相談、
ユニオンみえに加盟したのである。
ユニオンみえは同年6月16日、
くだんのセクハラ問題や
パート労働者の低賃金待遇・有給休暇の取得や
残業割増の未払いなどの事項に関し、
オンセンドに団体交渉を申し入れた。

■部長「ワァワァ言ってくる奴等と話する気はない」
ところがオンセンドの山田俊介人事部長は、
翌6月17日、
勤務時間中に職場近くの喫茶店にHさんを呼び出し、
賃金については
「最低基準はクリアしているから、
 不当なんて言われることはない」と居直った上、
「この会社の給料で納得がいかないのなら、
 他で働けばいい」とか、
ユニオンみえの通告書を指さして、
「ここ(筆者注:=ユニオンみえ)で働けばいいじゃない。
 ここで働いて給料は出ないでしょ」などと、
職場の労働条件の向上を求めるHさんや
ユニオンみえのごく当然の要求に対して
とことん筋違いなことを言い立てた。
そして、
「よってたかって大勢でワァワァ言ってくる奴等と、
 話なんてする気はない」と言い放ち、
ユニオンみえからの通告書を
テーブルの上に投げ出したのである。

また、中根久雄店長のセクハラに関しても、
「セクハラのことで大の男が頭を下げて、
 首を覚悟で始末書を書いた」などと発言。
さらにHさんが
店長による査定で高い評価を得ていたことを挙げて、
「あなたは、
 周りの人に感謝の気持ちを忘れている。
 ……あなたは感謝の気持ちを忘れちゃダメだよ」などと
恩着せがましく説教をはじめ、
あたかもセクハラを訴え出た労働者の側が
「感謝の気持ち」に欠けているかのような
無神経な発言を繰り返し、
会社を巻き込んだり、
会社を甘く見ないようにという趣旨の発言を行なった。

しかし、
オンセンド山田俊介人事部長の卑劣な行為は
これだけでは終わらなかった。
翌18日にも山田俊介人事部長は
オンセンド四日市店で勤務中のHさんに電話をかけ、
「昨日あれだけ話をしたのに、
 何故分からないんだ、
 ご両親、旦那さんを交えて話をしよう」などと
言いだしたのだ。
上司からの「セクハラ」を
訴え出たことに端を発する労使対立に
家族まで巻き込むことを示唆して、
ユニオンから離脱するよう精神的圧力を加える
きわめて陰険なやり方である。
「組合と話をして下さい」と答えるのが
やっとだったHさんに、
山田俊介人事部長は
さらに追い打ちをかけるように、
「組合、組合って…
 あなたはこの会社の人間でしょう、
 直接話もできないんですか」などと言ったのである。

オンセンドの対応には、
労働者の団結権に関する基本的な理解が
根本的に欠けている。
そもそも、
経済的にも社会的にも
圧倒的な劣位に置かれている一介のパート従業員が、
巨大な会社組織に対して
「直接話」をして自らの労働条件を
対等な立場で交渉することなど、
どだい無理な話なのである。
立場の弱い非正規雇用労働者が
自らの雇用をまもり、
使用者側と対等な交渉を行なうためには、
労働者自身が使用者側と対抗できる力量を
職場の内外で確立すること、
すなわち、
団結権・団体交渉権・団体行動権を持つ
労働組合を組織し、
職場内外の仲間とともに使用者側と対峙し、
相手と対等な交渉力を築いた上で
成果を勝ち取る以外にはない。
だからこそ、
労働組合に加盟している労働者の労働条件は
会社と労組の話し合いで決めねばならず、
個人との個別取引は許されないのだ。
Hさんが
そうした問題については
労働組合と話をしてほしいと言ったのは
実に当然の対応である。
むしろ、
「よってたかって大勢でワァワァ行ってくる奴等と、
 話なんてする気はない」などという
オンセンド山田俊介人事部長の発言こそ、
労組に対する敵意をむき出しにした
極めて破廉恥な不当労働行為に他ならない。

翌19日、
ユニオンみえはオンセンドに対し、
オンセンド山田俊介人事部長の言動が
違法であると抗議し、
オンセンド側は団体交渉の開催を
受け入れる通知を20日に行なった。

■会社側、セクハラ居直り嫌がらせ
第1回団体交渉は
2003年8月8日に開かれた。
この交渉で中根久雄店長は、
「ゆうべがんばったかな」との性的発言については
認めたものの、
その他のセクハラについては
「そうであったかもしれない」と述べるなどの
曖昧な態度に終始した。

オンセンド側は中根久雄店長に対し、
中根店長がHさんの尻を触った事実を
Hさんの同僚が目撃していた事実を指摘し、
謝罪しろと叱責したが、
中根久雄店長は
「始末書は山田俊介部長から
 書かなければ首にすると言われて、
 仕方なしに書いた」などと
居直り発言をはじめたのである。

ユニオンみえ側は
始末書の読み上げや開示を要求したが、
オンセンドはこれを拒絶。
セクハラの件は次回持ち越しとなった。

パート労働者の賃金が
低く抑えられている問題については、
オンセンド側は、
パート従業員の賃金は
採用時や契約更新時に確認しているので問題ない、
就業規則は存在するが店舗にはないなどと
回答した。

第2回団体交渉は9月12日に開催された。
ここに至ると中根久雄店長は
セクハラの事実を全く認めようとしなくなる。

2003年11月27日、
事態が進展しないので
ユニオンみえとオンセンドは
非公式の折衝を持った。
だが、
ここに至るとオンセンドは
これまでの態度を一転させ、
中根久雄店長のセクハラは
なかったと否定するようになる。

