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筒井旭『CHERRY』について

■「純情ラブコメ」の仮面の裏にミステリー 
筒井旭『CHERRY』(集英社マーガレットコミックス)の裏表紙には、
次のような紹介文が載っている。

主人公・詩(♂)はオタク。
意識不明の重態になった双子の妹の代わりに
告白することに!?
しかも、
女に間違われ男とつきあうハメに!
純情なオタクが繰り広げるラブコメディ。


しかし、この紹介文が曲者なのだ。
だまされてはいけない。
この作品は「純情ラブコメ」の仮面をかぶった
ミステリー作品である。
僕はすっかりだまされてしまったが……。

一見本筋とは関係なさそうなエピソードが、
意外な形で伏線となって終盤で生きるその手法は
「お見事!」としか言いようがない。
僕の好きな推理小説家・法月綸太郎さんの
『二の悲劇』(祥伝社文庫)という作品で
同じようなトリックが使われていたことがあったが、
まさか『マーガレット』に掲載された純然たる少女漫画を読んでいて、
こんな大技をくらわされるとは思わなかった。
最後の最後に物語の構図そのものをひっくり返す
どんでん返しが待っている、
とだけ予告しておこう〔注1〕。

美女装漫画としてもかなりのレベルに達している。
短いけれど、読んだあと、
心がほっと温かくなり、
誰かにやさしくなれる気がする……。
『CHERRY』(チェリー)は そんな作品である。

〔注1〕この「どんでん返し」は、
もちろん最初からきちんと計算されたものである。
184ページを丁寧に読めば、
そのことがよくわかるだろう。
この作品を読み終わったらもう一度、
184ページを参考に、
26ページの「奏の手帳」、
そして、
48~51および58~59ページの
「国分先輩の反応」をじっくり読み返してほしい。
この作品の構造が良く理解できるはずである。
(中には事態がよく飲み込めないまま
 読了する人もいるようなので)。

参考お勧め記事
「筒井旭『汝なやむことなかれ』について」

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酒井徹お薦めの女装漫画》
1.やぶうち優『少女少年』シリーズ(Ⅰ~Ⅶ)、小学館てんとう虫コミックススペシャル
2.吉住渉『ミントな僕ら』全6巻、集英社リボンマスコットコミックス
3.志村貴子『放浪息子』エンターブレイン
4.なるもみずほ『少年ヴィーナス』全4巻、角川書店あすかコミックス
5.松本トモキ『プラナス・ガール』ガンガンコミックスJOKER

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【本日の読了】
筒井旭『CHERRY』集英社マーガレットコミックス(評価:4)
書評は上記。



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by imadegawatuusin | 2005-11-19 04:27 | 漫画・アニメ