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名古屋ふれあいユニオン、全体会開催

――「トヨタ過労死裁判」梅村弁護士を迎えて――
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■岡崎Libraで約40人参加
愛知県の個人加盟制労働組合
名古屋ふれあいユニオン
「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」加盟)は、
組合員全体会を
愛知県岡崎市の図書館交流センターで
9月18日に開催し、
組合員ら約40人が参加した。
組合員全体会は
全組合員を参加対象とするもので、
例年 1年間に2回
(昨年からは1回は名古屋、
もう1回は三河で)開催されている。

全体会では
トヨタ自動車従業員が過労死で亡くなった
「内野裁判」に携わった梅村浩司弁護士が
「トヨタでの働かせ方について」と題して
講演を行なった。
講演には
知立派遣村で活躍するSさんが
通訳として協力。
日系ブラジル人労働者らも、
自らの職場の実態に照らし合わせて、
トヨタ生産方式の功罪を
分かりやすく解説する梅村弁護士の講演に
聴き入っていた。
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《梅村弁護士「トヨタでの働かせ方について」》
「トヨタでの働かせ方について」
という題で
講演させていただきますが、
実際の現場については
ここにいるみなさんの方が
詳しいかもしれませんね(笑)。

■トヨタ自動車株式会社とその関連企業
まず、
トヨタ自動車株式会社と
その関連企業について
お話しします。

豊田市には
トヨタ自動車とその関連企業が
多数存在します。
全体で何社あるのか
私にもわかりません。
私は豊田市で弁護士をやってますので、
関連企業が破産するとき、
その整理をやるということもあります。
この2年間で3社ぐらいやりました。
ジェイテクト
下請けの整理をやったときには、
ジェイテクトから売掛金を取ってきて
労働者に払う仕事をやりましたね。
実際に倒産する企業が
今もどんどん出ています。

■トヨタ生産方式の特徴と下請企業
さて、
トヨタ生産方式と
下請企業の関係について
説明します。

どうしてこうなってきているのか。
トヨタ生産方式とは
どういうものなのか。
一言で説明するのは難しいのですが、
「徹底して
 ムダを排除していく」生産方式であると
まとめることができます。

例えばみなさんが
テレビが欲しいとしますね。
エイデンにテレビを買いに行くとします。
日立の液晶テレビが
20万円で売っている。
買えばその場で持って帰るか、
2~3日で配達してくれます。
これを売る側の立場で考えてみると、
みなさんに買ってもらえるかどうか
わからないテレビを
常に店に置いておかなくちゃいけないと
いうことになります。
しかし、
トヨタ生産方式から見ると
そのやり方はムダだらけということに
なるんですね。

日立のテレビを置いておくということは、
置いておいて
売れるかどうかわからないのに
場所代がかかる、
費用がかかるということです。
そういうのを「在庫」といいます。
在庫はトヨタ生産方式から見れば
ムダです。

お寿司屋さんに
お寿司を食べに行くとします。
トロが食べたいと注文すると
トロのお寿司が出てきます。
でも、
店の立場からすると、
注文が来るかもしれないということで、
トロ以外にも
イカもハマチも置いてあるわけです。

その日 客が何人来るか、
店側は正確にはわかりません。
仕方がないから
大体の予想で仕入れて
準備をしています。
もし予想通り売れなかったら、
材料は全部ムダになります。
店が損をするということです。

これを「造りすぎのムダ」と
トヨタでは呼んでいます。
そういうムダを排除するためには
どうすればいいか。

「注文を受けてからつくればいい」
というのが
トヨタ生産方式の答えです。
お客さんが
「日立の液晶テレビが欲しい」
と言ってからテレビをつくれば、
よけいな在庫は要らないし
作り過ぎもありません。
トヨタ生産方式は
そういう発想で成り立っています。

私が新型プリウスが欲しいと
思ったとします。
私はお店で注文します。
トヨタは2週間後に
私に新型プリウスを
引き渡さなければなりません。
ですからトヨタは2週間後までに
プリウスを1台作ろうとします。

新型プリウスの生産ラインは1つです。
そこで、
10月10日にプリウスを作るという計画を
立てます。

そうすると、
自動車1台について
2万~3万の部品を
用意しなければいけません。
ディーラーから注文が入ると
2万から3万の部品が
必要になるので、
下請け会社に注文を出します。
実際には
その日に自動車を注文した人は
私1人ではないでしょうから、
例えば
10月10日生産分=100台分の部品を
注文するのです。
10月10日の何時に
トヨタ自動車○○工場の
どこそこに部品を持ってこいと
知らせます。