オンセンドはこれに前後し、
11月1日付で中根久雄店長に代えて
吉田清則氏を四日市店店長として投入。
さらに12月になると吉田清則店長は、
それまで吉田店長自身の承認のもとに
組まれていたシフトで
12月7日や14日の日曜日が休みとなっていた
Hさんの勤務シフトを突然問題視し始め、
12月7日や14日の休日を認めないと
Hさんに通告したのである。

Hさんから相談を受けたユニオンみえは
これに抗議するとともに、
元々のシフト通りに日曜日を休日とすること、
会社がこれを受け入れない場合には、
有給休暇を使用させるとのFAXを入れた。

ところがオンセンドは、
12月は1年のうちもっとも多忙な時期であり、
日曜日は
その中でももっとも忙しい日であるなどと称し、
有給休暇を認めないと
ユニオンみえにファックスしてきたのである。
(繰り返すが、
 元々の勤務シフトにおいては、
 12月7日・14日はHさんは休みだったのだ)。

ユニオンみえは12月11日、
有給休暇を認めないのは労基法違反であると、
オンセンドに団体交渉を申し入れる。
しかし12月18日の団体交渉において、
オンセンドは、
「Hさんから有給休暇の申請はされていない」
などと言いだし、
無断欠勤であるとの回答を行なったのだ。

オンセンドの受け入れにより
すでに確定している
2009年10月14日名古屋高裁判決と
その前提となる名古屋地裁判決は、
日曜の休日を一旦認めておきながら
それを覆して日曜出勤を強要しようとしたのは
「ハラスメント」であると
以下の通り明確に断罪した。

本件においては、
平成15年11月21日から
同年12月20日までの期間につき、
既に勤務シフトが組まれ、
同期間の始期は既に経過していたのであるから、
そうすると、
被告(筆者注:=オンセンド)としては、
予定されていた原告(筆者注:=Hさん)の休日を
同人の承諾なく変更するには、
当時の就業規則7条1項に照らし、
やむを得ない業務上の都合、
すなわち、
勤務シフトを作成した当時に
予想できなかった業務上の都合の発生と、
振り返るべき休日の指定(1週間以内の他の日)が
必要になるものと解するのが相当である。

しかるに、
本件においては、吉田店長は、
振り替えるべき休日も指定せず、
単に原告がAパート勤務であることや
12月は多忙であるとの、
勤務シフト作成当時も予測できた理由だけで、
一方的に休日を認めないとの態度を
採ったものであり、
その行為が就業規則に違反し、
許されないことは明らかというべきである。
のみならず、吉田店長は、
そのような措置を採るに当たって、
原告側の事情を聴取したり、
他の従業員に都合を聞くなど、
他の調整方法を検討した様子もみられず、
また、
組合からの抗議に対し、
過去に遡って、
いったん認めた休日を認めないとした行為は、
組合に加入している原告を忌み嫌ってなされた
パワー・ハラスメントと目すべき行為と
認めるのが相当である。

また、
原告が、
被告の日曜休日を認めないとする態度に
抗するため、
有給休暇の取得で対処することを
組合を通じて予告したところ、
被告はこれも認めないと回答しているが、
一旦定まった原告の日曜休日を
吉田店長が一方的に認めない態度に
変更したという経緯に鑑みれば、
これも業務上の都合による
時期変更というよりも、
上記日曜休日を認めない措置の
一環としてなされた
上記同様のパワハラと目すべき行為と
みるのが相当である。


こうしてHさんは2004年2月20日、
オンセンドを雇い止めされてしまったのだ。

■オンセンド断罪の中労委命令確定
当然ユニオンみえはこれについて、
3月5日、
不当労働行為に対する謝罪や
解雇の撤回などを求め、
オンセンドに団体交渉の申し入れを行なった。
するとオンセンドは、
Hさんが2月20日付で
従業員の身分を失っているなどと称して、
団体交渉の開催を拒絶してきたのである。

自分たちがクビにしておいて、
「だから団体交渉には応じない」とは
ひどい理屈だ。
オンセンドは団交拒絶にあたり、
「もし貴組合の御主張が
 法的に正統(筆者注:原文ママ)なものだと
 お考えならば、
 裁判において、
 裁判所の判断を受ける方法を
 とっていただく様、
 当社としては希望いたします」と
言い切ったのである。

しかし、
2008年10月9日の東京地裁の判決は
こうしたオンセンドの団体交渉拒絶について、
次のように明確に断罪した。

労働者が自らの雇用契約上の地位を争い、
その所属する労働組合が
使用者に団体交渉による解決を求めたときは、
合理的期間内に
団体交渉の申入れがされているのであれば、
当該労働者を労働組合法7条2項の
「雇用する労働者」に該当するものとして扱い、
当該労働組合が
団体交渉の当事者になるというのが相当である。
……Hが既に契約期間を満了して
従業員としての地位を失ったことは、
団体交渉の申入れを拒否する
正当理由とはなり得ない。


■中労委命令無視するオンセンド
オンセンドの不当労働行為を認定し、
ユニオンみえへの誓約書の手交と
団体交渉への応諾を
オンセンドに命じた中央労働委員会命令は
2009年10月14日の名古屋高裁判決でも
11月6日の最高裁決定でも維持され、
確定した。

ところがオンセンドは、
ユニオンみえの団体交渉申し入れには
応じる回答を示したが、
「手交」を命令された
ユニオンみえへの誓約書については
何と郵便で郵送してきた。
「とにかく形式的に渡せばいいんでしょ」
とでもいうかのような、
全く誠意の感じられないやり方だ。

