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フタバ産業下請・S社が団交応諾

――ユニオン共同行動で交渉の扉切り開く!――

■「辞めさせられたのに『自己都合』おかしい」
従業員の退職問題について、
労働組合との団体交渉に応じてこなかった、
トヨタ系の自動車部品メーカー・フタバ産業の
下請企業・S社が
8月4日、
団体交渉に応じるとの連絡を労組に対して行なった。

団体交渉応諾の回答を受けたのは
愛知県の個人加盟制労働組合・名古屋ふれあいユニオン
(「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」加盟)。
組合員の日系ブラジル人労働者・Nさん(52歳)が、
S社側から無理矢理辞めさせられたのに
「自己都合」で辞めたことにされていると訴えている。

Nさんは会社の出してきた「退職届」に
「無理矢理辞めさせられた」と
きちんとポルトガル語で書いて提出した。
ところが会社側はその退職届に日本語で、
「私的理由でこのまま働くことが出来ない」
などと書き加え、
Nさんは自分で辞めたのだと主張して、
労働組合の三度にわたる団体交渉の申し入れにも
一度として応じなかった。

こうしたS社の対応に対し
愛知県の個人加盟制労働組合・名古屋ふれあいユニオンは
7月26日に県下3ヶ所で抗議・宣伝行動を行ない、
S社に対して
改めて団体交渉の開催を求めた。
これに対してS社は、
7月27日付で代理人の永谷和之弁護士を通じて
名古屋ふれあいユニオンに「通知書」を送付し、
ユニオンの抗議・宣伝行動を
「刑法230条の名誉毀損罪に該当するもの」などと
論難。
通知書を受け取ってから1週間以内に
「書面による謝罪」を行なうよう、
ユニオンに要求してきたのである。
労働組合の申し入れにもかかわらず
団体交渉を開催せず、
そうした事実を指摘されるや「名誉毀損」だと
あたかも自分たちが被害者であるかのような顔で
言いたてるのは
文字通りの「逆ギレ」に他ならない。

名古屋ふれあいユニオンは
S社の「通知書」に対して
全面的に反論するとともに、
8月3日に4回目となる
団体交渉の申し入れを行なった。
また同時に、
S社が1週間後の8月10日までに
団体交渉の開催を応諾する回答を行なわない場合、
労働組合法第7条に違反する不当労働行為として
愛知県労働委員会に救済申立を行なうことを
明らかにした。

S社代理人の永谷和之弁護士は
7月27日付「通知書」の中で、
「改めて申し上げるまでもありませんが、
 2011年5月17日に貴組合から会社に対して
 『団体交渉の申し入れ書』が届いた後、
 当職が会社の代理人として
 N・R(Nさん夫妻)の件について
 交渉に当たりました。

 具体的には、
 当職は貴組合からの質問等に対して、
 5月20日、6月3日、同月23日と
 それぞれ書面を以って回答し、
 また、
 貴組合より要求のあった
 離職票に関する諸手続きについても
 きちんと履行し、
 離職票も貴組合に届けております」

と名古屋ふれあいユニオンの見解に
「反論」を試みている。
しかしこれでは、
何の反論にもなっていない。

名古屋ふれあいユニオンは
5月17日の「団体交渉の申し入れ書」の送付以来、
一貫して『団体交渉の開催を』求めてきた。
にもかかわらずS社はこの間、
申し入れ書の内容について、
ただただ「書面を以って回答」するだけで、
ユニオンとの団体交渉に
一切応じようとしてこなかったはずである。
S社は一体いつ、
ユニオンと「交渉」をしたというのだろうか。

ユニオン側の見解に異論があるのでれば、
正々堂々と事実に基づき反論すればいいのであって、
してもいない交渉をしたと言い張って「反論」しても
相手を説得することはできない。
名古屋ふれあいユニオンは
団体交渉の開催を一貫して求めており、
S社はこれに一度も応じたことがない。
これは、
ユニオンと会社とのこの間のやり取りから
客観的に確認できる事実であり、
疑いようがない。

「書面を以って回答し」ただの、
「離職票に関する諸手続きについて」
「きちんと履行」しただのといったことは、
会社が労組との団体交渉を開かないことを
正当化する理由にはならず、
はっきり言って関係がない。
名古屋ふれあいユニオンはS社が、
労組との団体交渉を開かないことを
問題にしているのであって、
関係のない話を持ってきて
話をすりかえるのは卑怯である。
(大体、
 「離職票に関する諸手続きについて」
 「きちんと履行」することなど、
 使用者として実に当たり前の義務を
 果たしたに過ぎない。
 そのことをもってどうだこうだと言われても、
 「だからどうなのだ」としか言いようがない)。

