■おすすめ先行文献●
yuu氏「望月マユカ編~ライバルのあなた~」「yuuの少女少年ファンページ」を運営する
yuuさんによる
『少女少年II』のサイドストーリー。
原作を知る人間なら思わずニヤリとしてしまうような箇所が盛りだくさんで、
オタク心を大いにくすぐられる力作。
こういう楽しみこそ、
まさにパロディーの醍醐味というものである。
また、そうした部分を抜きにしても、
お話として とてもいい雰囲気で、
後味のよい作品に仕上がっている。
(僕は特に、
作品の最後にある
「マユカはほんの少しだけ、一葵に近づいた」という部分にぐっときた。
これは、直接的にはマユカの「行動」についての記述なのだが
〔つまり、文字通りマユカが一葵の側に寄ったということ〕、
同時に精神的な意味でも
マユカが「ほんの少しだけ、一葵に近づいた」ことが感じ取れる。
負けず嫌いでプライドが高く、
「自分から誰かに歩み寄る」ということがいかにも苦手そうな彼女が、
あえて自分から一葵の側に近づいたという意味は
非常に大きい。
もちろんそれは、
「ほんの少しだけ」だったのだから、
周りのみんなも、
当の一葵も多分気づきはしなかっただろうが、
マユカ本人は自分がやったことを当然知っているわけで、
そういう意味では「小さな一歩だけど大きな一歩」を踏み出したわけだ。
ここから、彼女にとっての
「新しい
ドラマが
始まる」〔本書207ページ〕のだろうという予感を抱かせる)。
●
89氏「もらう人」「少女少年応援室」の
「SS保管庫」(
「頂き物」コーナー)に収録されている、
『少女少年II』のサイドストーリー。
地の文もなく、登場人物紹介もない。
にもかかわらず、
どのせりふを誰が言っているのかは、
原作を知る人間には一目瞭然。
数人の登場人物が二言三言会話を交わすだけの
極めて短い超掌編作品なのだが、
これほどまでに登場人物たちの心情が
読む者の胸に迫ってくるのはどうしてだろう。
「料理上手」という一葵の特性も最大限に生かした
珠玉の一品。
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『少女少年』シリーズ(Ⅰ~Ⅶ)、小学館てんとう虫コミックススペシャル
2.吉住渉『ミントな僕ら』全6巻、集英社リボンマスコットコミックス
3.志村貴子『放浪息子』エンターブレイン
4.なるもみずほ『少年ヴィーナス』全4巻、角川書店あすかコミックス
5.松本トモキ『プラナス・ガール』ガンガンコミックスJOKER
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