誓約書について、
中央労働委員会は次の通り
明確に「手交」を命令している。

会社(筆者注:=オンセンド)は、
組合(筆者注:=ユニオンみえ)に対し、
下記文書を
速やかに手交しなければならない。


国語辞典の大辞林には
「手交」について、
「直接に相手に渡すこと。手渡しすること」
とある。

つまりオンセンドは、
従業員に組合を脱退するよう圧力をかけたり
団体交渉を拒絶したりといった不当労働行為を
今後くり返さないとする誓約書を、
ユニオンみえに郵便で送り付けるというような
ずぼらなやり方ではなく、
きちんと「手交」(=手渡し)しなければ
ならないのである。
本来なら、
悪いことをしたのはオンセンドの方なのだから、
きちんとオンセンド側が
ユニオンみえまで足を運んで、
「すみませんでした」と
謝罪文を手交するのが筋なのである。

ユニオンみえは、
「中央労働委員会命令に反した
 誓約書の受け取りはできない」として、
オンセンドの送り付けてきた誓約書を
返送した。
中央労働委員会命令に従い、
団体交渉までに
ユニオンみえに誓約書を持参するか、
11月19日13時から
四日市総合会館8階第一会議室で開催される
団体交渉の冒頭に
手交すべきであるとしている。
(インターネット新聞「JANJAN」
 11月16日掲載記事に加筆訂正)
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by imadegawatuusin | 2009-11-16 19:29

――秘密厳守・相談無料――

派遣や契約社員・パートなど
非正規雇用労働者からの電話相談を受け付ける
「非正規SOS!全国一斉ホットライン」が、
11月13日・14日に行なわれます。
一人から入れる労働組合の全国組織・
「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」の呼びかけで、
全国の地域労組が協力します。

ここ愛知県では、
特に製造業に仕事と住居がセットになった
「住み込み派遣」の労働者が多く、
「派遣切り」・「非正規切り」が即、
住居喪失の危機へと直結する実態が
昨年来の「派遣切り」・「非正規切り」の中で
浮き彫りになりました。
また、
多くの非正規雇用労働者は
これまでも低賃金で、
場合によっては
雇用保険にも加入させてもらえないなどの
劣悪な労働条件の下で働かされており、
失職や時短が
たちまち労働者とその家族の生活を
危機に陥れてしまいます。

そして今、
解雇・雇い止めの嵐は製造業のみならず、
全産業の派遣・請負・契約社員・パート労働者にまで
拡大する様相を呈しています。

この1年、
一人から入れる愛知県の労働組合・
名古屋ふれあいユニオンは、
多くの非正規雇用労働者を組織し、
派遣先・派遣元との交渉を多数行なうと同時に、
愛知派遣村実行委員会などとも連携し、
多くの労働者が路上に放り出されるのを
防いできました。
名古屋ふれあいユニオンはこの経験を生かし、
『非正規SOS!全国一斉ホットライン』に
ここ愛知県で取り組みます。

雇い止め・解雇、職場の差別・パワハラなど、
非正規で働く人たちの相談に応じます。
悩みや実態も聞かせていただきます。
また、
悩みを抱えている正社員の相談も承ります。


『非正規 SOS! ホットライン』

<052‐679‐3079>

・11月13日(金)・14日(土) 10:00~19:00

・主催 名古屋ふれあいユニオン

・秘密厳守。相談無料


愛知県以外で働く方々は、
以下の電話にご相談下さい。


●11月13日(金)・14日(土) 10:00~19:00
北海道(札幌地域労働組合:011-756-7790)
秋 田(おおだてユニオン:0186-42-6539)
山 形(おきたまユニオン:0238-24-9900)   
栃 木(宇都宮市民ユニオン:090-5777-4134)
千 葉(なのはなユニオン:043-227-3860)
東 京(下町ユニオン:03-3638-3369) 
神奈川:横浜(よこはまシティユニオン:045-575-1948)
     相模原(神奈川県央コミュニティユニオン:042-768-8455)
     横須賀(ユニオンヨコスカ:046-866-4930) 
山 梨(山梨ユニオン:055-287-8113)        ※14-15日
静 岡(静岡ふれあいユニオン:054-271-7302) 
愛 知(名古屋ふれあいユニオン:052-679-3079) 
三 重(ユニオンみえ:059-225-4088)        
京 都(きょうとユニオン:075-691-6191)
大 阪(ユニオン関西ネット:06-6352-5005、06-6352-3400)       
    (なかまユニオン:06-6242-8130)
奈 良(奈良ふれあいユニオン:0745-76-6598)    ※13:00~19:00
兵 庫:尼崎(武庫川ユニオン:06-6481-2341)         
    :芦屋(ユニオンあしや:0797-23-8110)   
    :神戸(神戸ワーカーズユニオン:078-232-1838)   
    :明石(あかし地域ユニオン:078-912-2797)   
    :加古川(はりまユニオン:079-425-0532)
    :加西(はりまユニオン加西支部準備会:0790-43-0200)      
    :姫路(姫路ユニオン:079-288-1734)   
    :篠山(たんばユニオン:079-552-7010)
    :豊岡(但馬ユニオン準備会:0796-22-6040)
岡 山(女性・地域ユニオンおかやま:086-225-2023)
広 島(スクラムユニオン・ひろしま:082-264-2310)
愛 媛(えひめユニオン:089-924-2497)
福 岡(連合福岡ユニオン:092-273-2114)
大 分(大分ふれあいユニオン:097-551-7554) 
鹿児島(連合かごしまユニオン:0992-50-5757)
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by imadegawatuusin | 2009-11-12 18:53 | 労働運動