『改めて申し上げるまでも』ないが、
労働組合が団体交渉の開催を求めているのに、
書面での回答をただ繰り返すだけでは、
「交渉」を行なったことにはならない。

そもそもわが国の憲法はその28条で、
「勤労者の団結する権利及び
 団体交渉その他の団体行動をする権利は、
 これを保障する」と定めている。

労働組合法も第6条にて、
「労働組合の代表者又は
 労働組合の委任を受けたものは、
 労働組合又は組合員のために
 使用者又はその団体と
 労働協約の締結その他の事項に関して
 交渉する権限を有する」とはっきりと定めており、
さらに労働組合法は第7条にて、
「使用者が雇用する労働者の代表者と
 団体交渉をすることを
 正当な理由がなくて拒」むことを明確に禁じ、
使用者側の団体交渉拒絶に対しては、
労働組合側に
労働委員会への不当労働行為救済申立などの権利を
保障している(労働組合法第27条)。

団体交渉は勤労者の団結体である
労働組合固有の権利であり、
日本で営業を営む全ての経営者の義務にあたる。
そしてこの団体交渉は、
「労使間の対等を実現するため、
 労働者が強力な団結力を背景に
 その威力によって交渉を行うという意味が
 歴史的に含まれているとみるべきであるから、
 憲法二八条及び労働組合法七条二号にいう『団体交渉』は、
 直接かつ口頭の交渉であることを
 当然の前提として規定されているものと解するのが
 相当であり、
 実際上も、
 団体交渉は労使双方の代表が直接に話し合う方法で
 行うのが通常であり、
 かつ常識的な理解である」のだ
(清和電器産業事件福島地裁いわき支部判決
 平成1年11月15日)。

東京高裁も平成2年12月26日、
「使用者は労働者の代表者と団体交渉をするに当たって
 誠実に行わなければならないことは当然であり、
 右の見地からすれば、
 ……会社の文書による回答が
 適法な団体交渉の範疇に属するとは
 到底認められない」、
「団体交渉は
 労使双方が互いの意見を誠実に述べ合って
 労働条件についての合意に達するように
 努力することが本来の在り方であるから、
 口頭による方式が通常行われているところであり、
 また、
 それが原則である」としており
(清和電器産業事件東京高裁判決平成2年12月26日)、
最高裁もその結論を支持している
(清和電器産業事件最高裁第三小法廷判決平成5年4月6日)。

要するに
憲法・労働組合法で使用者に義務づけられている
団体交渉とは、
労使が直接対面して話し合うことで
労使双方が自己の意思を円滑かつ迅速に相手に伝達し、
相互の意思疎通を図るものを指す。
これに応じようとしないS社の姿勢は
憲法・労働組合法で認められた
労働組合の団体交渉権の否認に他ならず、
これを「S社団体交渉事件」と命名することは
事実と道理にかなっている。

S社は事実として
「Nさんは自分で辞めたのだと主張して」いるし、
「ユニオンとの話し合いを開かない」のも
事実である。

名古屋ふれあいユニオンは
5月17日の「団体交渉申し入れ書」で明確に、
「下記の通り団体交渉の開催を申し入れます」
とした上で、
「日時 双方合意した日。ただし可及的速やかに。
 場所 当労組事務所」と、
対面・話し合い方式での団体交渉を求めていることは
明確だ。
これに対してS社は代理人を通じ、
5月20日に
「2011年5月17日付の貴組合の
 『団体交渉の申し入れ書』に対する当社の回答は
 以下のとおりです」と言いながら、
「団体交渉の申し入れ」については一言も触れない
不誠実きわまる回答を行なった。
それに対して名古屋ふれあいユニオンは5月25日に
『団体交渉の申し入れ書(再)』を送付し、
「貴社と当労組の間の事実認識、
 及び貴社のN及びR(筆者注:=Nさんの妻)に対する
 対応についての評価について
 様々な相違があり、
 交渉を通じて明らかにしていく必要があると考えます。

