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――実は単なる縁起かつぎ――

■理屈もへったくれもない「10回プラス」
2011年12月31日の『毎日新聞』朝刊に、
「除夜の鐘はなぜ108回なの?」という記事が
載っていた。

「除夜の鐘」の「原形は
中国で宋代(960~1279年)に始まったとされ、
日本には鎌倉時代、
禅宗とともに伝わりました。
……室町時代になってから、
大みそかに108回鳴らすようになったと
いわれています」とのことである。

ではなぜ108回なのか。
世の中ではよく、
それが仏教でいう煩悩の数だからなどと
まことしやかに言われている。

確かに、
もともとの起源は
インドの仏教書・『倶舎論』にあるらしい。
ただし、
「実は、倶舎論にある煩悩の数は98なんです。
 しかし、
 いつからか10回プラスされて
 108という縁起のいい数字に数えられています」と
いうのである。

だとすれば、
「108」という数は
仏教とも煩悩の数とも縁もゆかりもない、
ただの縁起かつぎだということになる。
縁起かつぎで「10回プラス」とは、
理屈もへったくれもないむちゃくちゃな話だ。

「教理よりも縁起かつぎ」。
これが、
除夜の鐘108回の真相であるようだ。

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by imadegawatuusin | 2013-12-31 17:37 | 仏教

心がボロボロになりそうな人や、
心がボロボロになって立ち直ろうとしている人に
何か1冊薦められる本があるかと聞かれれば、
私はこの本を挙げたい。
この本のキャッチコピーには、
「つらい気持ちが消えていく、
 すっきり心が軽くなる」とある。
対人関係療法という、
その効き目が科学的に明らかにされている心理療法の
わが国における第一人者である
医師・水島広子さんが書いた本だ。

世の中にはつらいことや苦しいことがたくさんある。
そうしたつらさや苦しさを
すべて無くせるなどとはこの本は言わない。
たとえば、
パワハラ上司に罵倒されたとする。
不愉快な経験であることは間違いない。
だが、
本当に心をボロボロにするのは
上司の暴言「そのもの」だけではないとこの本は言う。
その証拠に、
同じ暴言を浴びた人でも、
周りに
「あの上司ひどいよね。君も苦労するよな」と
言ってくれる仲間がいるのといないのとでは、
その人が心を病んでしまうかどうかに
雲泥の差があるのである。
パワハラ上司から暴言を受けた瞬間に
強い衝撃を受けるのは
人という生き物に備わった当たり前の生理的機能である。
ただし、
それを受けてそのことを何度も思い返し、
「自分が否定された!」・
「自分が攻撃された!」・
「誰も自分のことをわかってくれない!」と
嘆き悔やみ苦しみ続ける負の力は
自らの心の中で生み出されるものであり、
パワハラ上司の暴言「そのもの」とは
分けて考えられるべきものである。
そしてとどのつまり、
自らを追い詰め、
心を蝕んでいくにあたっては、
そうした自らの心が生み出している負の力の影響が
色濃いのである。

もちろん、
だからといってパワハラ上司の責任が
免責されるわけではない。
「騒音がどこまでいっても騒音であるのと同じように、
 その
 (暴力的な態度をとられたことの)ストレスだけは
 なくすことができませんが、
 反対に言うと、
 そのストレス『だけ』に減らすことは目標にできる」
とこの本は言う。

つらい思いをしたならばそれでもう十分なのだ。
何度もそのことを思い返して
そのたびに腹を立てたり、
自分で自分を責めたりして
ますます自分を苦しめ続ける必要はない。
これは、
「人生は苦である」としながらも、
悟りを開くことにより苦しみを「単なる苦」に転換でき、
それ以上の苦しみを味わわずに済むと説く
仏教にも通じる考え方ではないだろうか。

またこの本は、
未来への不安に自分を乗っ取られるのでも
過去を思い返して苦しむのでもなく、
今この瞬間を丁寧に生きろと説く。
この点も上座部仏教や禅の教えに通じるものがある。

この本を読み終わった人は、
同じ水島広子さんが書いた
『なんだか「毎日しんどい…」がスッキリ!晴れる本』や
『すべての「イライラ」を根っこから絶ち切る本』に
手を伸ばしていけばいいだろう。
いずれも、
心安らかに人生を生きていくための
優れた手がかりがたくさん詰まった名著である。
ぜひ一読を薦めたい。

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by imadegawatuusin | 2013-12-06 16:13 | 倫理