――拷問で「自白」迫られ続けた5年間――

アメリカ・ブッシュ前政権の
人権侵害の象徴として知られる
「グアンタナモ収容所」。
そこに無実の罪で約5年間収容された
ドイツ生まれのトルコ人・ムラット=クルナズさんが、
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」
日本支部の招きで来日している。
11月3日、
愛知県名古屋市で
「奪われた人生――グアンタナモ収容所の真実を語る」
と題する講演会が開かれ、
グアンタナモで行なわれていた拷問の実態などを
証言した。

■19歳で拘束、軍事基地へ
クルナズさんは
ドイツのトルコ移民の家庭に生まれた。
世界に8000万人のメンバーを有するという
イスラム系の社会福祉団体
「タブリーグ」に興味を覚え、
19歳のときに団体本部のある
パキスタンを訪問。
1ヵ月ほど滞在し、
帰国しようと空港に向かうその途中、
パキスタン治安部隊の検問で拘束された。

「検問で私は、
 『お前はドイツ人か、アメリカ人か、
  イギリス人か』と聞かれました。
 私は最初、
 パスポートやビザをチェックされるだけだと
 思っていました。
 ところが私は、
 そのまま刑務所に連れて行かれたのです。
 理由を尋ねても答えてもらえません。
 『一晩たてば家に帰れるから、
  一晩だけここにいろ』と言われました」

「私は、『家に電話をしたい』と言いましたが、
 『電話しなくても、
  明日になれば元に戻れるから
  心配しなくていい』と言われました。
 これが、
 『奪われた5年間』の始まりだったのです」

翌日ムラットさんは、
目隠しをされ、
手かせ足かせをされて
1時間ほど自動車に乗せられて
別の場所に移動させられた。
彼はそこで2週間にわたって
「待機」させられる。
取り調べを受けるわけでもなく、
ただ「捕らわれるだけ」の状態だった。
「何が問題なのかと質問をしても、
 答えがもらえないのです」

2週間後、またしても目隠しをされ、
パキスタンの都市・ペシャワールの
警察署の地下にある拘置所に
連れて行かれた。
そこでムラットさんは、
初めてアメリカ当局の取り調べを受ける。
「FBIなのかCIAなのか、
 私には知るよしもありませんでしたが、
 彼らは私に色々と質問をしました」

「お前はオサマ=ビン=ラディンを
 見たことがあるか」。
取調官は質問した。
ムラットさんは「あるよ」と答えた。
取調官が「どこでだ」と訊(たず)ねるので、
ムラットさんは
「新聞とかテレビとか……」と答えた。

取調官は、
「オサマ=ビン=ラディンが
 どこに住んでいるか知ってるか」と
聞いてきた。
ムラットさんは、
「私はドイツに住んでいる。
 アフガニスタンの山の中に
 住んでいるわけではないので
 知るわけもない」と答えた。

このペシャワールの警察署で、
ムラットさんは「053」という囚人番号を
付けられた。
そしてその数日後、
パキスタンの軍人が来て、
ムラットさんは米軍に引き渡されたのだ。
飛行機の中では
動けないように留め付けられ、
「テロリスト」とののしられて殴られた。

「そのころはまだ、
 『誰かと間違えられているだけだ。
  ちゃんと取り調べを受ければ
  すぐに釈放されるだろう』と
 思っていました。
 私は法に背くことを
 何もした覚えがなかったからです。
 捕まった当時、
 私はまだ19歳。
 自分がどのような状況におかれているのか、
 理解がまるでできていなかったのです」

■電気ショックや水攻めで「自白」迫る
着いたのはアフガニスタン南部の
カンダハルにある軍事施設だった。
元々はアフガニスタンに侵略した
ソ連軍の基地で、
その後タリバンの基地となり、
今はアメリカ軍が使っているとのことだった。

「カンダハルの取り調べで、
 彼らは書類を持ってきました。
 そこには、
 『私はアルカイダのメンバーです。
  アメリカ軍を攻撃しました。
  二度とこのようなことはいたしません』
 というようなことが書かれていました。
 彼らはそこにサインをするよう
 求めてきましたが、
 私はタリバンでもアルカイダでもありません。
 『サインはしません』と言いました」

すると米軍の取調官は、
「お前がサインをしないなら
 力ずくでサインをさせてやる」と
言ったのだという。
ムラットさんはその後しばらくして、
取り調べのためのテントに
連れて行かれた。

「私は床に座らされました。
 手かせも足かせもされ、
 足の部分に電気ショックを
 押し付けられました。
 体中にハリを差し込まれたような
 痛みを覚えました。
 彼らはそれで、
 私がサインをすると思っていたようです。
 サインをさせるために
 電気ショックを与えたのです。
 しかし、
 私はサインを拒みました」

「数日後、
 彼らは私を『水攻め』に遭わせることに
 決めたようです。
 この『水攻め』は
 アメリカがよく使っていたやり方で、
 アメリカでは
 これは『尋問の方法』であるということで、
 非合法な『拷問』ではないと
 されていました」

「バケツに一杯の水が用意されます。
 私は手を後ろ手に縛られた状態で
 頭をバケツに何回もつっこまれ、
 その状態で腹を蹴られます。
 腹を蹴られると
 息を吸い込まざるを得なくなり、
 私は水の中で溺れたような感覚になります」

それでもムラットさんが
「自白」しないとみると、
アメリカ軍は彼を天井から宙づりにした。

「手錠をはめられた状態でつるされ、
 足は宙ぶらりんの状態です。
 取調官が来ると下ろされて、
 『お前はこれにサインするか』と言われますが、
 断るとまた宙づりにされます」

