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S社から回答書

――会社側、「示談金10万9167円」を提示――

■Nさん「会社はウソ。録音とっておけばよかった」

8月9日の第1回団体交渉の開催を受け、
トヨタ系自動車部品メーカー・フタバ産業の下請会社である
S社が、
8月31日付で名古屋ふれあいユニオンに
FAXで「回答書」を送付してきた。

団体交渉で会社側は、
日系ブラジル人労働者であるNさん夫妻が
自ら会社を辞めたと主張。
それに対してNさんは、
自分は3月4日と3月8日の二度にわたって
Y課長から会社を辞めろと言われたと主張した。
退職届を書いたとされる3月8日の前日である
3月7日には、
3月4日に自己都合で辞めるよう
会社から求められた件について
Nさんは会社を休んで岡崎労働基準監督署に
相談にも行っており、
その際の労基署でのアドバイスに従って、
3月8日には退職届にポルトガル語で
「無理矢理辞めさせられた」と書いたのだと
説明したのである。

Nさんの妻であるRさんも、
3月8日の10時ごろに会社に呼ばれて事務室に行くと、
いきなりY課長から
「はい、これにサインして!」と強く言われたと証言。
夫のNさんから
「会社を辞めさせられる話だろう」と
聞かされていたため、
Nさんが労基署から聞いてきたアドバイスに従い、
「プレッシャーを与えられて辞めさせられた」と
ポルトガル語で記したのだと証言し、
自己都合退職扱いとなっているのは
納得できないと主張した。

それに対して会社側は、
Nさんは「体がきついので退職したい」と自ら申し出、
ポルトガル語での記述についても
そのように説明したと主張。
Rさんについても、
夫が解雇になれば通勤ができないので
会社を辞めると自ら申し出たのだと説明し、
主張は平行線をたどった。

Rさんについては団体交渉の中でも明らかになった通り、
これまでにも夫のNさんが欠勤の日にも
会社に出社してきていた実績がある。
交通費がきちんと支給されるならば、
「夫が解雇になれば通勤ができないので
 会社を辞めると自ら申し出た」という言い分は
通らないのではないだろうか。

Nさんは、
「Y課長と話したとき、
 携帯で録音しといたらよかったよ。
 ずるいな。
 あんな平気でウソつくのおかしいよ」と
大変いきどおっている。

■あれ? 「挙手で代表選出」のはずなのに……

一方、
Nさん夫妻が土曜日に出勤しても
残業手当が出なかったことがあると
訴えている件については、
会社側は当初ユニオン側に、
労働者過半数代表の選出方法を「挙手」と明記した
1年単位の変形労働時間制に関する協定書を送付し、
「当社は変形労働時間制を採用し、
 その旨労働基準監督署にも届出をしております。
 年間カレンダーも本人に渡しております」と主張。
それに対してNさん夫妻は、
「自分は労働者代表の選出で
 挙手をしたことなどないし、
 年間カレンダーももらっていない」と
主張していた。

団体交渉で名古屋ふれあいユニオンは、
会社側代表者として出席していたY課長に、
「あなたは労働者代表の選出、
 挙手しましたか?」と問いかけた。
それに対してY課長は、
「自分は事務所の人間なんで(挙手していない)」と
回答した。
語るに落ちるとはこのことである。

事務所の人間であろうと工場の人間であろうと、
労働者代表は事務所全体の過半数代表でなければ
ならない。
本当に労基署に届け出た協定書に記載されているように、
事業所全体の従業員を集め、
挙手で労働者代表を選出したのか、
極めて疑わしいことが浮き彫りになった。

会社側の杉浦専務も、
「朝礼で(挙手による労働者代表の選出を)
 やったんじゃないかと思う」という
曖昧な回答しかできず、
いつ、
どのような形で労働者代表が選出されたのか、
明解な回答ができなかった。 

挙手による労働者代表の選出が
事実でなかったのだとすれば、
変形労働時間制導入の根拠・前提自体が
崩れることになる。

ところが、
団体交渉を受けての
8月31日付の会社側の「回答書」では、
当初「挙手」によるとされていた
労働者代表の選出について、
「各事業所……毎に
 従業員が自主的に代表者を選出しており、
 弊社としては
 その代表者が適法に選出されたものと信頼して、
 その者と労使協定を締結しています。
 貴団体より指摘を受け、
 改めて各代表者に
 その当時の選出方法を確認したところ、
 労働者全員に口頭で意向を確認し、
 労働者の総意を以て
 自分が代表者に選出されたとの回答でした」と
いうのである。

仮にそうであるならば、
どうして労基署に届け出られた協定書では、
労働者代表の選出方法について、
他に「話し合い」という項目もあったにもかかわらず、
「挙手」という虚偽の届出がなされたのか、
全く説明がつかないことになる。

