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「歩け歩け運動」 動詞は2回続ければ名詞化する?

1月15日の記事1月18日の記事の中で僕は、
「いけいけギャル」の「いけいけ」の「いけ」は
五段活用動詞・「行く」の命令形ではなく、
一段活用動詞「いける」
(「状態がよい」という意味で使う動詞。
 「この酒はなかなかいける」とか
 「あの子、なかなかいけてない?」といった形で使う)
の連用形〔注1〕であると主張した。

ところが昨日あたりから、
「やっぱり命令形なのかな」とも思うようになってしまった。

というのも、
こんな名詞を見つけてしまったからなのだ。

「歩け歩け運動」。


「日本ウオーキング協会」というところが呼びかけた運動で、
僕は今までまったく聞いたことのない言葉であったが、
「振り込め詐欺」〔注2〕のような違和感がない。

そしてもうひとつ、これは命令形ではないが、
「てるてる坊主」という名詞も発見してしまった。

で、以上の事実から考えてみるに、日本語には、
「動詞の命令形であれ、終止形〔注3〕であれ、
 2回続ければ容易に名詞化して他の名詞に接続する」
という傾向があるのではないだろうか。

「振り込め詐欺」も、
「振り込め振り込め詐欺」とでも言いかえれば、
文法的な違和感はなくなるのかもしれない。
もっとも、「ひとつの名詞としては長すぎる」という、
別の意味で致命的な違和感を抱えてしまうため、
現実的には不可能であるが。

〔注1〕動詞の連用形とは、
その動詞を「~ます」に続くように変化させたときの形である。
「動く」なら「動きます」になるので連用形は「動き」。
「泳ぐ」なら「泳ぎます」になるので連用形は「泳ぎ」。
このように日本語では、
動詞を名詞化するときは通常その動詞の連用形を用いる。

〔注2〕「振り込め詐欺」という言葉については、
「『振り込め詐欺』は『なりすまし詐欺』に!」(1月13日)
「『振り込め詐欺』妥当論に反論する 」(1月16日)とを参照のこと。

〔注3〕動詞の終止形とは……、
まぁ、動詞が「辞書に載っているときの形」と考えればいいだろう。
「行け」とか「振り込み」とかではなく、
「行く」・「振り込む」がそれぞれの終止形にあたる。
by imadegawatuusin | 2005-01-20 18:18 | 日本語論
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