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名高裁:「派遣先の受入拒否、解雇理由とならず」

――NFU組合員・平田さん、高裁でも「解雇無効」――

■ラポール――武蔵精密の「偽装雇用」再び断罪
浜松市に本社を置く人材派遣会社・ラポールサービスから
不当に解雇されたとして、
名古屋ふれあいユニオン
日系ブラジル人組合員・平田実男さんが
地位確認などを求めていた訴訟の控訴審判決が
11月16日、
名古屋高等裁判所であった。

名古屋高裁は
「解雇は権利の濫用にあたる」として
平田さんの訴えを認めた名古屋地裁の判決を支持し、
一審通り、
ラポールサービスに対して平田さんへの解雇の無効と、
賃金の支払いとを命じる判決を言い渡した
(名古屋高等裁判所平成19年(ネ)第677号 地位確認等請求控訴事件
 原審 名古屋地方裁判所平成18年(ワ)第3833号)。

ラポールサービスを巡っては、
今年5月にも名古屋地裁で、
名古屋ふれあいユニオンの
副委員長・平良マルコスさんに対する解雇を
無効とする判決
が言い渡されており
(こちらは会社側は控訴せず、確定)、
これで名古屋ふれあいユニオンはラポールサービスを相手に、
実に「裁判3連勝」の快挙を成し遂げたことになる。

■唯一の派遣先の受入拒否も「解雇理由」と認めず
判決によると平田さんは、
2004年9月、
ラポールサービスの派遣社員として雇用され、
ホンダ系自動車部品メーカー・武蔵精密の工場に派遣、
工務洗浄部門でのケース洗浄などに従事していた。
ところが平田さんは1年後の2005年9月、
3ヶ月間だけ派遣先の武蔵精密に
「直接雇用」されることとなる。
これは、
当時の労働者派遣法で、
製造業への労働者派遣期間が
最大1年と制限されていたことから、
これに抵触する前に、
3ヶ月間だけ形式的に武蔵精密の「直接雇用」という形を取って、
期間制限を免れようとする脱法的行為であった。

武蔵精密が平田さんを3ヶ月だけ「直接雇用」することになった際、
ラポール社は平田さんに、
武蔵精密の雇用期間が終わっった後もラポール社が雇用して、
それまで通り武蔵精密で働いてもらうことになると説明していた。
そして、
この3ヶ月間の「直接雇用」期間中も、
実際には平田さんらラポールから来た「直接雇用」労働者には、
ラポールサービスの通訳が付き、
住宅もラポールサービスの寮に住まわせ続け、
労働者の管理もラポールサービスが行なって、
ラポールサービスは「管理料」名目で武蔵精密から金を受け取り続ける、
いわば「偽装直接雇用」状態にあった。

よって平田さんは、
「直接雇用」期間中も従事する仕事は
派遣社員時代と何ら変わるところがなかった。

ところが平田さんはその3ヶ月後、
派遣先である武蔵精密が平田さんの受け入れを拒否しているとして、
ラポールサービスから解雇の通告を受けたのだ。

ラポールサービスにとって武蔵精密は、
その子会社のムサシ鉄工と合わせ、
事実上当時 唯一の派遣先だったのであり、
ラポール社はそれ以外の派遣先を持っていなかった。
それゆえラポール社は、
その武蔵精密から平田さんの受け入れを拒否された以上、
「やむを得ず解雇した」のだと主張していたのである。

しかし6月の名古屋地裁判決
(平成18年(ワ)第3833号地位確認等請求事件)は、
以下のとおり、
ラポール社の主張を次のように明確に退けた。

上記事実関係によれば,
本件雇用契約を解約する旨の明示的合意はなく,
そのような黙示の合意があったとも認められない。
すなわち,
自社社員を他社に使用させる形態としては出向があり,
この場合,
出向元会社との雇用契約を維持したまま
出向先会社との間でも雇用契約が成立するのであり,
武蔵精密との雇用契約が成立したからといって,
被告(酒井注:=ラポール社)との間の本件雇用契約が
解約されたとはいえない。
ましてや,
本件においては,
武蔵精密との雇用契約は3ヶ月という短期のものである上,
その後は被告の社員として派遣されることが予定されており,
このような実態に鑑みると,
武蔵精密との雇用契約期間中は
被告に在籍したまま出向しているに過ぎないというのが
当事者の合理的な意思であると
解することができる。……

……本件雇用契約の合意解約が認められない以上,
平成17年12月1日以降雇用しない旨の通告は
解雇の意思表示に他ならないというべき
(以下「本件解雇」という。)ところ,
派遣先である武蔵精密が
原告(酒井注:=平田さん)の受け入れを拒否したというだけでは,
客観的に合理的な解雇の理由があるとはいえない。
けだし,
本件雇用契約は,
被告と武蔵精密との間の派遣契約とは別個の法律関係であり,
前者が後者の影響を直接受けることはないからである。
また,
これによって,
原告が被告に復帰せざるを得なくなれば,
被告のように派遣先を一社しか有しない場合には
対応に困難をきたすことになるが,
それも,
複数の派遣先に
所定の期間に限って労働者を派遣するという方法であれば
支障がなかったはずであるのに,
被告が武蔵精密に協力して
派遣可能期間を超えて
同一の職場で同一の労働者を稼動させていた結果,
そのような事態を招いたこと,
さらには,
上記理由による解雇を有効とすれば,
労働者を恣意的な理由で解雇することも可能になり
相当ではないことからしても
上記判断を左右するものではない。