「1日に3回ほど医者が来て
 状態をチェックをしました。
 OKということになれば
 また宙づりにされるのです」

「3日ほど経ったところで
 私は気を失ってしまいました。
 そして牢屋に戻ると他の囚人が、
 『お前は5日間いなかった』と言うのです。
 どうやら私は2日間、
 気を失っていたらしいのです」

彼と一緒に宙づりにされ、
命を落とした囚人もいた。

「宙づりにされている間は
 食事も一切与えられません。
 冬の寒い中でした。
 彼は生き延びることができませんでした。
 亡くなってからもしばらく
 宙づりのままで放っておかれていました。
 彼らはサインをさせたいためだけに
 このようなことをしたのです。
 しかし、
 その人だけが
 殺された唯一の人ではありません」

「ある別の囚人は、
 アフガニスタン人でしたが、
 顔に覆いをされ、
 手かせ足かせをされた状態で
 3人の人間に殴られ続けました。
 彼は叫び声を挙げますが、
 それを5~6人の人間が何もしないで
 見て笑っているのです。
 その後、
 その人たちも加わって暴行が加えられ、
 死んでから15時間ほどの間、
 遺体は放置されていました」

■グアンタナモ収容所への連行
ある日ムラットさんは、
収容所の外に連れ出され、
飛行機に乗せられた。

「どこに連れて行かれるのか
 一切分かっていませんでした。
 ただ、
 『これからお前を撃ち殺しに
  行くところへ連れて行くから』とだけ
 言われていました」

着いた所は『非常に暑い所』だった。
ここが、グアンタナモ収容所だったのだ。

「そこで私は、
 オレンジ色の囚人服を渡され、
 小さな部屋に入れられました。
 部屋にはバケツが2つあるだけ。
 一つのバケツには水が入っていて、
 もう一つはカラでした。
 私は最初、
 そこは着替えのための部屋で、
 その後どこかへ連れて行かれるのだと
 思っていました。
 あまりに小さい部屋なので、
 まさかそこで5年間暮らすことになるとは
 思っていませんでした。
 水の入ったバケツが飲み水用、
 彼のバケツがトイレ用でした」

グアンタナモでの拷問は苛烈を極めた。

「グアンタナモでも彼らは
 私に書類にサインをさせようと
 していました。
 けれど実は、
 ――これは後で分かった話なのですが――
 そのころには彼らも、
 私が無実であることを
 知っていたようなのです。
 2002年、
 アメリカはドイツ政府に
 私を連れて帰国させるよう
 要請しています。
 もっとも、
 当時のドイツ政府は
 これを拒絶しました。
 この決断をした担当官は、
 今でも私に謝ろうとはしていません」

「グアンタナモでは
 想像を絶するひどいことが
 行なわれていました。
 グアンタナモには
 子供がたくさんいたのです。
 最年少で9歳、次が12歳。
 9歳の子供は
 お母さんから離れているだけで
 辛い状態にあるというのに、
 米軍は『これは教育だ』と言って
 彼を殴っていました」

「私が身近に接したのは
 14歳の男の子です。
 彼は床に叩き付けられ、
 M16で肩を打たれました。
 骨に穴が空き、
 片目も失明していました。
 とても痛そうな状態でした。
 ところが看守たちは、
 彼が取り調べで
 自分たちが望む通りのことを言わないと、
 治療を止めてしまうのです。
 当時14歳だった彼は今は22歳。
 彼は今でも
 グアンタナモ収容所に捕らわれたままです」

ムラットさんは、
「グアンタナモは収容所ではない。
 あれは拷問のためのキャンプだ」と断言する。

「グアンタナモでは
 精神科医などと緊密に協力しながら
 専門的に拷問が行なわれます。
 単に拷問をするだけでなく、
 その様子を他の囚人たちに見せるのです」

「看守たちは
 グアンタナモに来る前に
 3週間ほどの研修を受けているようでした。
 グアンタナモにいる人間は
 アメリカに破壊攻撃を行なったテロリストだ……
 というような内容のビデオを
 たくさん見せられてきたようです。
 だから、
 来たばかりの看守は
 私たちと口を利こうともしません。
 ところが、
 実際にしばらく接していると、
 必ずしもそうでないということが
 うすうす分かってくるようなのです。
 中には私たちに、
 そうした話をしてくれる看守もいました。
 しかし、
 私たちと個人的に話をしたことがバレると、
 彼らは罰を受けます。
 私にそうした話をしてくれた看守も、
 収容所の外に追放されてしまいました」

■グアンタナモからの釈放
ある日、
ムラットさんは
「ジーンズ」や「ジャケット」のような
「普通の服」を渡され、
「着ろ」と言われた。
これは、
彼がグアンタナモに連れてこられたときと
同じような服装だったという。

「私はそのままドイツの基地に連れて行かれ、
 警察に引き渡されました。
 家族が迎えに来ていたのですが、
 父親を見ても私は誰だか分かりませんでした。
 父は私のいない5年間で
 すっかりやつれてしまっていました」

「2人の弟もすごく成長していて、
 私には分かりませんでした。
 ただ、母親だけが
 『お母さんだ』とわかりました。
 もっとも母も、
 すっかり年老いて見えましたけど」

2006年8月のことだった。
当時ドイツを訪問したブッシュ大統領に、
ドイツのメルケル首相がかけあい、
ようやく帰国が実現したのだ。

「でも、
 まだ200人以上の人たちが
 グアンタナモ基地に捕らわれています。
 グアンタナモ収容所ができて8年。
 当時未成年だった子供たちも、
 家族に会えないまま大人になっています」