Nさんは、
「(筆者注:会社は)みんなで手挙げて決めたて言ってた。
 また話変わった。
 ぜんぜん話違うね」と言っている。

また、
「労働者全員に口頭で意向を確認し」とあるが、
少なくともNさん夫妻には
そのような意向確認があった事実はないという。
ブラジル人労働者は
「労働者全員」に含まれないとでもいうのだろうか。

また、
ブラジル人労働者だけではない。
元従業員のM氏も
名古屋ふれあいユニオンの聞き取りに対し、
そのような意向確認は行なわれていないと
言明している。
またM氏が電話で聞いたところによると、
同じく元従業員のT氏も
同様の証言をしているという。

■カレンダー:「本人に渡した」から「職場に貼った」に

また会社側は、
当初は「年間カレンダー」を
「本人に渡しております」と主張していた
変形労働時間の労働者への周知方法についても
言を翻し、
「以前に送付したとおり
 年間休日カレンダーを作成しており、
 それを職場に貼付して
 労働者に周知させておりました。
 また、
 事務室においても
 いつでも要求があれば閲覧できるうように
 備え置いていました」と言いだしたのである。

ユニオンに「以前に送付」された会社側FAXには、
「年間休日カレンダーを作成しており、
 それを職場に貼付して労働者に周知させて」いると
書かれていたのではなく、
「年間カレンダー」を「本人に渡しております」と
書かれていたのである。
個々の労働者に直接配布されていたのか、
単に作成して職場に張り出していたのかは
無視できる範囲を超える違いである。
この違いをなかったことにして、
「以前に送付したとおり」などと
あたかも
以前から一貫した主張をしているかのように言うのは
詭弁である。

また、
Nさん夫妻は年間カレンダーについて、
「今は貼ってるかもしれんが、
 昔(筆者注:=自分が会社にいたころ)は
 貼ってなかった。
 見たことないよ」と言っている。
これはNさん夫妻だけが言っていることではなく、
元従業員のM氏もユニオン側の聞き取りに対し、
職場にカレンダーは貼ってなかったと
言っているのである。
会社側はこれでも
「当社は適法に
 1年単位の変形労働時間制を採用しており、
 それに基づいてN、Rの給与を計算し、
 その全額を既に支給しております。
 これ以上支払うべき金銭はありません」と
言い張るのであろうか。
姑息な言い逃れはやめるべきである。

■「これだけ迷惑かけられて10万円?」

ところで会社側は、
変形労働制は正当であると一方では強弁しながら、
他方では次のような提案を
ユニオンに持ちかけているのである。

「ただ、
 貴団体の意見に基づき、
 仮に変形労働時間制が不適法・無効として
 土日を休日と仮定して計算すると、
 Nにつき21万1359円、
 Rにつき6975円、
 合計21万8334円の未払が発生します。/
 当社としては上記のとおり
 適法に変形労働時間制を採用しており、
 両名に対して一切金銭を支払うべき義務はないと
 考えていますが、
 この問題について早期かつ円満に解決を図るため、
 今回は特別に譲歩し、
 上記金額の半額に当たる10万9167円を
 示談金としてお支払いする用意があります」。

ところがこの「示談金」の支払いには、
次のような条件が付けられている。
「この示談金をお支払いする場合には、
 当社に対して今後一切請求をしないこと、
 本件について
 関係機関及び第三者に他言しないこと等を
 お約束いただきます」。 

つまり、
この「示談金」を受け取った場合は
両名の退職問題もふくめ、
「今後一切請求を」してくるな、
また本件については一切他言するなというのである。
Rさんはこれを聞いて、
「これだけ迷惑かけられて、
 10万円ではすまないね」と言い切った。

そもそも会社側の回答書には、
変形労働時間制問題についての回答はあっても、
Nさん夫妻が主眼とする、
両名の退職が
会社の働きかけによるものであった事実を
認めよという要求には
回答が一切ない。
Nさん夫妻は会社側が
「自己都合退職」扱いで離職票を
職業安定所に届け出た結果、
きちんと会社が「会社都合退職」で届け出ていれば
180日間受給できたはずの雇用保険が、
このままでは
それぞれ90日しか受給できなくなってしまうのである。

Nさん夫妻は、
土日休日に関する21万1359円を
会社が全額支払うのであれば
退職問題も含めた解決も可能であるとしているが、
現状の会社の回答では
到底納得することができないと言っている。
会社との間で話し合いによる合意ができない場合は
提訴も辞さない構えだという。

名古屋ふれあいユニオンは
本件の全体的解決の実現のため、
会社側に対し、
第二回団体交渉の開催を要求した。

ユニオン側は1週間後の9月13日午後6時までに
回答書を送付するよう求めている。

すべての くにの はたらたみは、
むすがろう! 


【参考記事】
フタバ産業下請・S社の団交拒否に抗議!
フタバ産業下請・S社が団交応諾
S社と第1回団体交渉開催
S社事件、円満解決のご報告

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by imadegawatuusin | 2011-09-06 17:45 | 労働運動