――「全身全霊」 国会での所信表明のわずか2日後――
■高支持率で出発した内閣の不名誉な退陣
本日、
安倍晋三首相が辞任の意思を表明した。
安倍首相の早期退陣を求めてきた人間の一人として、
とりあえずはこの政権の退陣を率直に歓迎したい。
ただ首相は、
そもそも
先の参院選で
「安倍内閣NO!」の民意が明らかになった時点で
辞任しているべきだったのではなかったか。
内閣改造で新しい大臣を任命し、
国会で所信表明演説をした直後、
代表質問の直前というこのタイミングで
突然政権を投げ出すというのは、
正直 理解しがたい行動だ。
国会で表明した「所信」は一体何だったのか。
「適材適所で強力な布陣」と自賛したところの改造内閣は
一体何だったのか〔注1〕。
新しい大臣に対しても、国会に対しても、
ずいぶんと失礼な話ではある。
「辞め方」としては最悪だったと言えるかもしれない。
政治的姿勢から引き際まで、
まったく僕の考えとは相容れなかった内閣であった。
〔注1〕内閣総理大臣が辞任すると、
「適材適所で強力な布陣」と自賛したところの改造内閣各大臣も含め、
内閣は総辞職となる。
(「憲法第七十条:内閣総理大臣が欠けたとき、
……内閣は、総辞職をしなければならない」)。
■安倍首相のただひとつの「功績」
ただ実は、
退陣した安倍首相に関しては、
僕はひとつだけ評価していることがある。
それは改造内閣の発足に当たり、
閣僚が「政治とカネ」を巡る疑惑を持たれた場合、
「十分な説明ができなければ、
(内閣を)去っていただく」と明言した点である。
参院選の前までは安倍首相も、
疑惑の閣僚が法的な義務がないことを盾に説明を拒む対応を、
「法令にのっとっている」などとかばってきた。
しかし法的には、
現行犯で逮捕された殺人犯にすら
黙秘権が認められているのである。
「疑惑」が報道された程度の人間に
無理やり説明を強いる法的義務などあるはずがない。
しかし例えば、
水道代・冷暖房費が無料の議員会館に事務所を置きながら
毎年数百万円の水光熱費を計上しているような大臣がいた場合、
一般国民が「どうなってるの」と疑問に思い、
説明を求めるのは当然のことだ。
法的な義務とは別に、
一国の大臣としての適格性というものがある。
その意味でも、
「説明できねば去る」という安倍首相の方針は明快だった。
今後首相が変わっても、
政権党が変わっても、
安倍首相のこの方針だけは永遠に継承してほしい。
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