■恒例の「駄洒落クイズ」が伏線に
「劇場版コナン」おなじみの恒例行事に、
「駄洒落クイズ」というものがある。
作品の冒頭あたりで何か一つ
必ずダジャレをネタにしたクイズが出題されるのだ。
僕が「劇場版コナン」について常々不満に思っていたことは、
この「駄洒落クイズ」の内容や回答が、
作品自体のその後の展開や構成に
一切関係してこないということだった。
しかし、
この『銀翼の魔術師』は違う。
駄洒落クイズの伏線は、
最後の最後の灰原哀の言葉、
「どうやら、
あなたの辞書にもなかったようね……」で、
みごとに回収されている。
この灰原の言葉を聞いたとき、
僕は正直、
心の底からぐっときた。
■「コナンVSキッド対決」は終始キッドペース
この作品は、
劇場版では2回目となる「コナンVSキッド対決」である。
(「キッド」とは、
『名探偵コナン』の作者・青山剛昌さんの初の長期連載作品である
『まじっく快斗』の主人公をつとめる怪盗紳士のこと。
『コナン』にもしばしば登場する)。
だが今回は、
「2人の対決」という面に限定して言えば、
ほとんど終始キッドのペースで事が進む。
「ビル屋上からの落下」だけが
わずかにコナンの「勝ち点」と言える程度だ。
(しかしコナンは、
この作戦が見事「成功」していたら
一体どうするつもりだったのだろう。
これではキッドが死んでしまっていたような気がするのだが……)。
■「2が割れていたから奇数」?
この作品で、
どう考えても腑に落ちなかったのがコナンの「暗号解読」である。
(大体この手の「暗号解読」は
かなり恣意的なものが多くて、
今まで僕は感心させられた ためしがない)。
特に、
「怪盗キッドは『東京発の』飛行機の中で宝石を盗む」という推理である。
これについてコナンは次のように言っている。
(筆者注:暗号では)スペードの2のカードが半分に割れていた。
あれは、
2で割り切れない奇数を示してたんだ。
……、何で?
いまだにさっぱりわからない。
コナンによると、
東京から出発する「下り」の飛行機の便数は奇数。
東京へ到着する「上り」の便数は偶数であるという。
それはいい。
だが、
なぜ「スペードの2のカードが半分に割れていた」から
「2で割り切れない奇数を示してた」となるのだろうか。
「スペードの2のカードが半分に割れていた」から、
この暗号は「1を示している」というのであればまだわかる。
しかし、
「スペードの2のカードが半分に割れていた」から
「2で割り切れない奇数を示してた」というのでは、
どう考えてもつじつまが合わない。
(大体、「スペード」はどう解いたんだ!)。
むしろ、
「2のカードが半分に割れていた」のだから、
これは「2で割り切れる偶数を示している」と解くべきではないのかとすら
思ってしまうのだがいかがだろうか。
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第1位
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第2位
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第3位
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酒井徹
「名探偵コナン『ベイカー街の亡霊』と『自己犠牲』」