部品を作っている下請けは
さらに孫請けとか「ひ孫請け」に
部品を持ってくるように注文を出します。
全ては10月10日に
新型プリウス100台分の部品が
トヨタの所定の場所にあるために
動くのです。

「必要なときに、
 必要なモノを、
 必要なだけ」集める。
これが
「ジャストインタイム方式」と呼ばれる
トヨタ生産方式です。
この下請けへの注文を
「かんばん」と呼ばれるものを使って
やるので
「かんばん方式」とも呼ばれています。

いまのようなやり方をすれば、
倉庫の中に部品を置いておく必要は
一切ない。
新型プリウスを作りすぎて
売れ残る心配もありえません。

ですがこのやり方は、
非常に危険性をはらんでいます。
部品の在庫が一切ない中で、
どこかでトラブルが発生したら
生産がストップしてしまいます。
それだけでなく、
お客さんに納品する商品が
納品できなくなる、ということに
なるのです。

在庫が沢山あれば、
倉庫の中にある商品を
お客さんに提供すればいいのですから、
お客さんは怒りません。
でも、
それができないのです。
だから、
ラインの中で不良品を出してしまうことは
絶対に許されません。

そのためには
どうすればいいのでしょうか。

生産する過程で同時に検査もして、
不良を見つけたら
その場で良いものにしていかなければ
なりません。
トヨタ自動車の堤工場の中では
カローラの組立が行われていました。
そこでは、
組立労働者の他に
不良チェックの労働者もいます。
不良を発見したら直ちにラインを止めて
処理します。
その仕事が大変で過労死したのが
トヨタの内野さんでした。
トヨタで亡くなって、
奥さんが裁判をやられた方です。

以上のようにトヨタ生産方式は
徹底的にムダをなくすということで
成り立っています。

■1990年代後半からトヨタショックまで
それでは
1990年代後半からトヨタショックまでの
トヨタの動向について
簡単に説明します。

トヨタは1995年に
世界で450万台車を売っていました。
これが、
2002年から2007年にかけて
急激に増えて、
2007年には
800万台を越えています。
この増え方は
異常な増え方だと思いませんか。
今まで400万台だったものを、
その倍を生産するようになったんです。

じゃぁ、
どうしてこの時代に
増やすことができたのか。

1つは、
1990年代後半からトヨタは
積極的に海外進出を図ります。
その工場が、
2002年頃から稼働し始めました。

2つ目、
この売り上げの中身を見てみると、
世界的には売り上げが増えているのに、
日本国内での販売台数が
減っていることがわかるのです。

1995年には
トヨタは日本国内で
200万台の売り上げがありました。
これが2007年には
150万台に減っているのです。

逆にもう一つ、
北米での売り上げが
1995年には100万台、
これが2007年には
300万台と
3倍にまで増えています。
ここには、
アメリカのバブル経済の影響が
あります。
トヨタの成長は、
アメリカが
たくさん車を買ってくれたことに
依存していたのです。

アメリカでは当時、
サブプライムローンという、
低所得者向けのローンがありました。
アメリカの人たちは
低所得の人でも借金をして
車を買っていたのです。
そういうことがあったので、
北米での販売台数は増えていました。
ところがこのビジネスモデルが、
先日のリーマンショック以降、
成り立たなくなってしまいました。

もう一つは、
国内ではなるべく安い車をつくるため、
そのための活動をしてきました。
どうやって安くするのか。
簡単なことです。
下請企業に、
トヨタに納入する部品の価格を
安くさせればいいのです。
そうすれば、
車の価格全体を
安くすることができます。

下請企業は、
部品の価格が安くなるから
苦しくなります。
普通なら
つぶれてもおかしくありません。
でも、
つぶれませんでした。
トヨタの生産台数全体は増えていたので、
単価は下がっても
注文は増えていたからです。

1個10円の部品を
今までなら1000個だったところを、
9円に値下げさせられた代わりに
1300個注文されたりするわけです。
そうしたら、
かえって頑張れば
利益が上がるかもしれません。
2007年までは
そういう状況でした。

