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やぶうち優『少女少年』第一期各話解説(第2話)

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第2話 天使の予感
表題の「天使の予感」は、
白川みずきのデビューシングルの
曲名です。
「女の子はみんな 天使になれる」っていう、あれですね。

「すごいアイドルを出さないと、
 給料が出ない」という村崎さんですが、
そもそもこの事務所、
村崎さんのほかに社員なんて雇ってましたっけ?
それとも他の所属芸能人への給料?
いずれにせよ見たことがありませんよね。

しかし村崎さん、
最初の口説き文句が
「るりちゃんに
 会えるのに…」ですか!?
さすがスカウトのプロですね。
相手のどこに訴えればスカウトが成功するかが
やっぱりわかるんでしょうか。
晶の場合、
それが「るりちゃん」だったわけですね。
晶がるりの「春の妖精」を歌ってたところに着目したんでしょうけど、
ナイスな誘い文句です。
案の定、晶は食いついてきました。

このことはファンの間では意外と軽視されてますけど、
晶にとって「るりちゃん」っていうのは
すっごく大きな存在なんです。
智恵子に対する思いとは
ちょっと違ったかもしれないけど……。

どうしても少女漫画だから
「恋愛」にウェートが置かれてしまい、
智恵子の存在だけが
クローズアップされてしまいがちなんですが、
少女少年としての「みずき」を生み出したのは
まぎれもなく「るりちゃん」だったんですね。

「晶・モ~ソ~モ~ド」では随分と不埒なことを考えてる
晶ですけど、
そのあと 晶が「生るり」に初遭遇したシーンなんか、
憧れのるりちゃんに初めて会ったっていうのに、
あまりのかわいらしさにビックリして
声も出ないんですよ。
ただ「あ…」とか声を漏らすだけで。
意外に純なところがあるんです。

むしろ村崎さんなんかの方が、
「(酒井注:るりちゃんは)大先輩なんだから
 こっちが先に
 あいさつしなきゃあ!」とか
もうあたふたしてますけど、
実際、礼儀作法とか しきたりとか、
そういうのが異様に厳しい世界だったりするんでしょうかね。
芸能界って。

ちなみに、
このときるりの後ろにいるのが、
るりのマネージャー役を兼ねている
「るりママ」。
何やら手帳を見ていますけど、
るりのスケジュールが
びっしり書き込まれているんでしょうねー。

んでまぁ、
ドラマの撮影です。
村崎さんはみずきに、
「今日は
 エキストラの
 ちょい役だけど、
 キミを
 認めてもらう
 チャンスだから
 しっかりやって
 くれよ!」
と言っています。
(「エキストラ」というのは、
 「臨時雇いの俳優」という意味)。

ところで、
後に村崎さんも認めてますけど、
晶には全く演技力がないんです。
(その演技力のない晶が、
 どうして女の子として「少女少年」を演じきったのかっていうのは、
 この作品のちょっとしたテーマなんですけどね。
 詳しくは、
 「演技のできない晶に、なぜ『少女少年』が務まったのか」
 参照のこと)。

勝手に「失敗した」と判断して演技をやめたみずきに、
「…ったく、
 今日が初めてのトーシロに
 判断なんか
 できるわけ
 ねーんだから…。」
「エキストラごときに
 何度もリテイク
 やってらんねー
 っつーの。」と
スタッフたちから口々に
非難の言葉が飛び交います。
(このとき、
 「ぐっ」と拳を握りしめたみずきを、
 るりは見逃していません)。

スタッフの心ない言葉が胸に突き刺さったのでしょうか。
晶はすっかり落ち込んじゃいまして、
ものすごく足取りが重くなっちゃいます。
ありますよね。
ショックを受けたり落ち込んだりしたときって、
もう何も手に付かなくなって、
歩くこともできずにその場に立ちつくしたりすることとか。

晶が撮影現場から楽屋に戻るまでに、
青野るりの方は歌番組のリハーサルを一つ済まして、
そんでもって先に楽屋に帰っています。
(しかもこのときの青野るりって、
 38度の熱があるんですよ!
 青野るりの方も、
 まさかみずきが館内にまだ残っているなんて
 思わなかったんでしょうね。
 もうさっさと帰っちゃったと思って油断して、
 それで一人で泣いていたら、
 みずきが帰ってきちゃったわけです)。

ちなみに、
楽屋に貼り付けてある
使用者一覧には、
「青野るり様」や「白川みずき」の他に、
「河合優子」・「高幡多可子」・「北野深雪」
などの名前がありますが、
これらは『少女少年』と並ぶ
やぶうち優さんの代表作・『水色時代』の
主要登場人物たちです。
スーパーアイドルの青野るり『様』以外は
みんな「様」が省略されて「〃」の扱い。
えげつない世界です。

さて、
これは「yuuの少女少年FANページ」のyuuさんが
指摘してることですけど、
「みずきが『ど・・・、どしたの!?』とか言いながらるりちゃんに向かって手をるりちゃんの方にやったとき
るりちゃんは少しガードしてるんですね」
(「感想 少女少年-MIZUKI-」)。
自分のおでこを庇うような感じで。
後で るりは自分に熱があることを
「みんな…、
 知ってる」って言ってますけど、
みんな知ってることだったけど、
みずきにだけは知られたくなかったって
ことなんでしょうか。
「この時、るりちゃんは自分の手で涙を拭いているが、どうせ後で泣いちゃうんだよな~」
っていうyuuさんのコメントには
何か感じさせるものがあります(「感想 少女少年-MIZUKI-」)。

るりはみずきの手を「ぎゅっ」と両手で握り締め、
「がんばってね」と励ましの言葉を送ります。
ついさっきまで
「やめよーとかおもっ」てたみずきでしたが、
こんなるりの一言で
「…うん!
 がんばるよ
 るりちゃん」と
たちまち元気を取り戻しちゃうんですね。
「わ~い
 手ぇ
 にぎっちゃった~」と、
「にへ~」としちゃって嬉しそうです。

そして、
るりはまた母親に呼ばれて次の仕事へ……。
楽屋を出て、
「ぱた ぱた ぱた ぱた」と走る様子を示す「ぱた」の字が、
だんだん小さくなってゆくことで、
足音が遠ざかってゆく さまが示されます。

で、油断した晶は、
「それにしても
 あっちーな、
 カツラは…」ということで、
ここでカツラを脱いでしまう。
そこに、忘れ物に気づいたるりが
楽屋に戻って来ちゃうんですね。
後の少女少年たちと比べても、
晶には明らかに警戒心が欠如してます。
ドラマの収録会場から楽屋に戻るまで、
晶を随分と長い時間ほったらかしにしてることといい、
村崎さんももうちょっとちゃんと
フォローすればいいのに……。
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参考お勧め記事
やぶうち優『少女少年』第一期解説(その1)
やぶうち優『少女少年』第一期解説(その2)
やぶうち優『少女少年』第一期解説(その3)
やぶうち優『少女少年』第一期解説(その4)
やぶうち優『少女少年』第一期解説(その5)
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by imadegawatuusin | 2006-08-30 14:42 | 漫画・アニメ