国鉄闘争:全動労争議団、闘争継続を表明

――建交労と連名で声明――

■「引き続きJRの雇用責任を問う」

国鉄分割・民営化の際、
JRへの採用にあたって国労などとともに差別された
全動労(現建交労)争議団が7月25日に、
JRへの雇用問題について
闘争を継続する方針を明らかにした。
長年にわたり国鉄闘争を牽引してきた
旧社会党系の国労が
6月30日に闘争終結を宣言したことから、
共産党系とされる全動労争議団の方針が
注目されていた。

国鉄採用差別事件は、
国鉄分割・民営化の際に国労や全動労など
民営化に反対する方針を掲げていた労働組合の
組合員らが差別され、
1047名がJRに採用されなかった問題だ。

国鉄分割・民営化に
賛成する労組に加入していた労働者は、
飲酒運転で交通事故を起こした者や
女子寮に忍び込んで警察ざたになった者、
勤務時間内に麻雀をしていた者まで
JRに採用された。
国労や全動労に加入していた組合員でも、
こうした労働組合を辞め、
分割・民営化に賛成する組合に移った人は
JRに採用された。
だが、
あくまで筋を通して国労や全動労を辞めることなく、
JRに採用されなかった人たちがいるのである。

国鉄、すなわち国家が堂々と労働組合の組合員を差別し、
組合員らの雇用を奪ったこの事件は
「国家的不当労働行為」言われている。
これまで24年にわたって
「戦後最大の労働争議」と言われる
全国的な闘いが繰り広げられてきた。

この間、
JRの不当労働行為は
地方労働委員会や中央労働委員会で認められていたが、
東京地裁は
「国鉄とJRは別」としてJRの責任を否定。
その後、
東京高裁・最高裁もこれを追認した。

一方で
国鉄の責任を引き継ぐ
「鉄道建設・運輸整備支援機構」を相手取った裁判では、
東京地裁や東京高裁で、
旧国鉄が国労や全動労の組合員を
差別的にJRに推薦せず、
不当労働行為を行なったと認定する判決が相次いだ。

こうした判決や
労組が支援する民主党主導の政権交代も追い風に、
最高裁で和解の機運が高まった。
そして昨年、
旧国鉄が組合員らに解決金を支払い、
政府が
「解決にあたって、
 JR北海道、九州等の各社を中心に
 200名位の採用を要請する。
 その他の雇用については政府としても努力する」と
明記した和解が成立したのである。

「JRと国鉄は違う」という建前から、
国が組合差別の被害者らにお金を支払い、
JRに採用を「要請する」という形になったわけである。
そうした形式のため、
この和解には次のような但し書きもついていた。
「政府はJRへの雇用について努力する。
 ただし、
 JRによる採用を強制することはできないことから、
 人数等が希望どおり採用されることは保証できない」。
一抹の不安の残る和解ではあった。
とはいえ、
「人数等が希望どおり採用されることは保証できない」
という書き方は、
一方で、
「ゼロということはない」という前向きなニュアンスも
感じさせた。
ともあれ、
和解は成立したのである。
あとは、
23年にわたり採用差別と闘ってきた労働者たちが
再び職場に帰る日を待つばかりとなった。

しかしその後、
普天間基地移転問題をめぐって
鳩山政権の崩壊、社民党の連立離脱、
管政権の成立、東日本大震災……と
さまざまな事態が起こった。
労働者らのJRへの復帰は遅々として進まなかった。

今年6月7日には、
和解を不服として
裁判を続けていた一部の労働者について最高裁が、
旧国鉄がJRへの採用にあたって
組合差別を行なった事実を認めて
損害賠償を命じる高裁判決を維持する決定を行なった。
旧国鉄の不当労働行為は
最高裁でも認定されたのである。

6月13日、
ついに国土交通省はJR7社の役員を呼び、
採用差別被害者らのJRへの雇用を求める文書を
手渡した。
JR各社への雇用を希望したのは184人、
JR関連会社への雇用を希望した人は86人だった。

しかし、
JR7社は政府の要請を拒絶した。
和解にあたっての但し書きには確かに、
「ただし、
 ……人数等が希望どおり採用されることは
 保証できない」とはあった。
だが、
JR各社から出た答えは「雇用ゼロ」、
「一人も採用しない」というものだった。

国労はこうしたJR側の回答を受け、
「JR復帰断念」を決断し、
24年間の闘いに幕を下ろした。
「原告らの平均年齢は58歳となっており、
 1047名の中で鬼籍に入った者は
 すでに69名となっている。
 ……これ以上『雇用問題』を引きずることは、
 いたずらに原告個々の今後の人生を
 翻弄することにつながる」と判断しての
苦しい決断であったという。

24年間にわたって闘い続けた
当事者の方々の苦しみを思えば、
こうした決断もまた尊重されなければならない。
だが、
国家が堂々と組合差別を行ない、
その結果として
JRへの採用差別が行なわれたのであれば、
ここに再び正義を実現するためには、
きちんとJRへの職場復帰が
実現しなければならないのではなかったのか。

またそもそも、
国との和解文書をよく読むと、
「解決にあたって、
 JR北海道、九州等の各社を中心に
 200名位の採用を要請する」という文言の後に、
「その他の雇用については政府としても努力する」
という言葉が目に入る。
「JRが言うこと聞いてくれませんでした。
 ごめんなさい」で済む話ではない。
元はといえば
国鉄=国家が行なった不当労働行為がきっかけなのだ。
JRが採用してくれなかったのなら、
政府自身が
責任を持って職場を見つけてくるくらいのことを
しなければならない。
それだけのことを、
この国は労働者らに対してやったのである。

国労がJR復帰を断念した今、
和解に基づくJR職場への雇用希望者は
全動労争議団の14人となった〔注1〕。
「たった14人」である。
何とかしてこの最後まで残った14人を、
再びJRの職場に
立たせてあげられないものだろうか。

JR各社の中でも
JR北海道やJR九州・JR貨物の3社については、
今も国が株の100パーセントを保有している。
いわば国の100パーセント子会社なのだ。
国の力をもってして、
雇用が不可能なわけではないのである。
雇用の実現に向けて
できる限りのことをすること。
それこそが、
国策によって24年間翻弄させられ続けてきた
採用差別被害者らにできる
国のせめてもの償いではないのか。

すべての くにの はたらたみは、
むすがろう! 


〔注1〕建交労全国鉄道本部の高橋さんによると、
「全動労争議団の雇用希望者14人の内訳ですが、
 JR北海道を希望しているのは2人(50歳代)で
 残りの12人(60歳以上)が
 JR北海道の関連会社」を希望しているとのこと。
他に公務部門への採用希望者が2名とのことである。


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by imadegawatuusin | 2011-07-29 11:39 | 労働運動