――洗剤を「すすがない論理」――■背景には風土の違い今日の
『朝日新聞』朝刊に、
「食器すすがないお国柄?」という記事が掲載された。
「ニュージーランドの牧場に滞在したとき、
現地の人はシンクにためた洗剤液に鍋や食器をつけた後、
よごれをこすり、
水ですすがずそのままふきんで拭いて、
しまっていた」という読者からの質問に答えたものだ。
記事によると、
世界の食器の洗い方は大きく2つに大別できる。
一つは、
北米やヨーロッパ・オーストラリアなどで主流の、
洗濯液に食器をつけて洗い、
すすがない やり方。
もう一方が、日本・インド・ブラジルなどで主流の、
洗剤をスポンジに付けて洗い、
その後 水で すすぐ やり方だ。
日本人はすぐに、
「すすがないと洗剤が口に入って危険では」と考えてしまうが、
食器用洗剤の成分は万国共通である。
欧米流の洗い方をされることも最初から想定されており、
健康・環境問題に敏感な欧米でも
「食器に残った洗剤」が問題になることは まずないとのことだ。
この記事が面白かったのは、
この違いを単に「清潔観念」などに還元せず、
「風土の違い」にまで考察を深めている点である。
一般にヨーロッパでは水が豊富とは限らない。
オランダでホームステイした女性の、
「食器をすすいでいたら
『水がもったいない』としかられた」という
体験談を挙げている。
(「皿は食べない」と言われたという体験談も)。
また、
ヨーロッパでは水の性質がミネラルを多く含む硬水であるので、
すすぐと器に「水のあと」が残ってしまう。
水を「清浄」の象徴と考えがちな日本人には、
「水で洗うと あとが残る」という発想自体が
乏しいかもしれない。
(そもそも「水はきれいなもの」という前提自体、
世界万国共通とは言えないかも。
水の安全性が完全に確立されているわけではない地域では、
むしろ「洗剤入りの水で洗う方が安全」という感じ方も
あるはずだ)。
また、
欧米の「ナイフ・フォーク・皿」に比べ、
日本のハシや漆器は汚れが落ちにくい。
こうした違いが洗い方の違いに反映されているのではと
記事は見ている。
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