グアンタナモの収容者たちは
「犯罪者」でも「捕虜」でもない
「適性戦闘員」であるとアメリカは主張している。
「犯罪者」であれば弁護士も付け、
公正な裁判を受ける権利がある。
「捕虜」であればジュネーブ条約に基づき
人道的に遇され、
戦争が終われば帰国できる。
だが、
「適性戦闘員」はそのどちらでもないとして、
公正な裁判も受けられないまま、
期限の無い収容状態に置かれている。
アメリカのオバマ大統領は選挙戦で
「グアンタナモ収容所の早期閉鎖」を約束したが、
「テロリストが釈放されると
 アメリカが危険にさらされる」など
保守的な世論の抵抗を受け、
公約の実現は難航している。

■なぜ拷問を耐えられたのか
講演が終わった後、
会場から次々と質問が寄せられた。
私も次のような質問をした。

「ムラットさんは5年間、
 非常に苛烈な拷問の中、
 『自分はアルカイダだ』という書面へのサインを
 断り続けた。
 どうしてそのようなことが可能だったのか、
 私はそれが知りたいです」

それに対するムラットさんの回答は
こうだった。

「私は小さい頃から母親に、
 『お前はいい子でいなさい』と
 常に言われて育ってきました。
 サインをすると
 自分はテロリストだと
 認めることになります。
 私はともかく、
 母が
 『お前の息子はテロリストだ』と言われるのは、
 私には耐えられませんでした」

そう言ったあとムラットさんは、
「ただ……」と言って付け加えた。

「ただ、
 サインをしたら確実に釈放されるということなら、
 私もサインしていたかもしれません。
 けれど、
 サインをした人がその後どうなったのか、
 私にはさっぱりわからなかったから……」

最後にムラットさんは、
「日本はアメリカと
 非常に近い関係にあると聞いている。
 だから、
 日本の人が行動を行なうことが重要です」と
切り出した。

「グアンタナモの収容者たちの中には、
 身体は丈夫でも
 精神的に病んでしまった人もいます。
 自分の他にも
 グアンタナモから釈放された人はいますが、
 そういう人は自分の経験を語れません。
 逆に身体をボロボロにされた人もいます。
 拘束状態は長期にわたっていて、
 私は中の人の健康状態を
 非常に心配しています」

ムラットさんはそう語り、
オバマ大統領が選挙の公約に従って
早期にこの非人道的な収容所を閉鎖するよう
訴えた。
(インターネット新聞「JANJAN」
 11月4日に加筆転載)
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by imadegawatuusin | 2009-11-04 17:13 | 国際

トヨタグループの鋼材メーカー・
愛知製鋼の偽装請負を愛知労働局に申告し、
労働局が会社に「直接雇用の推奨」を
行なったにも関わらず、
新聞報道の直後に職場を追われた久保勝司さんが
今日、愛知県労働委員会で証言に立ちました。

「請負」会社に入社以来、
契約書も就業条件明示書もなく
働いてきたこと、
愛知製鋼社員や
その子会社・アイチセラテックの社員と
「班」を組んで、
愛知製鋼社員の指揮命令の下で
働いてきたこと、
時間管理も愛知製鋼が行なっており、
残業の際は愛知製鋼の社員に
認め印をもらわなければならなかったこと、
愛知製鋼の社員に朝突然、
「今日から君は5鍛工場に
 行っていただきますから」と配置転換を告げられ、
「請負」会社からは何の連絡もなかったこと……等々、
偽装請負の実態を次々と証言してゆきます。
「請負会社は指揮命令など一切しない。
 ただ『賃金の支払い』だけ」と
久保さんはいいました。

「5鍛工場に移った初日は、
 『今日は最初なんで
  こちらの現場を見て仕事を覚えてください。
  今日は定時であがっていただいて結構です』と
 愛知製鋼のT課長から言われましたが、
 翌日からは愛知製鋼の社員の方に付いて
 フル稼働でした。
 毎日3時間残業がありました」と久保さん。

ところが残業時間の一部が
サービス残業の状態にあったと久保さんは言います。
「愛知製鋼の作業長に
 『残業付けていいですか』と何度となく聞きましたが、
 『それはつけれません。
  つけようがない』との答えでした」。
久保さんはそう証言しました。

平成19年5月下旬ごろ、
久保さんはヘルメットが
『請負』会社の青色から、
愛知製鋼の黄色に変わったといいます。
周囲にいる愛知製鋼の正社員が、
「よかったな。
 おれらとおなじ値段で
 メシ食えるよ」と言って喜んでくれたそうです。
それからしばらくは「社員料金」で
食堂でご飯が食べられたのに、
数ヶ月で元に戻ってしまいます。

どうしてだろうと思って「請負」会社に聞いて、
そのとき初めて、
「それは当たり前だ。
 お前、『派遣』だもん」と言われたそうです。
それまで久保さんは、
「請負」会社の部長から、
「アイセラ(=アイチセラテック)の方に
 出向という形になる。
 書面だけの話だけど」と聞かされていたのですが、
自分が「請負」なのか「出向」なのか、
はたまた「派遣」なのか
さっぱりわからなくなったのです。

久保さんは労働委員会に、
「偽装請負を申し立て、
 新聞報道も出た直後に
 愛知製鋼の構外に出された。
 それまで10600円あった日給が、
 一時は日給7300円にまで下げられた。
 税金や社会保険を払うと
 手取りで11万円から12万円。
 やっていけません。
 これは報復としか思えない。
 速やかに是正いただいて、
 こうしたことで
 いちいち立ち上がる人の出る必要のない社会に
 していただきたい」と
自らの思いを語りました。

名古屋ふれあいユニオンは、
こんな理不尽な話は許せません!
今後も愛知製鋼の責任を追及し、
きっちり かたをつける決意です。


【参考記事】
愛知製鋼:構内下請労組、不当労働行為救済申立
トヨタ系 愛知製鋼:「派遣労組に団交権なし」と主張
偽装請負を正当化する愛知製鋼の「言い分」
労働局:派遣法違反で愛知製鋼に文書指導
偽装請負・労災隠しもう許さない
愛知製鋼が不正告発の「派遣社員」切り捨て
9月24日、愛知県労働委員会傍聴へ!


