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錦のキャバクラ・イストワールと団交開催

――藤林忠之代表、廃業を宣言――
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■法的な債務整理の実施は拒否

名古屋市・錦のキャバクラ「histoire」(イストワール)で、
店の代表者である藤林忠之氏(36歳)が失踪し、
従業員らに給料が支払われない状態となっていた問題で、
女性従業員3名が加入している
愛知県の個人加盟制労働組合・名古屋ふれあいユニオン
(「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」加盟)は
インターネットなどを通じて
広く市民から情報提供を呼びかけていた〔注1〕。
その結果、
6月になって藤林代表本人から連絡があり、
7月4日に第1回団体交渉が開催された。

名古屋ふれあいユニオンの側は、
未払い状態が続いている賃金をただちに支払うこと、
支払えない場合は
法的な債務整理の手続きを責任を持って行なうことなどを
店側に要求した。
ところがイストワールの藤林忠之代表は、
ただちに未払い賃金を支払うようにとの要求に対しては
「払えない」・「それ無理」などと居直る一方で、
それでは法的な債務整理を開始して
自らの資産を
責任をもって債権者に分配せよとの要求に対しては、
「この程度の金額で破産なんかしていられない」と
言い放ったのである。
さらに藤林代表は団体交渉の席上、
あろうことか、
「そもそもうちでは、
 女の子が自分の時給を
 他人に教えてはいけないというルールになっている」
などと言い出し、
賃金をもらえない状態にある女性従業員らが
「自分の時給を他人に教え」たことを
非難するかのような発言を行なった。
自分が時給を支払わず、
従業員が自らの時給の金額も含めて
労働組合に相談に行かなければならない状況を
作り出したことを棚に上げた、
身勝手極まる驚くべき発言である。

また、
藤林代表は、
イストワールを再開する予定はないとも
明言した。

そもそもイストワールは
女性従業員に対して半月給制を取っており、
4月分の賃金は
5月15日には支払う約束となっていた。
我が国の労働基準法はその第24条で、
「賃金は、
 毎月1回以上、
 一定の期日を定めて支払わなければならない」と
定めており、
賃金遅配に対しては
労基法第120条で
「30万円以下の罰金」という罰則が科せられている。
それにもかかわらず
店側の金銭的事情で
どうしても約束通りの支払いができないと
いうのであれば、
破産手続や民事再生の手続きなど
法的な債務整理を通じて
責任をまっとうするべきことは当然である。
「この程度の金額で破産なんかしていられない」と
暴言を吐いておきながら、
一方で
「この程度の金額」を
約束通り支払おうともしないというのは
あまりに都合が良すぎるというものだ。
大体、
従業員に給料さえ払えないような状況にありながら
なぜイストワールの個人事業主である藤林忠之代表は、
月額賃料8万4000円もする
身の丈に合わない住宅に住み続けているのか。

そもそも、
債務整理の方法は自己破産だけでなく、
民事再生など様々な方法がある。
そうした部分も含め、
破産や債務整理に詳しい法律事務所を具体的に挙げて、
相談するよう名古屋ふれあいユニオンは勧めたのである。
だがイストワールの藤林代表は、
「弁護士なんか頼むと金がかかる」と言って
耳を貸そうとしなかった。

しかし、
資力のない人に対しては、
法テラスの扶助相談の制度もある。
そもそもイストワールに資力がないことなど
ユニオン側は充分承知しており、
最初からできもしないことを
要求したりはしていないのだ。

またそもそも、
名古屋ふれあいユニオンに加盟した女性従業員3名は、
労働基準法第15条及び、
それに基づく厚生労働省令である
労働基準法施行規則第5条に反し、
労働条件の書面による明示を受けていない。
これらの法令で
書面による明示が使用者に義務づけられている事項には、
「賃金の決定、
 計算及び支払いの方法、
 賃金の締切及び支払いの時期」など
極めて重要なものがある。
だが、
イストワールは女性従業員3名らに対し、
書面による明示を違法に怠ってきたのである。

名古屋ふれあいユニオンは団体交渉で、
3名の時給金額を明らかにするよう
イストワールの藤林代表に求めた。
藤林代表は、
Tさん・Yさんの時給は明かしたが、
4月時点では時給2800円であったと主張している
Sさんに関しては、
「変動制であって、
 自宅のパソコンのデータを見なければ
 4月時点での時給は分からない」と回答した。

