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愛知製鋼株主総会:労組が会場前抗議行動

――偽装請負・首切り・団交拒否の責任を問う――

■愛知製鋼における重層的な偽装請負の実態を告発
6月21日、
トヨタグループ13社の一つ、愛知製鋼(旧豊田製綱)の株主総会が、
愛知県東海市の本社において行なわれた。
会場前では愛知県の地域労組・名古屋ふれあいユニオンが、
同社で偽装請負の状態で働いてきた労働者らでつくる「知多分会」と共に、
愛知製鋼における首切りや団体交渉拒否、
およびその背景にある前近代的な重層的偽装請負に関する
抗議・宣伝活動を行なった。

名古屋ふれあいユニオン知多分会に結集した労働者たちは、
愛知製鋼の本社地区鍛造工場において、
愛知製鋼の子会社・アイチセラテックから業務を「請け負っている」三築、
および、その三築から業務を「請け負っている」協力会社の従業員である。
(さらに工程内には、
 その協力会社からさらに業務を「請け負っている」協力会社まで存在する!)。

書類契約上、これらの契約は「業務請負」の形式をとってはいるが、
実際には、
三築およびその協力会社の従業員らの多くは
直接的な請負先であるアイチセラテックを飛び越えて、
その親会社である愛知製鋼の社員から指揮・命令を受けており、
同一工程で複数の請負会社の労働者らが混在して働いているという、
典型的な偽装請負、しかもきわめて重層的な偽装請負の状態にあった。
さらに愛知製鋼は、
三築やその協力会社に対しては
直接的な取引関係を持っていない(ことになっている)にもかかわらず、
それらの企業の一般従業員に対して社内で「人事異動」書なるものを作成、
直接の請負先であるアイチセラテックの頭越しに
個々の請負労働者らに「人事異動」を命じていた事実が
名古屋ふれあいユニオンの入手した内部文書によって明らかになっている。

どうして直接的な契約関係のない、
別の会社の人事問題にまで口出しし、
その個々の一般従業員に
愛知製鋼の名で「人事異動」を命じたりすることができるのか。
本来ならば、
これはとんでもない越権行為であり、
いわば「内政干渉」にあたる。

しかし、このような「異常」な事柄が
異常と思われず平然と行なわれてきたという点にこそ、
愛知製鋼におけるこの重層的偽装請負の本質がある。
一言で言えば、愛知製鋼は、
三築以下の「下請け」労働者らを仕事において指揮命令するにとどまらず、
労務管理や人事管理にいたるまで完全に掌握していたのであり、
それが「異常」と認識できないほどまでに、
「下請け」労働者は完全に愛知製鋼の管理の下に働いてきたということなのだ。

しかし、昨年夏に始まった朝日新聞・特別報道チームによる
「偽装請負追及キャンペーン」以来、
偽装請負に対する社会の目は非常に厳しいものとなってきた。
こうした事態を受けてのことなのか、
愛知製鋼は請負関係の整理・再編にようやく乗り出し、
その手始めとして三築との契約を9月30日で打ち切ることを決定。
これを受けて三築では、
従業員の解雇が開始されたのである。

しかし、これはまったく逆立ちしたやり方である。
偽装請負は、
実態としては派遣労働者である人々を「請負」労働者として扱うことで、
企業側に本来 課せられる社会保険への加入義務や直接雇用義務、
労災への注意・安全配慮義務などの
労働者に対する様々な責務を免れるという違法行為だ。
したがって、こうしたやり方を清算するというのであれば、
まずは労働者に対して
「今まで偽装請負の状態で働かせてきて悪かった」と頭を下げた上で、
「これからは直接雇用で健全な雇用形態に切り替えるので、
 今まで以上に頑張ってください」と言うのが筋である。
それを、自分たちが違法な状態で働かせ、
その結果 不利益をこうむってきた労働者の側を
あたかも「違法な存在」であるかのようにみなし、
邪魔者扱いして切り捨てることで取り繕おうというのであれば、
まったくもって本末転倒な話といえる。

偽装請負労働者らは、
名古屋ふれあいユニオン知多分会を結成し、
愛知製鋼に対して団体交渉の申し入れを行なった。
しかし会社側は、
知多分会の労働者らとの間には直接的な雇用関係がないとして、
団体交渉の申し入れを拒否してきた。
しかしこれは、
「本物の請負関係」においてのみ成り立つ論理なのである。
常日頃は自社において労働者らに指揮・命令し、
あまつさえ個々の労働者に対して「人事異動」まで命じておきながら、
いざ人事問題が起こった際には「うちは関係ない」というような虫のいい理屈が
通るはずがないのである。