■下請企業の対応
それでは、
そうした下請企業の対応について
お話しします。
トヨタから
部品単価の引き下げを要請された下請けは
大変です。
なるべく安く
労働者を使わなくてはいけません。
しかもトヨタからは、
「今までよりたくさん作ってね」と
言われています。
とにかく人手が足りません。
新しく
人を雇わなければなりません。
でも、
いつまでもこんな状況が続くとは
限りません。
トヨタがダメになったら
大変です。
だから、
「賃金が安くて、
 すぐ来てくれて、
 なおかつすぐにクビにできる人」が
必要でした。

だからこの2000年代以降、
非正規の労働者が増えました。
日本人だけでなく
ブラジル人を使うようにも
なってきました。
もちろん、
低賃金です。

■偽装請負とは
そんな中で横行したのが
偽装請負です。
トヨタの下請けは、
非正規労働者を雇うために、
外から労働者を派遣してもらって
自分の工場で使おうとしました。

でも、
当時は法律で
製造業への労働者の派遣は
禁止されていたのです。
だから、
派遣ではあるけれど
表向きは「請負」という形式で
労働者を入れようとしました。

工場に労働者の派遣が
できるようになった後も、
多くの下請けは派遣ではなく
「請負」という形式で
受け入れを続けました。
そうした違法なやり方を使ってでも、
下請けは
「賃金が安くて、
 すぐ来てくれて、
 なおかつすぐにクビにできる人」が
必要だったのです。
こうした労働者たちの働きの上に、
トヨタの自動車生産がありました。

■どうすればよいのか
では、
どうすればよいのか。
トヨタ自動車の内部留保、
つまり溜め込んだ財産は
2000年には7兆円でした。
それが、
2007年までに倍くらい、
約14兆円にまで増えています。
どうしてそんなに溜め込めたのか。
労働者を安い賃金で働かせた下請けから
安い部品を仕入れて車をつくって
儲けたからです。

しかし、
アメリカでバブル経済が崩壊しました。
返せない人にどんどん金を貸して、
返せないことがわかってしまったので
もう車が売れなくなったのです。
2008年にトヨタの売り上げは減少し、
赤字を出してしまいました。

そして2009年、
さらに売り上げは減少しました。
ところが、
トヨタは2009年には
利益を上げています。
どうして販売台数が下がったのに
利益は上がったのか。
ここにいる人たちの中には
経験された方も多いでしょう。
大量の労働者を
クビにしたからです。

正確には、
期間工を「雇い止め」にしました。
そして、
下請けにも
大幅な「原価低減」を要請しました。
しかも今回は
注文も激減しました。
その結果、
下請けは労働者の賃金を下げるか
クビにするしかなくなりました。
トヨタは労働者を犠牲にして
成長してきたのです。

そういうトヨタの体制をかえるには、
これはもう社会的に
規制するしかありません。
社会的に監視して、
取り締まってゆくのです。

一つは政治です。
そしてもう一つは、
こういうことに対して
しっかりと反対してゆく労働組合を
強くする。
これが絶対に必要です。

最後に、
私も関わっている
ふれあいユニオン組合員の
アンデン・トゥエンティファースト裁判について
一言お話しします。

直接雇用裁判は
いろいろな事情があって
とても大変です。
しかし、
社会全体の流れの中で、
長年働いてきた労働者を
少し調子が悪いからといって
クビにする、
そんなことは絶対に許されません。
その実態を
裁判所にも、
そして社会にも訴える裁判として
闘ってゆきたいと思います。
JanJan blog 9月22日から加筆転載)


【参考記事】
名古屋ふれあいユニオン組合員全体会in三河
名古屋ふれあいユニオン、組合員全体会を開催


職場の理不尽を許さない、
強く優しい地域労組の建設を!
愛知県下の未組織労働者は
名古屋ふれあいユニオンに結集し、
全ての職場に人権労働運動の灯をともそう!



労働組合名古屋ふれあいユニオン
雇用形態や国籍に関わりなく、
愛知県下で働くすべての労働者が一人から加盟できる
地域労働組合(コミュニティユニオン)。
コミュニティユニオン全国ネットワーク
コミュニティユニオン東海ネットワークにも参加。
今年4月に開かれた第12回定期大会では、
「連合」単産・全国ユニオンへの加入に向けて、
検討委員会を設置し討議するとする活動方針を採択。
日ごろから組合員の学習会や交流会・相談会などを
積極的に企画しながら活動している。
現在、組合員数約200名。
組合員は組合費月額1500円。
賛助会員(サポーター)は年会費5000円。
住所:〒460‐0024
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by imadegawatuusin | 2010-09-22 15:46 | 労働運動