イストワールの藤林代表は、
「Tさん・Yさん・Sさんの未払い賃金のデータと、
 Sさんの4月分の時給のデータを
 7月9日までに名古屋ふれあいユニオンに送る」と
約束した。
しかし7月14日の時点で
名古屋ふれあいユニオンには
約束されたそのデータが送られてきていない。

名古屋ふれあいユニオンは改めて、
女性従業員3名の未払い賃金のデータと、
Sさんの賃金の決定、計算の方法及び
4月時点での時給を書面にて明示することを
イストワールに要求している。

さらにイストワールは、
藤林代表が5月1日以降の売上げを
受け取っていないなどとして、
5月以降の従業員の雇用責任を
認めようとはしなかった。
しかし、
売上げを受け取っているかいないかは
雇用責任の問題とは
全く関係がないのである。
従業員らは5月2日にも店を開け、
きちんとイストワールで働いている。
ところが藤林代表はこの日 店を訪れ、
「今日はお給料出ません」などと
唐突に従業員に説明したのだ。
少なくともこの時点までは
従業員らはイストワールに在籍し、
藤林代表の責任のもとで働いていたことは
明確である。
女性従業員らも
この5月2日に実際にイストワールで
勤務しているにも関わらず、
「代表が売上げを受け取っていないから」などという
身勝手な理由で店側が
雇用責任を逃れようとするのは
到底許されることではない。
売上げを代表が受け取ったか
受け取っていないかなどという問題は
店側内部の事情である。
従業員には何の関係もないことであり、
雇用責任を免れる理由にはなりえない。

名古屋ふれあいユニオン側は、
イストワールが少なくとも5月2日までは
女性従業員3名の雇用責任を認めるように
要求している。
また、
イストワールの藤林代表の一方的な失踪にともなって
女性従業員3名は雇用を失ったのである。
自らイストワールを退職した者はいないのであるから、
客観的には3名は
イストワールから事前に解雇を予告されることなく
突然雇用関係を打ち切られたことが明白である。
したがってイストワールは本来、
女性従業員3名らに、
未払い賃金だけでなく、
解雇予告手当ても支払わなければならないのである。

労働基準法はその第20条で、
「使用者は、
 労働者を解雇しようとする場合においては、
 少くとも30日前にその予告をしなければならない。
 30日前に予告をしない使用者は、
 30日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と
定めている。
つまり、
従業員との雇用関係を
雇い主側が一方的に解除する場合、
少なくとも30日前に
そのことを予告しなければならない。
もし30日前に予告をせず雇用関係を解除した場合、
雇い主は従業員に
給料30日分以上のお金を
払わなければならないということである。
このお金を「解雇予告手当」という。

名古屋ふれあいユニオンは
イストワール・藤林代表に対し、
女性従業員3名への解雇予告手当の支払いまたは
法的な債務整理の実行を
強く要求している。

名古屋ふれあいユニオンは、
第2回目の団体交渉の開催を求める書面を
イストワールの藤林代表に7月14日に送付した。
名古屋ふれあいユニオン側は、
イストワールに在籍して賃金を受け取れていない
他の従業員らにも、
取り組みに参加するように呼びかけている。

〔注1〕なお、6月9日の記事の中で、
筆者は女性従業員3名からの聞き取りに基づき、
イストワールについて、
「イストワールは
 錦で複数のキャバクラを擁する『モーセスグループ』に
 属するとされていた」と記載した。
しかし団体交渉に応じた藤林忠之代表は、
「イストワールは自分が個人で経営しており、
 モーセスグループではない。
 自分はモーセスグループの店には
 出入り禁止になっているほどだ。
 自分はいくら悪く言われてもかまわないが、
 他にも迷惑がかかるので、
 イストワールがモーセスグループだという記載は
 削除して欲しい」と主張。
筆者の判断として藤林代表の要望を受け入れ、
6月9日の記事を削除した。

すべての くにの はたらたみは、
むすがろう! 


【参考記事】
廃業キャバクラの従業員、立替払い制度で賃金確保

労働組合名古屋ふれあいユニオン
雇用形態や国籍に関わりなく、
愛知県下で働くすべての労働者が一人から加盟できる
地域労働組合(コミュニティユニオン)。
「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」加盟。
「コミュニティ・ユニオン東海ネットワーク」事務局団体。
日ごろから組合員の学習会や交流会などを
積極的に企画しながら活動している。
現在、組合員数約200名。
組合員は組合費月額1500円。
賛助会員(サポーター)は年会費5000円。
住所:〒460‐0024
 愛知県名古屋市中区正木4-8-8 メゾン金山303号室
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by imadegawatuusin | 2011-07-14 17:18 | 労働運動
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