職場の理不尽を許さない、強く優しい地域労組の建設を!
愛知県下の未組織労働者は名古屋ふれあいユニオンに結集し、
全ての職場に人権労働運動の灯をともそう!



労働組合名古屋ふれあいユニオン
雇用形態や国籍に関わりなく、
愛知県下で働くすべての労働者が一人から加盟できる
地域労働組合(コミュニティユニオン)。
コミュニティユニオン全国ネットワーク
コミュニティユニオン東海ネットワークにも参加。
今年3月に開かれた第11回定期大会では、
「連合」単産・全国ユニオンへの加盟について討議するとする活動方針を採択。
日ごろから組合員の学習会や交流会・相談会などを
積極的に企画しながら活動している。
現在、組合員数約200名。
組合員は組合費月額1500円。
賛助会員(サポーター)は年会費5000円。
住所:〒460‐0024
    愛知県名古屋市中区正木4-8-8 メゾン金山303号室
    (JR・地下鉄・名鉄金山駅下車 名古屋ボストン美術館の向かい)
電話番号:052‐679‐3079(午前10時~午後6時)月~金
ファックス:052‐679‐3080
電子メール:fureai@abox.so-net.ne.jp
郵便振替 00800‐8‐126554
ホームページ
http://homepage3.nifty.com/fureai-union/
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by imadegawatuusin | 2009-11-02 21:27 | 労働運動

――労働組合の存在意義――

■テキスト69~88ページを学習
私たち一人から入れる労働組合
労働問題に取り組むきっかけは、
ほとんどがメールや電話・面接などの
労働相談活動です。
全ては一通のメール・一本の電話から始まる。
私たちはそれを当たり前だと思っていますが、
本書の著者・石川源嗣さんは、
「労働相談活動は、
 ……階級闘争退潮期における
 労働運動のひとつの特殊な形態といえる」と
しています(本書71ページ)。

考えてみれば、
職場にちゃんとした労働組合があって、
定期的に会議を開いて職場の問題をきちんと把握し、
日常的に改善に向けて
会社側と話し合いをしているようなところでは、
「一通のメール・一本の電話から全てが始まる」
なんてことはありえません。
「労働相談から取り組みが始まる」のは、
多くの職場に労働組合が存在しないという
「労働相談活動は、
 ……階級闘争退潮期における
 労働運動の一つの特殊な形態といえる」のです。

ところが、
せっかく職場に労働組合があっても、
「実に残念だが、
 労組は職場のトラブルを相談するような場所と
 思われていない。
 内部告発にしても、
 その告発先は労組ではなく
 外部機関」(連合・笹森清元会長)という
現実があります。
私自身、
ある労働者の口から
こんな言葉を聞いたことがあります。

「労働組合って、
 選挙とボーリングをするところとしか
 思ってなかった。
 労働者を助けるところとは
 全然思ってなかった」


学習会に参加した
大手電機メーカーの派遣社員も、

「あるとき、
 派遣先の女性正社員が集まって、
 チラシをみながら
 『どれに行こうかなー』とか言って
 盛り上がっていた。
 チラシを見ると、
 コンサートとか水族館とか
 ディナーショーとかが書いてあって、
 どれか一つを選んで
 行かせてもらえるのだという。
 私が『何それ』と聞くと女性正社員たちは、
 『組合だよー』と教えてくれた。
 だから私は組合というのは、
 正社員の親睦会か何かかという
 感覚だった」

と話していました。
私たちは労働相談活動を通じて、
労働組合は一人一人の労働者が抱える職場の問題に
共に取り組む機関であること、
そのためにも、
労働組合への「あなた」の結集が
職場を変えるカギであることを
訴え続けてゆかなければなりません。

本書には、
「団結権を欠いた、
 或いは極度に制限せられたところに
 与えられる生存権法制
 即ち保護法制は
 実は虚名の生存権に終わることは
 明らかなことである」(沼田稲次郎)とあります。

労働者の権利は、
憲法や労働基準法などで守られる建前に
なっています。
しかし、これらの権利も
職場に労働組合がなければ
「絵に描いたモチ」で終わってしまうことは、
みなさんがすでにご存じの通りです。

このことは、
労働者の団結権自体についても
同じことがいえます。
「憲法に書かれているから
 団結権があるわけではない。
 労働者階級の
 長年にわたる血みどろの闘いによって、
 団結権がかちとられ社会的に認められてきたから、
 つまり階級闘争の前進の反映として
 憲法に明記された」のです(本書82ページ)。

もともと、
「その日その日を生きていかなければならない労働者は、
 どんな不安定な労働条件であっても
 働かなければならない立場におかれています。
 いかに自分が買い叩かれても、
 『ありがとうございました』と言って、
 そうした仕事を
 自ら『選択』させられる」立場です(中野麻美)。
その意味で、
経営者と労働者では、
圧倒的に労働者の方が弱い立場におかれています。
だからこそ労働者は、
徒党を組んで、カルテルを結んで、談合して、
「労働」という商品の買い手である経営者に
対抗しなければならないのです。