……以上によれば,
本件解雇は,
社会通念上相当として是認できないものであるから
権利の乱用に当たり,
その余の点を検討するまでもなく無効である。


名古屋地裁判決は、
武蔵精密による「偽装直接雇用」期間について、
実際にはラポール社に在籍したままでの「出向」であり、
その間も雇用契約は維持されていたと
職場の実態に照らして認定。
「派遣先が○○さんを入れてくれるなと言っているから」
というような解雇理由を認めれば、
派遣先が労働者を恣意的な理由で切り捨てることも可能になるので、
たとえそれが
ラポール社にとって事実上唯一の派遣先である
武蔵精密の意向であっても、
それは正当な解雇理由とは認めることができないと断じたのである。

「唯一の派遣先に受け入れを拒否されても、
 解雇を有効とは認めない」という一審判決は、
非常に画期的なものであった。
そして、16日の高裁判決もまたこの原判決を支持し、
次のように認定したのである。

原判決認定のとおり,
武蔵精密が被控訴人(酒井注:=平田さん)を直接雇用するに至ったのは
被控訴人の事情によるものではないこと,
直接雇用の期間は3ヶ月間と短期間であるにもかかわらず,
本件雇用契約が終了することは
被控訴人にとって不利益が大きいことからすると,
武蔵精密との直接雇用により本件雇用契約が
解約されたと認めることはできない。
そうすると,
控訴人(酒井注:=ラポール社)と
被控訴人間(酒井注:=平田さん)の本件雇用契約が
存続していると認定した上,
武蔵精密との雇用契約が成立した実態を
出向と評価した原判決に
事実誤認はない。
控訴人の主張は採用することができない。

……
以上によれば,
原判決は相当であって,
本件控訴は理由がないから棄却する


名古屋ふれあいユニオンの浅野文秀委員長は、
自らのブログ・「ユニオン活動日誌」の中で、

派遣会社で働く全てのブラジル人に
大きな勇気を与える結果であり、
大いに宣伝していきたい。
と同時に、
Hさん、マルコスさんに対する雇用責任を、
ラポールサービス及びその親会社である三共梱包に対し、
今後もしっかり取らせる必要がある。
その意味ではこれからが勝負だ。


と述べている。
ラポールサービスと武蔵精密との
脱法的「偽装雇用」の実態を断罪したこの判決は、
武蔵精密およびその関連企業において
現在「雇い止め」の危機に直面している
多くのラポール出身の日系ブラジル人労働者たちに
勇気を与えるものである。

■武蔵精密グループ闘争完全勝利へ!
11月14日、
名古屋ふれあいユニオンの取り組みによって、
ラポールサービス派遣社員から
武蔵精密 子会社・ムサシ鉄工への
直接・正規雇用を勝ち取ったにもかかわらず、
現在 ムサシ鉄工から解雇を通告されている平良マルセロさんが、
地位保全の仮処分を名古屋地裁に申し立てた。
マルセロさんの件については
「ホンダ下請・ムサシ鉄工の『騙し討ち解雇』糾弾!」
でも書いたが、
こうしたラポール・武蔵精密グループ間の脱法的「偽装雇用」の実態を暴き、
直接・正規雇用を勝ち取った労働者が
騙し討ち的なやり方で解雇されたものである。

平良マルセロさんはこの間、
ラポールサービス闘争を中心的に指揮してきた、
名古屋ふれあいユニオン副委員長・平良マルコスさんの
弟だ。
申立書などによるとマルセロさんは、
2006年10月にムサシ鉄工の正社員になったにもかかわらず、
直後に会社から十分な説明なしに有期雇用契約に切り替えられた。
そして今年4月、
会社側は6ヶ月間の有期雇用の契約書を一方的に作成し、
マルセロさんは押印もサインもしなかったにもかかわらず、
雇用期間を過ぎたからと称し、
10月末をもってマルセロさんを解雇してしまったのだ。
その際、
ムサシ鉄工の社長から、
「お兄さんがいろいろしているから」と口頭で説明されたという。

マルセロさんは、
「関連会社で兄が組合活動したことを嫌って、
 解雇されたのは不当」と訴えている(11月15日「朝日新聞」「中日新聞」)。

ラポール――武蔵精密グループ闘争は、
現在の名古屋ふれあいユニオン大飛躍の
原点となった闘いだ。
マルコス副委員長の地裁勝訴判決(確定)、
平田さんの地裁・高裁2連勝判決に続き、
マルセロさんを含む、
武蔵精密グループで働く
全ての日系ブラジル人労働者の雇用を
守り抜く闘いに勝利しよう!


【関連記事】
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職場の理不尽を許さない、強く優しい地域労組の建設を!
愛知県下の未組織労働者は名古屋ふれあいユニオンに結集しよう!



労働組合名古屋ふれあいユニオン
雇用形態や国籍に関わりなく、
愛知県下で働くすべての労働者が一人から加盟できる
地域労働組合(コミュニティユニオン)。
コミュニティユニオン全国ネットワーク
コミュニティユニオン東海ネットワークにも参加。
今年3月に開かれた第9回定期大会では、
連合産別・全国ユニオンへの加盟について討議するとする活動方針を採択。
日ごろから組合員の学習会や交流会・相談会などを
積極的に企画しながら活動している。
現在、組合員数約200名。
組合員は組合費月額1500円。
賛助会員(サポーター)は年会費5000円。
住所:〒460‐0024
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by imadegawatuusin | 2007-11-16 23:41 | 労働運動