 つきましては、
 改めて下記の通り団体交渉の申し入れを行います。
 貴社の誠意ある対応を求めます」とした上で
「日時 双方合意した日。ただし可及的速やかに。
 場所 当労組事務所」と、
これまた明確に対面・話し合い方式での
法に基づいた団体交渉を求めている。
ところがこれに対してもS社は、
6月3日に
「2011年5月25日付の貴組合の
 『団体交渉の申し入れ書』に対する当社の回答は
 以下のとおりです」と言いながら、
またしても「団体交渉の申し入れ」への回答はしない
本末転倒の回答書を当労組に送付。
名古屋ふれあいユニオンはそれに対してさらに、
6月8日に『団体交渉の申し入れ書(三度目)』を送り、
ここでもさらに
「この間の文書によるやりとりで明らかになったとおり、
 貴社と当労組の間の事実認識、
 及び貴社のN及びRに対する対応についての
 評価について様々な相違があり、
 交渉を通じて明らかにしていく必要があると考えます。

 つきましては、
 改めて下記の通り団体交渉の申し入れを行います」と
申し入れた上で、
「日時 双方合意した日。ただし可及的速やかに。
 場所 当労組事務所」としている。
しかしこの申し入れに対するS社の返答もまた、
「2011年6月8日付の貴組合の
 『団体交渉の申し入れ書(三度目)』に対する
 当社の回答は以下のとおりです」と言いながら、
肝心の団体交渉の申し入れに対しては
全く回答をしないというものなのだ。

労組を労組と思わないこのような仕打ちを、
S社では「誠実」な「回答」というのだろうか。
このような動かぬ事実を目の前にしても、
S社代理人は
「当職はこれまで一度として
 貴組合からの団体交渉の申し入れを
 拒否したことはな」いと言い張るのだろうか。

名古屋ふれあいユニオンが
共同行動の際に配布した「ユニオン連帯ニュース」で
報道したことは、
どこを取っても事実そのものである。
その事実が事実として明らかになった結果、
「S社及びS社社長の名誉」が
「毀損」されることになったとしても、
「名誉を毀損する結果を招いたのは」
S社自身の振る舞いである。
身から出たさび・自業自得というものだ。
その結果責任まで
事実を報じた労組の側になすりつけるのは
筋違いも甚だしいと言わざるをえない。

名古屋ふれあいユニオンは、
「S社はユニオンとの話し合いに応じ、
 きちんと事実を明らかにすべき」だと
考えている。
これは上に記した事実に基づく
名古屋ふれあいユニオンの一貫した考えであり、
「刑法230条の名誉毀損罪」に「該当」するものでは
ない。
S社はこれまで一度たりとも
団体交渉の場で事実を明らかにしようとする姿勢を
見せたことはなく、
名古屋ふれあいユニオンは
そのことにこそ強く抗議しているのである。

またそもそも、
わが国の労働組合法第1条は、
「この法律は、
 労働者が使用者との交渉において
 対等の立場に立つことを促進することにより
 労働者の地位を向上させること、
 労働者がその労働条件について交渉するために
 自ら代表者を選出すること
 その他の団体行動を行うために
 自主的に労働組合を組織し、
 団結することを擁護すること
 並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を
 締結するための団体交渉をすること
 及びその手続を助成することを目的とする」と
定めた上で、
その第2項で、
「刑法(明治40年法律第45号)第35条の規定は、
 労働組合の団体交渉その他の行為であつて
 前項に掲げる目的を達成するためにした
 正当なものについて適用があるものとする」と
している。
ここに記された刑法第35条には、
「法令又は正当な業務による行為は、
 罰しない」とある。
つまり、
労働組合が
「労働者が使用者との交渉において
 対等の立場に立つことを促進することにより
 労働者の地位を向上させること」や
「労働者がその労働条件について交渉するために
 自ら代表者を選出すること」、
「使用者と労働者との関係を規制する労働協約を
 締結するための団体交渉をすること」などのために
行なった正当なものについては、
「法令又は正当な業務による行為」ということになり、
刑法で「罰」することができないのである。

名古屋ふれあいユニオンのこのたびのチラシの配布は、
S社がユニオンとの団体交渉を
開こうとしないという不当労働行為に対し、
まさに
「労働者が使用者との交渉において
 対等の立場に立つことを促進することにより
 労働者の地位を向上させること」や
「労働者がその労働条件について交渉するために
 自ら代表者を選出すること」、
「使用者と労働者との関係を規制する労働協約を
 締結するための団体交渉をすること」を目的に
行なったものである。
内容も事実に即した正当なものであったのですから、
これを刑法をもって罰することなど
できるはずがない。

それだけではない。
わが国の労働組合法第7条は、
「労働者が労働組合を結成し、
 若しくは運営することを支配し、
 若しくはこれに介入すること」を
明確に禁じている。

