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トヨタ車体:パソコン持出し・盗難で出向社員処分

――「上司黙認」……背景に「持ち帰り残業」の常態化か――

■被処分者は機密管理部署の職制
トヨタグループの車体メーカー・トヨタ車体
6月7日、会社のパソコンを無断で持ち出し、盗難に遭ったとして、
子会社・トヨタ車体精工に出向していた社員とその上司の
懲戒処分を公示した。

公示によると、
処分を受けた当事者は
「機密管理を社内に周知徹底する部署の職制でありながら
 ……パソコンを社外に持出し盗難に遭」ったとされ、
またその上司は、
「機密管理を社内に周知徹底する責任者の立場にあり
 かつ、部の機密管理責任者であるにもかかわらず
 部下の社外への会社パソコンの持出しを黙認しており
 部下に対する管理監督を怠った」とされている。

公示によると、
パソコンを社外に持ち出し、盗難に遭った当事者の処分は
「出勤停止3日間」、
パソコン持ち出しを黙認していた上司の処分は
「けん責」ということである。

トヨタ車体は公示の中で、
「かかる不祥事件の再発防止を強く要請する」としている。

■持ち帰り残業こそ「労使協力」して根絶を!
当事者が「機密管理を社内に周知徹底する部署の職制」であった以上、
持ち出されたパソコンにどのような情報が入っていたのか、
気になるところではある。
顧客情報や取引先情報、
従業員情報などが悪用されるといったことがないことを願うばかりだ。

しかしそれ以上に見過ごせないのが、
その上司が、
「部下の社外への会社パソコンの持出しを黙認して」いたというくだりである。

この事件に関する限りは、
会社は、
「社内ルールに反してパソコンを社外に持ち出された上に盗難され、
 損害をこうむった被害者」であるということになる。
しかし、もしこの出向社員がパソコンの盗難に遭わず、
家で仕事を済ませたあと、
「無事に」そのままパソコンを翌日会社に返却していた場合どうなるか。
会社は、本来払うべき残業代を払わないままこの出向社員に
タダ働きをさせ、
不当な利得を得ていたということにはならないか。

トヨタ車体労働組合の掲示板に張ってあるポスターにもあるとおり、
「不払い残業は法律違反」である。
近年トヨタグループでは、
出門・入門管理を徹底するなどして、
労使を挙げて不払い残業根絶に向けて努力をしている。
これは大いに評価されるべきだ。

しかし、いかに厳しく出入門管理を行なっても、
家にパソコンを持ち帰り、
「持ち帰り残業」をされていたのでは、
不払い残業はなくならない。
むしろ、誰がどのくらい不払い残業をしていたのか、
かえって見えづらくなる上に、
万一労災に遭ったときどうなるのか、
そして今回の件のように情報漏えいがあったとき
誰が責任を取るのかなど、
通常のサービス残業よりもかえって責任の所在が不明確となり、
性質が悪いとすら言える。

上司が「部下の社外への会社パソコンの持出しを黙認して」いた以上、
他に「無事に」持ち帰り残業を終えて会社にパソコンを返却し、
タダ働きを強いられ続けてきた社員もいたのではないかとの疑いを
拭い去ることができない。
その場合、会社は一方的に「被害者」とばかりいうわけには
いかないことになるのではないか。

持ち帰り残業の横行は、
経営者側には今回の事件のような「情報漏えい」のリスクを高め、
労働者側には「見えない不払い残業」の増大を招くものであり、
こうしたものこそ「労使協力」して根絶してゆかなければならない。
そうした意味で僕たち労働者の側の責任もまた、
大きいと言わなければならないだろう。
by imadegawatuusin | 2007-06-18 14:46 | 労働運動