もし、「労働」以外の商品で
売り手が結託してこんなことをしたら、
独占禁止法違反で捕まります。
労働組合も、
「歴史的にはどこの国でも
 最初は法律によって抑圧された。
 歴史的に
 市民法の最初の段階での取引の自由は、
 個人的な取引の自由にかぎられていた。
 労働者の団結、労働組合は、
 むしろ共同した団結の威力をもって
 個人的な取引の自由を脅かすものとして、
 犯罪であり、
 不法行為として扱われた」(佐藤昭夫)のです。

けれど「労働」は他の商品と違って、
在庫をしておくことができません。
生身の労働者は大根と違い、
今「労働」が値崩れしているからといって、
しばらく冷凍庫に入れておくことは
できないのです。

労働者は今日働かなければ食っていけない。
だから、
放っておけば「たたき売り」が始まります。
社会保険もなくていい、雇用保険もなくていい、
最賃以下でもかまわない、
セクハラ・パワハラも仕方がない……と、
際限のない「値崩れ」が起きるのです。
(ここでいう「値崩れ」は
 単に賃金の低下のみをいうのではなく、
 セクハラ・パワハラや乱暴な解雇の横行など、
 職場環境の低下全てを指しています)。

だから労働者は、
カルテルを結んででも、談合してでも
「労働の値崩れ」を防がなければなりません。
たとえ最初は「違法」とされても、
世界中で労働者は闘って、
団結権・団体交渉権・団体行動権を
勝ち取ってきたのです。

最後に本書は、
「会社はいっとき、組合は一生」と
提起しています。

「昔とちがって、
 いまは学校を卒業して
 そのままひとつの企業で
 定年まで過ごすなどとは
 夢物語である。
 いわば『流動する労働者』が
 通常の存在形態にならざるを得ない。

 そのような時代にあって
 ……労働者は
 『何を頼って生きるのか』……。

 『超』企業の、
 地域ないしは産業に基盤をおいた
 労働組合でしかありえない。
 個々の労働者は
 勤め先である企業を
 何度か変わる場合でも、
 自らの属する労働組合は
 ずっとひとつという状態を
 続けるのである。
 『超』企業の労働組合は
 労働者にとって安息の場であると同時に、
 出撃拠点の役割を果たすのである。

 ……生涯組合員で、
 職場が変わるだけなのだ。

 その時にはじめて、
 労働組合とその運動は一生涯にわたるものとなり、
 賃金、生活確保、生きるための闘いすべての
 土台を構成するのである。
 まさに
 『ゆりかごから墓場まで』の
 生存権、労働権、団結権の確保を
 労働組合で実践することに
 ほかならない。

 我々はそういう状態を、
 『会社はいっとき、組合は一生』と
 称している」(本書85~88ページ)


こうした状態を真に実現するには、
今のような「独立系の地域労組」のままで
いいのかという問題も提起しました。
いま、
特に「住み込み派遣」の労働者は、
短期間で全国各地を転々としながら
働くことを強いられています。
大企業はグローバル化し、
海外への転勤も日常のものとなりつつあります。

真に「会社はいっとき、組合は一生」を実践するには、
労働運動の側もこうした「労働者の流動化」に対応し、
全国規模・世界規模での統一を
今後は視野に入れていかなければ
ならないかもしれません。

学習の最後に、
参加者全員で感想を話し合いました。

「組合というのは、
 これだけの機能を受け持つことができるんだなぁと
 びっくりした。
 弱い者は強い者に丸め込まれてしまいがちだけど、
 こうやって跳ね返すことができるんだと知って
 すごく勉強になった」

「これまでは、
 何かあったら直属の上司に
 文句を言うか頼み込むしかなかった。
 労働組合を通じて会社と対等に話ができて
 驚いた」

「この本の題名の
 『ひとのために生きよう!』というのが、
 最初、自分にはよく分からなかった。
 でも、労働争議をやっていると、
 誰かに支援してもらったら
 自分も誰かを支援して返すしかない、
 お金で返すことの出来んもんがあると
 わかってきた。
 それが『ひとのために生きよう!』ってことじゃ
 ないのか」

などの感想が交わされました。

次回は11月21日(土)午後6時30分から、
テキスト89~110ページ、
「地域労組と組織化活動」について学習します。
場所は名古屋ふれあいユニオン事務所。
組合員のみなさんはどしどしご参加ください。


【関連記事】
名古屋学習会:新カリキュラムスタート
『ひとのために生きよう!』を学ぶ(第1回)


職場の理不尽を許さない、強く優しい地域労組の建設を!
愛知県下の未組織労働者は名古屋ふれあいユニオンに結集し、
全ての職場に人権労働運動の灯をともそう!



労働組合名古屋ふれあいユニオン
雇用形態や国籍に関わりなく、
愛知県下で働くすべての労働者が一人から加盟できる
地域労働組合(コミュニティユニオン)。
コミュニティユニオン全国ネットワーク
コミュニティユニオン東海ネットワークにも参加。
今年3月に開かれた第11回定期大会では、
「連合」単産・全国ユニオンへの加盟について討議するとする活動方針を採択。
日ごろから組合員の学習会や交流会・相談会などを
積極的に企画しながら活動している。
現在、組合員数約200名。
組合員は組合費月額1500円。
賛助会員(サポーター)は年会費5000円。
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by imadegawatuusin | 2009-11-01 21:05 | 労働運動