島田裕巳『創価学会』について

■「学会の天敵」新潮社から出た本のはずが……
島田裕巳さんの『創価学会』は新潮新書の1冊である。
つまり、新潮社から出版されている。

知っている人は知っていると思うが、
創価学会と新潮社は非常に仲が悪い。
『週刊新潮』などを読むと、
しょっちゅう創価学会のことをボロクソに書いた記事が出てくるし、
逆に創価学会系の『潮』や『第三文明』などを読むと、
毎号のように『週刊新潮』のことを
「人権侵害常習誌」などと無茶苦茶にけなしている。

両者とも電車に中吊り広告をよく出しているので、
通勤・通学途中に見て、
知っている人も多いのではないか。
このようなものばかり見ていると、
両方とも、
ほとんど感情的になっているのではないかというような感じすら
受けてしまう。

やれ『週刊新潮』○月○日号の記事は最高裁で断罪されたとか、
やれ創価学会は重箱の隅のほんの些細な間違いをあげつらって、
あたかも記事全体がデタラメであるかのように宣伝してるだの……。
部外者には、
もはや何がなんだかさっぱりわからない状態になっている。

そこで、
話は元に戻るが、
この本は新潮社から出版されている。
当然 創価学会のことを
クソミソにけなした本なのだろう……と思って読み進めてみた。
が、意外なことに、
僕はこの本を読み終えたとき、
自分の中の「創価学会アレルギー」とでもいうべきものが
薄らいでいることに気がついた。
少なくともこの本を読む前と比べれば、
創価学会という宗教団体に対する好感度が
確実に上昇している自分に気付いたのである。
これは意外な体験だった。

この本の著者である島田さんは、
本書の中で繰り返し、
次のような批判を述べている。

創価学会については、
これまで数多くの書物が刊行されている。
……しかし、
その多くは、
創価学会のスキャンダルを暴こうとするもので、
客観的な立場から
創価学会についての情報を
提供するものにはなっていない。(本書18ページ)

創価学会とは何かについて、
国民の間に広く知識が行き渡っているとは言えない。(本書190ページ)


つまり、
『創価学会の指導者たちが
 裏でこんな悪いことをしていた』的な報道はあっても、
では一般の創価学会員たちはどうしてそのような宗教を信じ、
何に惹かれて活動を続けているのか、
創価学会という宗教団体は一体どのような教義を持ち、
具体的にどのような活動をしているのか……という基本的な情報を、
客観的な立場から
ごくまっとうに解説した本が見当たらない、ということなのだ。

そういえば以前、
自民党の武部幹事長が、
『日本では共産党員も創価学会員も、
 正月には神社に初詣に行く』などと放言し、
後に陳謝させられるという騒動があった。
公明党と組んで連立政権を構成している
自民党の幹事長でさえ、
創価学会の信仰について
浅はかな理解しか持っていないのだという事実を
露呈した事件であったといえる。

創価学会を信仰するのもいい。
批判するのもいい。
だがいずれの立場を取るにしても、
まずは「創価学会とは何か」という基本的な部分を
きちんと押さえておかなければそもそも話にならないはずだ。

本書はそのための好著である。

【本日の読了】
島田裕巳『創価学会』新潮新書(評価:4)
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by imadegawatuusin | 2006-05-25 10:40 | 仏教