――思考停止の「ご冥福をお祈りする」――
■「不屈の唯物論者」の死 日本共産党の宮本顕治元議長が亡くなった。 98歳。 工場に向かうバスの中で、 ラジオのニュースでその死を知った。 「約半世紀にわたり日本共産党の指導的地位にあった 宮本顕治氏が……」とラジオから流れる放送を聞き、 (良くも悪くも)そのすごさを改めて実感する。 戦前日本共産党の最後の中央委員、 獄中非転向12年、 そして、戦後第六回全国協議会から90年代の引退まで、 一貫して党の最高指導者の地位にあった。 「ついにこの時がきたんだなぁ」と感慨深いものがある。 これを受けて 今朝の「朝日新聞」の政治面には、 「与野党から悼む声」というコーナーが設けられ、 各党代表らのコメントが掲載されていた。 ただ、読んでいてどうしても違和感がぬぐえないのが、 ほとんど決まり文句的に多用されている 「ご冥福(=冥界での幸福)をお祈りいたします」というフレーズだ。 これは、 死者の魂や天国の存在を断じて信じることのない 「不屈の唯物論者」であった故人に対し、 かえって失礼な物言いではないだろうか。 ざっと抜粋してみると…… 安倍首相 コメントを求められたどの政治家も、 異口同音に「ご冥福をお祈りする」と回答する。 まるでテープレコーダーのようである。 これはほとんど条件反射の世界であって、 個性も思想信条も 何もあったものでない。 死んだ本人が冥界の存在など信じていなかったというのに、 その人が死んだとたんに「ご冥福」「ご冥福」と言われたのでは、 ほとんど嫌がらせのようにすら思えてくる。 ■ただ一人異彩を放つ福島氏のコメント その中で、ただ一人、 「心からお悔やみを申し上げます」とのみ述べ、 宮本元議長の「ご冥福」を祈らなかった政党代表がいる。 社民党の福島みずほ党首である。 短いコメントであったが、 あくまで「ご冥福」を祈らない福島党首の姿勢は、 並み居る政治家の中でひときわ異彩を放っている。 (他の新聞を見ても、 多くの政治家が「ご冥福をお祈り」する中、 福島党首だけは「お悔やみを申し上げます」として、 「冥福」を祈らない姿勢を鮮明にしている)。 僕も、 死後の魂も天国の存在も信じない唯物論者として、 故人の冥福(=冥界での幸福)は祈らない。 ただ、お悔やみを申し上げるだけである。 これは別に、 僕が特別 冷たい人間であるからではない。 信じてもいないものを祈ることはできない、という ごくごく当たり前の話をしているだけだ。 僕が死んだときにも、 できれば「冥福」は祈ってもらいたくないと思っている。 人が死んだとき、 とりあえず「ご冥福をお祈りいたします」と、 意味も考えずに言っておけばいいと考えるのは 単なる思考停止である。 世の中には、 死後の魂とか死後の世界といったものを 信じない、信じられない人もいる〔注1〕。 そのことを一人でも多くの人に、 頭の片隅にでも置いておいてもらいたい。 〔注1〕他にも、 極楽往生の可否は 阿弥陀さまの一存によってのみ決まることであるので 他の人間が「祈」っても意味がないとし、 凡夫にできることはあくまで極楽往生を「願う」ことだけであるとする 一部の浄土真宗信者など、 死後の世界の存在を信じる宗教人であっても 「ご冥福」を祈らない人は存在する。
by imadegawatuusin
| 2007-07-19 07:29
| 政治
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名前:酒井徹
生まれた日:昭和58(西暦1983)年8月22日 世わい:41歳 住みか:〒454-0013 日本国愛知県名古屋市中川区八熊一丁目12番6号 明治第4ビルディング205号 電話番号:070-4531-5528 電子郵件宛先:sakaitooru19830822@gmail.com ミニブログ(微網誌):https://twitter.com/SAKAI_Tooru カテゴリ
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