名古屋ふれあいユニオンの
7月26日のチラシの配布は、
今年4月17日の大会で
無記名・秘密投票によって正当に選出された
運営委員会から、
「同盟罷業を除く争議行為に関する一切の権限」を
委譲されている組合三役の総意に基づき
行なわれたものである。
そうした組合活動に対し、
正確な事実を踏まえることなく
ことの経緯を全く無視し、
「容認されるものではありません」などと主張して
組合に謝罪まで要求したS社の行為は、
まさに労働組合法第7条で禁じられた、
労働組合の運営に対する介入行為に他ならない。

大体、
S社の言い分では、
これまで名古屋ふれあいユニオンの
申し入れた内容については
あたかもきちんと
「書面により誠実に回答してきた」かのように
書いてある。
だが、
事実はそうではない。
実際は、
S社が変形労働時間制を用いていると
主張したことに対して
名古屋ふれあいユニオンが
6月8日の「団体交渉の申し入れ書(三度目)」の中で、
「協定の際の代表選出の方法が『挙手』とありますが、
 両名(筆者注:=Nさん夫妻)は
 それに参加しておりません」と
具体的に指摘したにもかかわらず、
S社は6月23日付の書面の中で、
これに何ら「回答」してはいないのである。

無論 名古屋ふれあいユニオンは、
この件についてS社に書面で回答しろと
言っているわけではない
(もちろん、
 文書でも回答をもらうこと自体を否定するものではないが、
 そのことと団体交渉を開かないこととは
 話が別だ)。
S社が使用者としてNさんらにやってきた行為に
やましいところがないのであれば、
正々堂々と法に従って
団体交渉のテーブルに着くべきだ。
そして自らの見解をその場において明らかにした上で
ユニオンの要求をはねつければよいまでの話なのだ。

名古屋ふれあいユニオンはこれまでにも、
トヨタグループの鋼材メーカー・愛知製鋼や
S社(別会社)・ADOCO・
自由民主党愛知県名古屋市守山区第五支部・
「New club Victoria Secret」などによる
団体交渉拒絶に対し、
果敢に愛知県労働委員会への
不当労働行為救済申立を行ない、
その全てにおいて勝利的和解を勝ち取ってきた。
名古屋ふれあいユニオンは、
組合員に関する労使間の紛争を、
労使の話し合いによって解決することを本分としており、
それだけに、
団体交渉開催の拒絶に対しては、
不当労働行為の最たるものとして
特に厳しい姿勢で臨んでいる。
名古屋ふれあいユニオンは団交拒否を許さない。

もちろん名古屋ふれあいユニオンも、
団体交渉の場で誠実な話し合いを行なう中で、
ユニオンの行なった行為に
「名誉毀損罪に該当するもの」があったと納得した場合は、
率直に会社に対して謝罪をする意思がある。
しかし少なくとも、
7月27日付のS社の「通知書」を読む限り、
名古屋ふれあいユニオンの行なったチラシの配布が
どうして「名誉毀損罪に該当する」のか、
全く理解することができないのである。
名古屋ふれあいユニオンはこのチラシ配布について、
書面による謝罪を行なうかどうかも含め、
団体交渉の場で
S社の言い分にも誠実に耳を傾けて
話し合いを行ない、
事実を明らかにする中で解決したいと会社に伝えた。

すると8月4日、
事実と道理に基づくこうした反論の前に、
ついにS社はこれまでの姿勢を改め、
8月9日午後4時から岡崎市の「竜美丘会館」で
第1回団体交渉が開催されることになった。

すべての くにの はたらたみは、
むすがろう! 


【参考記事】
フタバ産業下請・S社の団交拒否に抗議!
S社と第1回団体交渉開催
S社から回答書
S社事件、円満解決のご報告

労働組合名古屋ふれあいユニオン
雇用形態や国籍に関わりなく、
愛知県下で働くすべての労働者が一人から加盟できる
地域労働組合(コミュニティユニオン)。
「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」加盟。
「コミュニティ・ユニオン東海ネットワーク」事務局団体。
日ごろから組合員の学習会や交流会などを
積極的に企画しながら活動している。
現在、組合員数約200名。
組合員は組合費月額1500円。
賛助会員(サポーター)は年会費5000円。
住所:〒460‐0024
 愛知県名古屋市中区正木4-8-8 メゾン金山303号室
    (JR・地下鉄・名鉄金山駅下車 名古屋ボストン美術館の向かい)
電話番号:052‐679‐3079(午前10時~午後6時)月~金
ファックス:052‐679‐3080
電子メール:fureai@abox.so-net.ne.jp
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ホームページ
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by imadegawatuusin | 2011-08-05 17:10 | 労働運動