■「トヨタ式ビラ配り対処法」は発動されず
さてトヨタといえば、
世間では生産工程における合理化を図る「トヨタ生産方式」が有名であるが、
トヨタにはこのほかに、
ビラ配りに対する独自の「合理的」な対処法、
「トヨタ式ビラ配り対処法」が存在する。
労働組合や市民団体がビラをまきに来ると、
社員が「回収箱」なるゴミ箱を持ってきて、
うっかりビラを受け取ってしまった人からビラを取り上げ、
捨てさせる。
主に、全労連などが中心になって行なわれる、
年に一度の「トヨタ総行動」のときなどに見られる行動形態である。

相手がトヨタグループということもあって、
僕たちもビラまきを行なう際、
こうした妨害行動が行なわれることを非常に心配していた。
しかし、今回のビラまきはきわめて平穏に、
成功裏に執り行なわれた。
愛知製鋼の従業員も、そこに勤める派遣社員も、
株主総会に出席する株主さんも次々とビラを受け取っていく。
知多分会の労働者によると、
工場長さんも笑顔で(?)ビラを受け取っていったとのことである。

一度車で本社敷地内の駐車場に停車した株主さんが、
わざわざ門の外までやってきて
僕に「これは何の問題か?」と質問し、
説明に耳を傾けた後、
「そうかそうか。もう一枚ちょうだい」と言って、
ビラを二枚持って株主総会会場に赴くといった場面もあった。
道行く市民のビラの受け取りもきわめて良好である。
(やはり株主様の前では、
 ゴミ箱を持ってきて「ここに捨てろ」というような「トヨタ式」は
 発動しにくかったのだろうか)。

多くの株主・労働者・市民の皆さんの注目も集め、
抗議・宣伝活動は
まずまずの成果を上げることができたのではないかと思っている。
後は愛知製鋼が、
これまでの労働者の雇用実態を踏まえ、
速やかに、誠意を持って労働組合との話し合いに応じることを
願うばかりだ。


以下は、当日まいたビラの文面である。

《愛知製鋼は偽装請負を背景とした下請け労働者の
 雇用問題に関し労働組合との交渉に応じよ!》
愛知製鋼の株主の皆さん、
従業員の皆さん、
東海市の市民のみなさん

私たち名古屋ふれあいユニオン知多分会は、
愛知製鋼の鍛造工場内で働く
下請企業の労働者が参加する労働組合です。
今、愛知製鋼で起きている事態についてご報告し、
ご協力をお願いしたいと思います。

すでに新聞報道されている通り、
愛知製鋼のグループ会社アイチセラテック株式会社と
業務請負関係にある有限会社三築において、
当労組組合員が4月中旬に解雇され、
5月28日付で名古屋地方裁判所に対し
地位保全など仮処分命令の申請をしています。

同解雇の背景として、
アイチセラテックが9月30日をもって
三築との契約を終了する、という動きがあります。
さらに6月に入り、
6月末日をもって三築および同社の協力会社の労働者が、
愛知製鋼の「人事異動」書により指名された上で
三築および同社協力会社より職場移動を命じられています。
同じ立場で働く約200人の労働者は、
今深刻な雇用不安にさらされています。

三築および同社協力会社の労働者は、
以前より愛知製鋼従業員と混在して働き、
同社従業員の管理者から
指揮命令を受けています。
また今回の移動命令についても
愛知製鋼の人事権の行使であることは明らかです。
したがって愛知製鋼とアイチセラテック、
アイチセラテックと三築、
三築と同社協力会社との間の業務請負契約は偽装されたものであり、
現状は労働者派遣法および職業安定法違反の状態であると
当労組は考えます。

当労組は労働者の雇用の安定を最重要と考え、
現在愛知製鋼で進められている請負契約終了や
人員異動の結果行なわれる解雇・退職勧奨を
到底認めるわけにはいきません。
そして偽装請負を行なってきた愛知製鋼には、
該当する下請け労働者を
直接雇用する責任があると考えます。

この件について当労組は
愛知製鋼に対し6月11日付で団体交渉の申し入れを行ないましたが
同社は交渉を拒否しています。
会社のこの姿勢は、
トヨタグループの中心的企業としての社会的責任を
放棄したものと言わざるをえません。

私たちは引き続き愛知製鋼に対し、
従業員の雇用の安定を図りながら
違法な偽装請負状態の改善を行なうために
当労組との交渉に応じるよう、
求めていきます。

ご支援をよろしくお願いいたします。

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日ごろから組合員の学習会や交流会・相談会などを
積極的に企画しながら活動している。
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by imadegawatuusin | 2007-06-25 04:11 | 労働運動