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安易な「天罰論」は危険

「お天道様の裁きは恐ろしいぞ」との投書が
朝日新聞5月27日の投書欄に載った。
投書は、
「強引なやり方で財産を築いた」知り合いの「息子や孫」が
「事故や火事など不幸に多数見舞われた」ことを
「お天道様の裁き」であるという。
そして、
「『お天道様の裁きは何代も続き、恐ろしいぞ』と
 大人も子どももみんなが信ずるようになれば、
 いい世の中になる」というのだ。

「お天道様」が本当に正しいものであるならば、
どうして直接本人に裁きを下さず、
罪のない子や孫に
事故や火事などの不幸をもたらすのだろうか。
こうした「世代を超えた裁き」を容認する姿勢は、
血筋による差別を正当化する
不義不正の考え方に結びついていく。
安易な「天罰論」は実は危険な考えなのだ。

相手側(がわ)の過失が100パーセントの事故というのは
珍しくないし、
火事の原因の第一位は放火である。
事故や火事といったものは
本人の落ち度とは関係なく起きるときは起きるものだ。
それなのに
世の不幸について被害者側に落ち度を求める「天罰論」は、
ただでさえ傷ついている被害者側を
二重に苦しめる妄説だ。
「悪いことをすると事故や火事にあう」という考えが
正しいとなれば、
事故や火事にあった人を
「悪いことをした人」ではないかと
見なければならなくなるわけである。

検証不能な迷信には弊害が多い。
そうした迷信は「いい世の中」などつくらない。
ありもしない「天罰」よりも、
日本を代表する高級紙である朝日新聞に
こうした荒唐無稽(こうとうむけい)な投書が
堂々と載っていることの方が
私にはよほど「恐ろしい」。


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by imadegawatuusin | 2013-08-28 18:09 | 文化
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